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scene_04 頭から抜けていたものがありました。

言い訳はしません。だいぶ遅れました。短いです。

 「すみませんが、お断りさせていただきます」


 ···え?

 ちょっ、お母さん!?

 タイム!タイムです龍宮さん!わたしの意見も聞いてください!


 「ねぇおかあ「何故でしょう?理由をお伺いしても?」···」


 なんで被せてきちゃうの龍宮さん!

 なんか口を挟みにくい雰囲気作らないでよ!せっかくのチャンスをこっちは逃したくないんだよ!


 「まず一つ目として、澪が競争を勝ち抜けるほど際立ったものがあると思えないことです。私もこの業界に身を置いていますから、ジュニアモデルの方や子役の方も何度か見たことがあります。その中で一定以上の実績がある方はやはり飛び抜けた何かを持っていらっしゃいます」


 えっこれ、もしかしてわたしのダメ出しが始まる感じ?

 いやだ何それ?基本、事故の前のわたしのことだろうけどそんなの聞きたくない!よし、上手く入り込む糸口見つけてアピールしよう。そうしよう。


 「それに対して澪は、確かに私としては世界一可愛い女の子ですが客観的に見てみれば顔は中の上くらい。歌がとても上手いと言うわけでもなく、とても愛想がいいということもない。まだ将来のことはわかりませんが、今のところはちょっと可愛いだけの普通の女の子です。そんな澪がこの世界に入って頭角を現せるだけの武器なんてありませんし、もしそちらが育て上げることで与えると言ってもそれが通用できるようになるまでに潰れてしまわないとは限りません」


 うわ、ド正論かまされてる。

 わたしとしてはアイツとの再会っていう目的があるからそうそう潰される気はないし、そもそも今のわたしは俺の記憶も相まってメンタルは結構強いと思う。

 けど、お母さんはそんなことは知るわけないし現実的に考えれば全然間違っていない。むしろ、愛しているからこそ苦しい目にあってほしくないんだろう。


 「さらに言わせてもらうならば、仮に私がそう思っていなかっただけで澪にこの業界で戦えるだけの武器があったとします。ですが、だとしてもそもそも仕事はあるのでしょうか?無名の内はオーディションを受けながらエキストラなどをこなすというのが基本でしょうが、そちらにも先達はたくさんいらっしゃるでしょう?龍宮さんがいくら気に入られようが、そのあたりの担当ではあられないのなら厳しいのではないのでしょうか?人情というのはどうしてもあるでしょう。この子の年齢だとアイドルというのは有り得ないですし」


 ぐぬぬ...悔しいけどわたしが思っている懸念事項のほとんどを言われてしまった。

 ・・・どうやって説得しよう?これ何言っても『現実を知らない浮かれた子どものわがまま』でしかないよね?いや、いっそそれでゴリ押すか?

 まさかお母さんがここまで現実主義だとは・・・お母さんの説得というのが一番必要なのに、すっかり頭から抜けていたよ・・・


 「ふむ。確かに藤崎さんのおっしゃる事もごもっともです。ですが、私としてはここで見逃すというのはできれば避けたい。それほどまでに面白そうな娘さんなのです。そろそろ他の出席者もやってきますから、いったん話はここまでとしようと思いますが会議の後にまた時間をいただけないでしょうか?澪ちゃん自身の意見も聞いておきたいですし」

 「・・・わかりました。ですが、私としては反対だということは変わりませんよ?」

 「結構ですよ。だいぶ怪しい話をしているという自覚は私もありますので。では、今日はよろしくお願いします」

 「はい。こちらこそよろしくお願いします」


 そうしてお互い一礼した後こっちにやって来たお母さんは「これからお仕事だからもしお手伝いが要るかもしれないから、その時はいつもみたいにお願いしてもいい?」と頭をなでながら訊いてきたので「うん!」と元気いっぱいに返しておく。さもさっきの話は全然理解できてはいないかのように。

 さて、どうやら龍宮さんはわたしを大層気に入ったみたいだけどお母さんをどうやって説得しよう?わがままでゴリ押すのはできればしたくないなぁ。

 

今日か明日中にもう一話上げたいと思います。

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