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第一章 其ノ弐拾壱
悲鳴を上げながら布団から飛び起きた。
基子の眼前に見えるのは、薄汚れた壁と、達筆すぎてなんて書いてあるかわからない掛け軸。
胸はどくんどくんと早鐘を鳴らし、起き抜けの頭は何が起きたのか理解できていないのか、思考がうまくまとまらない。とりあえず深呼吸をして肺に酸素を取り込み落ち着かせる。
すると突然、コンコンとドアがノックされビクッと身体が大きく跳ねた。
「基子、大丈夫か? なんか悲鳴みたいなのが聞こえたけど」
恭平の声が扉越しにくぐもって聞こえる。
「あっと、うん。だ、大丈夫。ちょっと、窓に虫がいてびっくりしちゃっただけ」
後ろめたいことでもないのに、咄嗟に嘘をついてしまう。
「退治するか?」
「えっ? あぁっと——窓の外、だったから大丈夫だよ」
「了解。それと、飯できてるから」
「うん、わかった。ありがとう」
パタパタと足音が遠ざかる。
ふうと大きく息を吐いて、なんとなく天井を見つめた。
——昨日から一体なんなんだろう……
窓の外を見る。昨日とは打って変わって空は灰色く濁っている。
「よし、準備するか!」
基子はそう呟くと、とりあえず美味しい朝ごはんを堪能してから色々と考えようと思い、寝巻きで着ていたTシャツをバサリと脱いだ。




