表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
#魕ガ棲ム島  作者: YasuAki
53/102

第二章 其ノ拾弐

「この島は昔『鬼ヶ島』と呼ばれてたのは知ってるよね。その名の通り、鬼が住まう島だったの。もちろん私たちの先祖は鬼と呼ばれた『吸血鬼』。1160年ごろ、源為朝が上陸したことによって他の人間たちもこの島に渡り、不思議な力を持つ私たちの先祖を捕らえ、迫害し、殺し始めたのがはじまり」


「吸血鬼を迫害?」


「西洋の魔女狩りのようなものだよ。自分達より優れ、脅威となりうるものは排除される」


 昨日、叔父が本を見ながら似たようなことを言っているのを思い出した。


「だからって……その当時ならともかく、今は流石に——」


「そうだね。純血種がいなくなった現代だと、ほとんどの島民は普通の人間だし。中には吸血鬼の血が多少なりとも混じってる可能性はあるけど、それも微々たるもの。ただ、双子が生まれる時だけ何故か違った」


 薫は廊下の淵に座り足を外に投げ出した。

 そして、恭平の方に顔だけ向き直ると、真剣な表情をして言った。


「双子のうち、どちらかが絶対に吸血鬼になるの」


 恭平は驚きのあまり息を呑んだ。


「ちょ、ちょっと待て。双子が生まれると吸血鬼になるなんて、意味がわかんないだろそれ」


「そう、意味がわかんないのよ。本当になんでなのかな」


 地面に視線を落とし、足をぶらぶらさせながら薫は言った。


「じゃあ、薫は——本当に基子の双子の妹ってことか?」


 薫はぴたりと足を止めると、恭平の方を向き、再び不貞腐れて言う。


「だから、そうだってずっと言ってるじゃん。お姉ちゃんの妹の薫だよ!」


「あぁ、そうだったな。と、ところで今、基子はどこにいるんだ?」


「知らない」


 温度のない声音で返され、恭平はビクッとたじろいだ。


「し、知らないわけないだろ。封印がどうのとか言ってたじゃないか」


「封印されてて外に出られなかったのは私だし、お姉ちゃんじゃないからね。私の代わりに封印されちゃったんじゃないかな」


「いや、だからどこに……」


「知らないってば! そんなことより恭ちゃん、血、吸いたい」


 薫はにやりと不敵に笑いながら恭平に近づいてくる。


「えっ? いやいや、ちょっと待て!」


 慌てて後ろに下がりながら薫の肩に手を当てて静止させる。


「ちょっとだけだって、ほら、先っぽだけってよく言うじゃない。あれと一緒だって」


 恭平の力が敵うはずもなく、床に押し倒され、そのまま首筋に歯を立てられた。


「先っぽって、歯に先っぽもクソもな、あっ……」


 ジュルジュルと勢いよく血を抜かれる。

 急な吸血のせいで貧血になったからか、目の前が霞がかり、そのまま意識が飛びそうになる。


——力が、入らない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