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伝説を超えてゆけ!シャッフルユニットライブ‼︎(中編、18歳組・お兄ちゃんと反抗期組編)

18歳組

「2人は双子なんだな!兄弟でアイドルとはとてもいいものだな!」2人を少し羨むように言う瑠花に、早速懐く双子。

「にーさん!瑠花も入れて、三つ子になろーよ!」元気いっぱいに名案だと言うようにキラキラとした目で奏を見る響。

そんな響を見た奏は、なれた様子で「同じユニットを組んだらもはや家族も同然だよね、響。それで瑠花君は、兄?弟?」と可笑しそうに微笑んでいる。(瑠花君も、響と似て元気系で、しかも猫耳と尻尾がある…!かっ、かわいい‼︎)とその内心は荒れていた。

響は、「うーん…」と悩んだあと、「2番目の弟‼︎」と答え、兄はにーさんと翔兄とりっつんで充分だと続けた。

突然の三つ子の弟扱いに戸惑いつつも、まんざらではない様子で「俺様の兄貴なら、それなりの実力を持っているんだろうな!」と冗談めかして挑発しながら受け入れた。

「さっそく歌おうか!るかるか!」さっそく響お馴染みのあだ名つけが炸裂した。

瑠花は少し驚いた様子だったが、すぐに親しみがこもっている事に気がつき笑顔になった。

「おう!響、響…ひび!」あだ名をつけ返されるのは初めてで、響もさらに笑顔になる。

「ははっ、すっかり仲良くなったみたいだね!瑠花君、君もどんな声で歌ってくれるのか楽しみにしてるよ。ところで…その耳、ちょっと触らせてもらえないかな…?」遠慮がちに手を伸ばしている。

「いいぜ!奏にーさん!」響とよく似た様子でにーさんと呼びかける。

恐る恐る瑠花の耳を触り感動した様子の奏と、似たオーラで響と仲良くなる様子に、お互いに少しだけ嫉妬しあっていた事はこの時本人達さえも気づいていなかった。

何はともあれ、18歳組は三つ子という新たな形を見つけ、やがて瑠花は周りに合わせる力、響は安定した精神力、奏はダンス力を高め、急成長をとげる。


お兄ちゃんと反抗期組

「天音君、何か食べたいものはある?」

「その服、ちょっとほつれてるから直してあげるよ!」

「疲れてない?練習ちょっと休憩にしようか。」

何かと自分を気遣ってくれる翔太に、天音は戸惑っていた。

「お前、何でそんなに俺に優しくするんだよ!」親切に噛み付くように言う天音に、ちょっと困ったように微笑んでから翔太た告げる。「何でって、天音君はシャッフルユニットで一緒に歌う仲間じゃないか」

(翔太に悪意がないのはわかっている、だけど人をなかなか信じられず、どんな態度を取っていいかわからない。)

天音が黙っていると。そんな心境を見抜いたように「嫌じゃないのなら、君のペースで歩み寄ってくれればいいよ」とそっと優しく頭を撫でた。

天音は逃げようとしたが、どうしたら良いか分からなかっただけで嫌ではなかったので、大人しく撫でさせた。

(自分が幼子にでもなったようで、変な気分になる。メンバーに見られたら笑われるな)とは思ったが、不思議と悪い気はしなかった。

「なぁ、仲間だって思うなら天音って呼べよ。」気がついたらそう呟いていた。

これが天音なりの最初の甘え方だった。

「うん、改めてよろしく!天音。」

(うちの子たちに比べれば、ずいぶん人見知りなようだったけど、心を開いてくれたみたいで嬉しいな。)

いくら反抗されてもめげずに優しくし続ける事のできる翔太が、本当は誰よりも心の繋がりを求めていた事を誰も知る由がなかった。

天音は、ふと翔太の姿が亡くなった母親と重なり涙が溢れた。

「母さん…」同時にポツリと溢した独り言に翔太は何かを察して、天音を軽く抱きしめて「俺もだよ」と囁いた。

その時の翔太の声は、悲しみが滲んでいた。

「俺も幼い頃に亡くなっているんだ。両親…」

驚いたように目を見開き、翔太を見上げる天音。

「そんなに人に優しくできるのに?」(悲しみなど何一つ知らないで育ったのかと…)

母の死後、天音にはギャンブルと酒狂いの父が残っていたが、すぐ嫌になり、家を飛び出したもののいくあてがなく結局父と同じ盗賊になった。今思うと恥ずかしい過去だ。

裕福そうな者ばかり狙っていた結果、ルークとサシャに出会い、成り行きでアイドルになった。

俺を光の世界へ導いてくれた存在、アイドル、ふと自分にとってその居場所がどれほど大切な存在になっていたのか気がつき胸が熱くなる。

「俺はその後、親戚に育てられたんだ。悲しみを周りに悟られないように、親切にすることで誰からも嫌われないように生きてきた。だから、感情をむき出しにして仲間に曝け出している君がほんの少し羨ましいんだ。」

翔太の穏やかな声色が、天音の耳を撫でる。

「お前も曝け出しちまえよ!お前も、仲間もいいやつばかりじゃねぇか。俺だって、お前を信用したから、ちょっとの事で嫌ったりしねぇよ?」

悪そうに見えて、実はどこまでも素直な天音に心が安らぐ。

「そうだね、最高の仲間達だよ。でもいつのまにかわからなくなっていたんだ。自分が何をしたいのか、何を伝えたいのか。

でも、これからは考えていこうと思う!」

もっと強い絆で結ばれる為に、翔太は己の意志を見つめる決意をして満面の笑みを浮かべた。

これを機に、歌詞を深く読み取った、翔太の繊細な表現力に深みと迫力。天音の天性の才能に真剣さと情熱が生まれた。

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