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中編

 次の日「昨夜、頑張ったご褒美だよ」とダルトェイとが座っているテーブルの正面でお茶を飲んだ。

 同じテーブルが良かったけれど、それは叶わないことなのだと教えられた。

「口を開いてはいけない、椅子の上でじっと座っていられなかったらダルトェイとは会えなくなってしまうからね」


 そう言われたので私は黙ってダルトェイを見ているだけだった。

 目が合うとダルトェイはニッコリと微笑んでくれて私は天にも昇るほどに舞い上がった。



 父は私の中に白い液体を落としていく。

 そのご褒美は色々くれる。

 必ずくれるのが甘くて幸せになれるお菓子。

 うんと頑張った時にはダルトェイを遠くから眺める許可が降りた。

 そっと見るだけの日もあれば、お父様と手を繋いで後を付けることもあった。

 時折振り返るダルトェイが私を見る。

 その度に父が与えてくれる気持ち良さを感じた。


 町の景色などダルトェイに比べたら興味を引くものではなかった。

 ただただダルトェイを見ていたかった。


 お父様が「ダルトェイからのプレゼントだよ」とクッキーやお菓子を一つずつくれた。

 甘いお菓子も嬉しかったけれど、お菓子が包まれていた紙や、入れ物は私の宝物になった。


 ダルトェイが触れたものだと思うと心が震える。

 やはりダルトェイに触れたいと思うと、必ず夕食の後のことを覚えていなくて、天罰が落ちた。

 天罰はだんだん重くなっていくので、触れたいと思う気持ちは萎んでいった。


 けれどダルトェイを見たい衝動は押さえられなくて、毎日のように父に強請ねだった。

 お父様といろんな約束をさせられて、連れて行ってくれる。

 お父様が一緒に行けない日は、首に鉄の枷を嵌められて馬車に繋がれて見に行くことになった。



 うっとりとダルトェイを眺めていると横に同じ女の子が居るのを見ることが多くなった気がした。

 ダルトェイ以外目に入らないのにその女の子は目につく。

 あの子はダルトェイと話して天罰を受けないのかな?


 その女の子と一緒にいる時のダルトェイの顔は今まで見たことのないような顔をしているので、その顔にも見惚れてしまう。



「お父様。ダルトェイが同じ女の子と一緒に歩いていることを見かけるようになったのですが、あの女の子は天罰を受けないのですか?」

「・・・あの子は・・・ダルトェイと結婚すると神に決められた子なんだ」


「結婚とはなんですか?」

「私とルルーシェのように愛し合っていることだよ」

「そう、なのですか・・・?お父様と私は結婚しているのですか?」


「そうだよ。ルルーシェは覚えていないかもしれないけれど神様の前でルルーシェはお父様を愛し続けますと誓ったんだよ。結婚式もしたんだよ」

「覚えていません・・・」

「まだ小さかったからね。もう一度結婚式をしてみるかい?」

「はい!」

「お父様を愛し続けますと神様に約束できるかい?」

「出来るわ!!だってお父様を愛しているもの!!」


 お父様は私を優しい目で見る。

「お父様、ダルトェイとあの女の子は触れ合うことが出来るのですか?」

「神に決められたたった一人の相手だからね。間違った相手と触れ合うと天罰が落ちるんだ」

「私もダルトェイと触れ合いたいかった・・・」

「あぁ、ルルーシェ!!そんなことを思ってはいけない!!」


 その日また夕食の途中からの記憶はなくなって、一週間起き上がれない程の天罰が下った。

 父は私を抱きしめて「可哀想に・・・天罰を受けるようなことを思ってはいけないよ」と言って薬を優しく塗ってくれた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ルルーシェは私の手を嫌がらない子に育った。

