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scene_05 ちょっとズルだけど・・許して?なんでもしry

何とか書きあがったので先週投稿できなかったのは許してください。


注意:本日二話目です。前話を読んでいらっしゃらない方は読んでいただけると幸いです。

 「・・・では、第一回ハーチョCM製作会議を終了します。皆さん本日はありがとうございました」


 あれから直ぐに続々と集まった十数人による会議は一時間と少しほどで終了した。

 わたしは一回髪を結ぶ際の見本に呼ばれたくらいで、あとは隅っこでじっとしていた。偶に中高生ぐらいの女の子がチラチラとわたしを見ていたけど、どうやらその子がこのハーチョ?という商品CMに出演する子らしい。もしかしたら先輩になるかもしれないし、顔はきちんと覚えておこう。わたしは俺の時もそうだったけど、人の顔を覚えるのが苦手なのだ。


 「藤崎さん。先ほどのお話ですが、ここは次の予定が入っているのですみませんが別室でよろしいですか?」


 ある程度人がはけると片づけをしているお母さんのところにやってきた龍宮さんがこう切り出してきた。

 わたし?コードを抜いたりしてお手伝い中です。いやー、持ち運び式の3Dホログラム投影機があるなんて技術の進歩はすごいなあ。


 「わかりました。すぐに終わりますので少し待っていただけますか?」

 「ありがとうございます。決して焦られることはないので安全に気を付けてください」


 それから数分で片づけと撤収作業を終わらせたお母さんとわたしは、龍宮さんに少し小さな応接室みたいなところに案内された。


 「お母さん。お仕事は終わったんじゃないの?」


 とりあえず、何もわかってないふりをしてお母さんに訊いてみる。


 「うん。お仕事は終わったんだけどね?このおじさんが澪にお話があるんだって」

 「おはなし?」


 お母さんの返答に少し小首をかしげて見せながら龍宮さんのほうを向く。


 「おはなしってなんですか?」

 「うん。澪ちゃんはテレビとかは何が好きかな?」


 なるほど。好きな番組を訊いてから、それに出てみたくはない?って感じか。もとより乗るつもりだけど、ここは素直に好きな番組を伝えよう。

 もっともこの歳らしくはないけどね。


 「ヤメデカと金9サスペンスです!」


 ちなみにこれは俺を思い出す前からなのでどうしようもないです。

 この答えは龍宮さんも予想の斜め上だったのか「え?」って顔をしている。


 「金9サスペンスが好きとは・・・ちなみに何が好きかな?」

 「奥様は麻取とか羽根川警部シリーズとかです!」

 「羽根川警部は私も好きだな。奥さんと夏陰のママさんからヒントを貰うのがどこか共感を覚えてね」

 「そうです!わたしも特に夏陰のママさんが大好きで・・・」


 どうやら面食らったものの、同じものが好きだったから話が弾んできた。わたしもこうして語れるのは楽しいし。


 「んんっ澪ちゃん?楽しいのはわかるけどおじさんがお話ししたいのはほかにもあるらしいの。ですよね?龍宮さん?」


 で、それを見かねたお母さんが呆れ気味に会話を中断してきた。その目は「サスペンスのお話だけするならこのまま帰りますよ?」と語っている。


 「そうだね。いや、こんな小さい子と羽根川警部のことを話せるとは思わずついついね。さて、澪ちゃん」


 それを感じたのか、龍宮さんは苦笑しつつ改めてわたしに話しかける。


 「澪ちゃんはそういうのに出てみたいとは思わないかい?」

 「羽根川警部とかにってことですか?出れるなら出てみたいです!」

 「それには嫌なこととかきついこともあるかもしれない。それでも出てみたいかい?」

 「うん!」


 龍宮さんは真剣な顔をしているけど、わたしとしては大チャンスなのだ。多少オーバーだろうとやりたいアピールを目一杯していく。

 すると当然お母さんが止めにかかるわけで・・・


 「澪ちゃん?嫌なことって想像よりももっと嫌かもしれないわよ?もしかしたら悪口を言われるかもしれないし、苛められるかもしれないそれでもいいの?」

 「うん!大丈夫!それにわたしが嫌で泣いちゃったらお母さんがよしよししてくれるでしょ?」

 「もう、澪ちゃんったら。けどね・・・」


 それからいくつかお母さんに嫌なことなんかの例を出されて諦めるように言われるけど、「大丈夫!」「それでもやってみたい!」でゴリ押す。会議の間いろいろと説得の方法を考えてみたけどどうもしっくりくるものが思いつかなかった。

