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ライブツアー決定!! 道中にて…「えっ!ぼく達も戦わなくちゃいけないの?」「いずれは音楽で世界救っちゃうかも…!?」&突然のライバル登場‼︎

この世界にアイドルという存在を広めるため、ライブツアーを決定した。

ところが、この世界の道には魔物が出るらしい…

護衛を雇うか、自分達で戦うか、どうやらぼく達には歌声で戦う素質があるらしい。

勇気を出してひとまず戦ってみる事に気めた。

一番最初にコツを掴んだのは燈里だった。

「かわいいぼくを傷つけたら、みんな悲しんじゃうんだからねっ!スポットライト追加!」

燈里がスポットライトと呼ぶのは赤々と燃える火の玉だ。

「「僕ら仲良しハッピーツインズ♪」」双子のオリジナルソングが、強力な土と木の合体技を生み出した。

「この子たちは俺が守る。どんな闇も切り裂く♪」闇を切り裂く歌声が、四人を守るように金色の結界で包んだ。

「僕だって負けない!」律の澄んだ歌声が魔物を浄化する。

ひとまず彼らが戦える事が証明された。


一方その頃、隣国では…

「父上、我に曲と衣装とダンスと女を用意してくれたまえ」

「わかったよ。ルーク。」

「我は明日、サシャと共に隣国へと出向く。しばらくは戻らん。」

サシャと呼ばれた騎士は、少し驚いたような呆れたような表情で「はい、ルーク様」とひざまづいた。

ルークの父である王は、息子が離れてしまう事を少し寂しがりつつも、暖かく見守っている。それどころか、息子がやりたい事を見つけた事にたいそう喜んだ。


(アイドルとやらになったら、女と夜を共にするのは裏切りらしいからの、女遊びは今夜が最後…)そう自分にいい聞かせた。

「ルーク様、"ファイブポインテッドスター"というアイドルグループの噂を聞いたからって、なんでまたご自分も?」

専属の護衛であり、幼なじみでもあるサシャは、さっきよりも気軽な様子で尋ねた。

「面白そうではないか!歌い踊り、国民(美しい娘子)にちやほやされるのだぞ!」

国民と言っているルークの真意を読み取ったのか、「そんなような事だと思いましたよ」とサシャがため息をつく。

「行くぞサシャ!隣町へ渡り、この世界最初のアイドルとやらとこの世界2組目のアイドルとして戦うのだ!」

銀の長髪を翻し、ルークが言う。

楽しそうだと思わないかと言うように、少し背の高いサシャを見上げて細められた水色と青緑の双眼は独特な雰囲気を放っていて、この人ならなんでも大丈夫だと思わせる力があった。

「まったく…仕方ない人だ。私は、どこまでもお供いたしますよ。」

サシャも深い紫の短髪頭をかきながら、薄いピンク色の三白眼を細めた。


二人でデビューでもよかったが、パフォーマンスのバリエーションを増やす役割と、隣国の王ミイルズ家の第二王子と忠実なるその騎士では怯えさせてしまう可能性もあるため、メンバーを探す事にした。


街を歩いていると、何かが素早く通り過ぎようとする気配を感じて、間髪入れずにサシャが受け止めた。

「チッ、仕留め損ねたか」

サシャに止められた赤髪の少年は、どうやらルークとサシャの荷物を狙っていたらしい。

「いかがいたしますか?ルーク様。」少年を捕まえながらサシャが尋ねると、ルークは少年を品定めする様に眺めてから、「なぁ、盗人をやめて、我らとアイドルを目指さんか?」と尋ねた。

少年は黄緑色の瞳を見開いてから、冷静を装って、「報酬次第だ。」と言い放ったが、ルークが「金ならいくらでもある。」と答えると、間髪をいれずに「乗った」と答えた。

(まったく、ルーク様は変わり者なんだから…まぁそこが魅力でもあるのですが)と思いながら赤毛の少年を見ると、確かに見た目も良いし、血の気が多く口は悪いが扱いやすそうだ。

「案外うまく行きそうですね」とサシャが呟くと、「そうだろ?」とでも言いたげな自信たっぷりの表情でニヤリと笑いかけてきた。

「はいはい、すごいですね。」(そういうところが子供っぽくて可愛くて好きです)

「よろしくな!お前ら!俺の名は夜桜 天音(よざくら あまね)だ!」少年の生意気そうな声が上がるが、その少年の威張り顔は主にそっくりだった。

メンバーが増えたはいいものの、街を歩いても人が寄り付くどころか避けて通る始末だった。

「おかしい、なぜ美しい我に人が寄り付かんのだ?」ルークが本心でサシャにそう尋ねる。「当たり前でしょう?一国の第二王子とその騎士ですよ。しかも盗賊風のものまで引き連れて。これでは、アイドルなんて程遠いですね。」サシャが分析すると、「そもそもアイドルってなんだよ!?」と天音の声がサシャを呆れさせる。

すると、3人よりだいぶ背の低いクリーム色の髪に白いメッシュ、その先に髪の色と同じ色の大きな耳と尻尾が生えた少年がこちらを見上げていた。

少年は、ルビーのような赤い瞳を潤ませて、「あのっ、アイドルを目指してるなら、俺も入れてくれませんか?俺は獣人ですが、いろんなアルバイトを経験しているので、みなさんの邪魔にだけはならないようにしますから!」と言い切ると、しゅんと耳と尻尾が垂れる。

この少年を見た瞬間、三人はピンと閃き、意見は一致した。

「ようこそ!」とそろって歓迎すると、少年はぱあっと笑顔になり、ピンと耳が上むきに、尻尾もちぎれんばかりに振っている。「ありがとうございます!俺、頑張ります!」


こうして異世界2組目のアイドルが結成された。

その名は、“pallet(パレット)

一見バラバラに見える色達が混ざり合い、美しい一つの作品になる場所の名だ。


煌びやかな衣装に身を包み、彼らが最初に混ざり合うデビュー曲のタイトルは、“paint(ペイント)


「世界を塗り替えよう 混ざり合った俺らの黒で」

四人の声が混ざり合い、溶け合ってゆく。


「混沌して散乱したこの世界」天音の纏う雰囲気がガラリと大人へと変わる。

「夢見てかなえちゃっていいんじゃない?」ルークの自由な性格がさらりと歌声の技巧にも現れる。

「奮闘し栄光を掴み取れ」ルークに続いて落ち着いたサシャの声が支える。


「落ちるだけ落ちたところで 後は這い上がるだけだから」他のメンバーより少し高めの、壮牙(そうが)の愛らしい声が映える


「誰にも止められない 俺らのストーリー

邪魔はさせない 巻き込んで嵐も起こしてやる

この声が枯れ果てようとも

強く強く 声を上げていたいから

命懸けで歌いたい


何にも染められないこの心で

(paint)世界の心を染め上げて 

輝いて見えるほどの漆黒で

(paint)描いてゆこう先の道を」

四人でのメロディーが変わるポイントを歌い上げ、 

「始まったばかりの 真っ白なpallet」スポットライトと共にルークの声のみとなる。

「全部の色を混ぜ合わせ」リーダーの威厳を感じさせるサシャの歌声。「溶け合って」ダブルセンターの一人、天音の声とダンスに盗賊時代の殺気が独特の存在感を生み出す。

「世界を塗り替える黒になる」アイドルを強く夢見た壮牙の強い意志が感じられる。

「この声が枯れ果てたって

染み付いて離れない 記憶を

確かに染め上げてくんだ 

今」

再び四人の声が揃い、美しいハーモニーを生み出す。

今ここにfive Pointed starの強力なライバルとなるpalletがデビューをはたした。




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