 不必要なことは一切教えない。

 食事は一緒に取る時があるのでしっかりとマナーを教えこんでいく。

 言葉遣いも細かく注意して教え込ませた。


 だが他のことはなるべく教えない。

 数の数え方や色なども教えない。

 だから疑問にも思わない。そんな子に育てていった。


 椅子の上に乗って外を眺めるようなことが出来るとは思いもよらなかった。

 ましてサイラウスの息子に目をつけるとは思わなかった。


 私が幼子に執着するように、ルルーシェはサイラウスの息子に執着している。

 こんなところで血のつながりを感じる。

 うまく誘導しなくてはと心を引き締めた。


 とっさにサイラウス息子を見るための代償を求めた私は、予定より早くルルーシェの中に入ることができた。

 頑張ったご褒美に甘いお菓子を一つだけ、ダルトェイからのプレゼントだと言って渡す。

 それを嬉しそうに食べながら「次も頑張るね。だからダルトェイからのプレゼントを貰ってきてね」とお願いしてくる。



 痛がって苦しんでいる姿と近親相姦という禁忌を犯していると思うことで私の快感は倍増した。

 人生で一番の時間だった。


 痛くて苦しくてもルルーシェはサイラウスの息子・・・確かダルトェイと言ったか?を見るためには色々我慢して私を受け入れている。

 最近では中に入っても出血しなくなった。

 快感が上回るようで意識を朦朧とさせることもある。



 ダルトェイと触れたいと思っている時はルルーシェは直ぐに顔に出る。

 そんな時は睡眠薬を夕食に混ぜて意識のないルルーシェを鞭打つ。


 初めはお尻を鞭打っていたのだが、傷跡が醜くく残るのは面白くないので、お尻は数度だけ、足の裏を酷く鞭打った。

 これはこれで楽しめた。

 一度ルルーシェの中に入ってからは抑えが効かなくて、つい興奮してルルーシェの中に強引に入ってしまう。



 二度と窓から外の景色を見ることができないようにルルーシェの部屋を移した。

 窓を塞いで天窓を作った。

 私とルルーシェの愛の巣だ。

 手痛い出費だったが、ルルーシェが産む子にも使うのだから安いものだと思うことにした。



 ああ、私の可愛いルルーシェ。

 これほど愛しいと思う相手は初めてだよ。

 少しずつ大きくなっていくのが残念でならない。

 可愛いルルーシェにも関心を示せなくなる日がもうそこまで来ていた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 酷い天罰が下りてダルトェイを見に行けるようになるまですごく長い時間がかかった。

 天罰は恐ろしかったけれどダルトェイを眺めることは諦められなかった。


 部屋に窓が無くなってしまって空しか見えなくなってしまった。

 お父様がいない時は寝転んで空を見る以外することがない。

 だから空を眺めがならダルトェイのことを思い出す。


 そうしていればお父様が来てくれて、いろんな新しいことを教えてくれる。

 お父様がいいと言った時にはダルトェイを見に行くことも出来る。

 扉が開いてお父様が入ってくるのを待っていた。

 


 ある日、下着に赤いものがついている事に気がついた。

 仕事をしていた父が休憩で私の部屋に来てくれた時に下着に赤いものが付いていると伝えた。


「おめでとう!!これでルルーシェも子供を産むことが出来るんだよ!あぁ、早くルルーシェの子供を可愛がってあげたい・・・」

 父は私の中に入っているときのような顔をしていた。


「子供を産む?って何?」

「ルルーシェとお父様が愛し合っていると子供が出来るんだよ」

「子供?」

「ルルーシェが小さかった頃のようなことだよ」

 よく解らないことだったので私は気にしないことにした。それよりもダルトェイを見に行ってもいいかのほうが気になる。



 今日はお父様と二人で一緒にダルトェイを見に行く日だった。

 ダルトェイと女の子が触れ合っているのが見えた。

 手を繋いでいる。

 私ができないことをしている女の子が羨ましくて仕方ない。


 天罰が下りてもいいから触れてみたいと思った。

 あの美しく長いプラチナバイオレットの髪が欲しい。

 天罰が落ちた。


 欲しいと思い始めるとそれしか考えられなくなった。天罰の痛みを忘れるほどにダルトェイの髪が欲しいと思い続けた。



 馬車の中の首の枷が緩む日を心待ちにしてお父様が隠しているナイフを隠し持った。


 髪が欲しいと思い始めて枷が外れる日はあっさりときた。

 私は枷を外して馬車から飛び出そうとしたら馬車の扉が開かなかった。


 馬車の中で声を出したり大きな音を立てると天罰が降りるので、声を出すことも出来ずに涙だけがこぼれた。

 ダルトェイの髪が欲しい!!

 神様!!触れ合いたいなどとは言いません!!ただ髪が欲しいのです!!


 その日は触れ合いたいと考えなかったからか、天罰は降りなかった。

 髪を欲するのは神様が認めてくれているのだと知った。

 慌てずいつか枷が外れて馬車の扉が開く日を待てばいい。



 季節は巡り、枷と扉が開く日がやってきた。

 私は馬車から飛び降りてダルトェイの元へと走っていく。

 私の名を呼ぶ声がどこからか聞こえた気がしたが、私の視線はダルトェイの髪から目が離せない。


 ダルトェイは私を見て目を見開いていたけれど、何の抵抗もなく私に髪を切らせてくれた。

 髪を引っ張ると私が髪を切りやすいように屈んでくれたのだ。


 手の中にダルトェイの髪がある。

 目の前にはダルトェイがいる。

 あの女の子のように触れたい!

