無題1
暗闇の中、私は私と向き合う。
自分は何者なのか。これからどこに向かうのか。何になれるのか。
過去の切り傷、努力の栄光、甘い記憶、未来への焦燥。そんなモノが真っ暗な四畳半の中で攪拌される。
コップに注がれた水を飲む。自分の寿命を飲み干した気がした。
時折外から聞こえる車の音、自分の吐息、衣擦れ。時計の音。
私はまだこの世界に居る。私は独りだ。故に孤独ではない。
些細な音に安心感を抱く。
人に好かれたい。愛されたい。だが、自分が変わるのは怖い。
私は私でなければ。しかし、変わらなければ愛されない。
思考の袋小路。分厚い壁は威圧的にそびえたっている。
胸に居座る嫉妬の蛇が、壁の向こうからニヤリと笑う。
だめだ。こんなことを考えてたってどうにもならない。
……寝よう。
毛布を頭までかぶって深呼吸。
暗闇に身を浸す。
日はまだ差さない。