 ・・・うーん、これは平行線かな?どうにか妥協点を見出さないと・・・


 「まあまあ。元凶の私が言うのもなんですが、二人とも少し落ち着いてください」


 と、これを見かねた龍宮さんが間に入ってきた。

 そうだね。確かに端から見た元凶は龍宮さんがなにを・・・だね。


 「ところで澪ちゃん。澪ちゃんは何か好きなことや得意なことはあるかい?」


 ?ああ、ここで言ったことを場合によってはお母さんへの説得材料にする感じか。

 となると好きなことはともかく、得意なことは説得性を持たせないと・・・

 そうだ!アレなら!


 「好きなことは色んなものを見ることで、得意なことはうたうことです!」


 来い!乗ってくれ!

 一応お母さんとカラオケをしたこともあったから、少なくとも怪しまれることはないはず。確か点数85くらいだったはずだからお母さんとしても「あの時褒めたし、そう思っててもしょうがない」と思うはずだし。


 「じゃあ、ちょっと歌ってみてくれないかい?なんでもいいよ?」


 よし、これなら!


 「龍宮さん?それは流石に・・・」

 「いいじゃないですか。せっかくですから聞かせてください。藤崎さんだけでは良くも悪くも親の贔屓目が入ってしまいます。別に無理に褒めたりはしませんから」

 「・・・わかりました」


 龍宮さんの言葉にお母さんも渋々といった感じで引いてくれた。

 さて、それじゃあやろうか。

 息を大きく吸って止め、体の内側に意識を向ける。

 探るのはわたしという世界の源、誰もが絶対持っている魂源(こんげん)の力。俗に霊力や呪力、魔力、神通力などと呼ばれるものだって俺の時より多いな!?やっぱり女の子だからかな?にしても多い気がするけど・・・まぁいっか。これなら俺の時みたいに手間を加えなくても普通にできそう。

 テストも兼ねて吸った息を霊力を乗せて吐いて感覚を整る。

 ・・・うん。いい感じ。


 「うたいます。『故郷(ふるさと)』」


 選曲は誰でも知っている童謡から。

 テーマは郷愁。

 乗せるイメージは主に俺の記憶から田舎の風景。


 「~~~♪~~~♪」


 追っていたのはウサギではなくイノシシだし、小鮒は掬っていたけどそこは些細な違いだろう。

 優しく、けれど確実に霊力に込めたイメージは魂に叩き付けられて例え実体験がなくとも懐かしさをまずは与えていく。


 「~~~♪~~~♪」


 次に関してはイメージはそこそこに、懐かしさから父母兄弟や友人との思い出を想起するように誘導していく。代わりに感情はたっぷりと。思わず胸が苦しくなるような切なさを霊力に込める。


 「~~~♪~~~♪」


 三番は仕上げ。

 一番と二番で与えたイメージと感情を溢れさせるように、過去抱いた希望、夢を掘り出させて家族と郷里への想いを乗せていく。

 そして最後にそれが二度と戻れないという寂しさと、けれど確かにあったという温かさを余韻にしながらゆっくりと霊力を霧散させた。

 

 「ありがとうございました」


 いやー主観的には二年ぶりにやったけど、やっぱりゆったりしたヤツの方が言霊の調べはやりやすいね。

 「何かの時の自衛手段なんかに」とアイツに覚えさせられたものだけど、結局ほとんど補助に体よく使われただけなんだよね。

 ちなみにこれは才能が有れば教わらずとも無意識にできる、霊能力もどきのやろうとすれば誰にでもできる技術だったりする。

 さて、ちょっとズルはしたけど二人の反応は・・・


 「澪ちゃん!お母さんはずっと一緒にいるからね!?」


 うぐぅっ!?お母さん!?抱きしめが強いよぉ・・・

 もしかして、やりすぎた?

 ごめんなさい。なんでもしますからとりあえず放してください苦しいですぅ!?


歌詞に関しては作詞された方が没後80年ほど経っているので大丈夫かとも思いましたが、怖いのでぼかさせてもらいました。あくまでよく似た別世界の歌だということでここは一つお願いします。


ブクマ、星評価ありがとうございます。

よろしければ一言でも感想やあれば誤字などの報告よろしくお願いします。

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