 手を伸ばすとダルトェイの前に数人の大人が現れてダルトェイには触れられなかった。


 やっぱり神様はダルトェイに触れることはお許しにならないのだと思い知らされた。

 私は急いで馬車に戻ると扉が閉まる前に動き始めた。


 私はダルトェイの髪を手に入れたけれど、触れたいと思ってしまったためにその日、とても酷い天罰が下った。

 いつもは優しく薬を塗ってくれるお父様までもが怒っていてダルトェイの髪を取り上げようとした。

 必死で髪を守ると、その日も天罰が下りた。


 お父様は薬を塗ってくれず、私の部屋にも訪れてくれなかった。

 使用人が食事だけ床に置いていく。

 使用人は話しかけても返事はしてくれない。

 私と話すことを神が許していないからだと前に父が言っていた。


 部屋の天窓へ視線をやり天罰の傷が治ることと、父が訪れてくれることを神にひたすら祈った。

 傷が完治してもお父様の訪れはなかった。

 毎日泣いてお父様と神に許しを願って、やっと会いに来てくれたお父様は話しかけても許しを求めても返事はしてくれずに部屋から出ていってしまった。



 三回目の夜が来た。お父様は冷たい目をして私に言った。

「お父様が今までお前を愛したようにお父様を愛しなさい」

 意味が分からなくて首を傾げる。

 お父様が服を脱ぎ私のベッドに横になる。

「来なさい」

 私は涙を拭って側に寄る。

「いつも私がしているようにしてみなさい」


 私はお父様に口づけて首筋をたどり、お父様の全身に口づける。

 私の中に入って気持ちよくしてくれるものにも口づけ、お父様が望む通りのことをした。

 いつもは私の中に落としていく白い液体を口の中に落とされた。


 飲み込むように言われて私は呑み込んだ。

 すごく不味くて喉が焼け付くかと思った。

 いつも優しい目で私を見てくれるのに父の目は冷たいままで、私はどうすればいいのか分からなかった。


「お父様許してください!何でもするから私を一人ぼっちにしないで!!」

 

 父は服を着て部屋から出ていった。

 部屋の鍵がかけられる音が大きく響く。

 私は扉に取りすがり父に許しを乞うたけれど、食事が運び込まれる以外で扉が開くのに更に何回もの夜が明けるのを要した。


 

 私の慰めはダルトェイの髪だけだった。

 ダルトェイの髪を手にしている時にお父様が入ってきて、お父様は撫でてもくれずに私の中に入って、白い液体を落とすと部屋から出ていった。

 お父様が話しをしてくれなくなってどれくらい経ったのか解らない


 そして一定の期間毎に来ていた出血が来なくなった。

 話しをしてくれなくなっていた父にそのことを告げると、父はとても喜んでくれた。

 話しをしてくれるようになった。

 なぜ父が喜んでいるのか解らなかった。ただ父が機嫌がいいのでダルトェイを見に行きたいと伝えた。


 機嫌の良かった父は不機嫌になったけれど話しをしてくれた。

「ダルトェイは数ヶ月後に結婚するんだよ。もう見ることも叶わなくなるよ」

「あの女の子と愛し合うの?」

「そうだ」


「ダルトェイが見られなくなるのなら今の間に見ていたいわお願いお父様!!」

「そう、・・・だね。本当に短い期間だけだよ?」

「約束するわ!!」


 そう約束したのにお腹に子供がいるからと言って外に出してもらえなかった。

「安定期というものになるまで外出はさせられない」

 厳しい顔でお父様が言う。


 お腹に子供ができてからはお父様は私の中に入ってこない。

 お腹には触れるけど、他のところを撫でてもくれなくなった。



 お腹がぽっこりと膨らんできた。 

 父は愛おしそうに私のお腹を撫でながらお腹に話しかける。

 なぜお腹に話しかけるのか解らなかったけれど、父の機嫌がいい日が続くといろんなお願いを聞いてもらえる。


「お父様!ダルトェイにプレゼントをしたいわ!!結婚のお祝いに!!」

 父の顔が真っ赤になり、私に怒鳴りつけた。

「結婚のお祝い?!誰がそんな事を言った?!」

「あの、ご、ごめんなさい。お父様やダルトェイがいつもプレゼントをくれるから、プレゼントをしたらダルトェイが喜ぶと思ったの」

 父は部屋から出て行ってしまった。

後編 明日 22:00 UPです。

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