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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

神様に恋をした少年

作者: momoomoo

むかしむかしあるところに神様に恋をした少年がいました


少年の名は次郎、二人兄弟の末っ子でした


「なあ一郎兄さん、今日のお祭りで神様見れるかな?」


「あぁきっと見られるよ、今日は10年に一度の特別なお祭りなんだ」


それは10年に一度、祈りを捧げて神様の力を借りるという特別なお祭りだ

神様の力の使い方は多岐にわたった

山に住み着いた賊の討伐、豊作祈願、税を下げることもできた

とは言っても願いの内容はその時の村長の意見が反映されることが殆どで、

今回の場合はここ10年困ったことが無かったので

神様に感謝の祈りを捧げようというものだった


祈りの時間になり兄弟が祈りを捧げる、皆静まり返り日頃の感謝を神様に捧げている


「...ろう...次郎...」


何者かが次郎に語りかける、次郎はあたりを見回すが誰も話している様子はない

目を瞑り祈りを再開すると、瞼の裏にくっきりと女性の姿が浮かび上がった

艶を放つ黒髪、大きな乳房、あふれ出る母性、すぐに神様だと分かった


「次郎、あなたのことはいつも空から見ております、あなたの願いを一つかなえて差し上げましょう」


透き通った神様の声が脳内に直接流れてくる、神様の声を聴くだけで心が跳ね、どうしようもない感情に襲われる

そう、次郎は恋をしてしまったのだった


「神様、僕はあなたに恋をしてしまいました、どうか私の生涯の伴侶となってはくれませんか?」

「私の伴侶となるのなら、あなたも神になる必要があります、その覚悟はありますか?」


次郎の心臓が破裂しそうな程鼓動を高めている、神になれて神様の伴侶にもなれるのだ

願ってもない幸運である


「はい、僕はいかなることをも受け入れます」

「それでは神になる手順をお話しいたします、まずはあなたの血族の者の首を私の祭壇へと捧げてください」


次郎は少し迷うが神様になれるのだ、後から生き返らせることも可能だろう


「はい、祈りが終わり次第僕の血族の首をあなたの祭壇へと捧げます」

「それでは今宵お待ちしております...」


神様の姿が瞼から消え去った、今までに味わったことのない多幸感を味わった

今まで碌な生き方をしてこなかった次郎だったがこの時だけは神になれるという

感情に燃えていた


夜皆が寝静まった頃、両親の部屋へと忍び込み二人の首を叩き切る

続けて兄のもとへと行き兄の首をも叩き切った、なぜか次郎は血族を殺すことに抵抗がなかった

首を捧げるという使命以外、次郎の心には無かった


「神様お持ちいたしました!血族皆の首です!」


祭壇が光を帯び神様の姿が浮かび上がる


「おぉ...なんと愚かな人の子よ、人の子如きが神になれると驕ったか」

「神様僕を神にしてくださるのでは?!」

「愚かな人の子よ、貴様には神ではなくこちらのほうがお似合いだ!」


神様が次郎を指さすと次郎の体がひしゃげてゆく、

四足歩行になり、全身が体毛に覆われ、顔には大きな口だけがある怪物へとなり果てた


「貴様はこれから人以外口にできぬようになった、餓死するか人を食うか選ぶのだな」


祭壇から光が消え神様の姿が消える、次郎は怪物となり果てた自分を見て叫んだ、

涙を流す目すら無くなってしまったのだ

一人夜中に叫ぶ怪物を絶え間ない空腹感が襲う、気が付くと次郎が殺した血族の首を丸呑みしていた

次郎が我に返るとそこは真っ暗な洞窟だった

自分の持ってきた首もなくなり涎をたらすだけの怪物になり果てた次郎は神様へと復讐を誓った

手始めに神様を信仰している元居た村の者を、皆殺しにしようと考えたのだ

次郎は夜を駆け山を越え元居た村へとたどりついた、するとどうだろうか次郎が村の中に入ろうとすると体が焼け切れそうになる

神様の結界だった、あまりに無力な次郎は結界の外で叫び続けそして次郎は決めた、村の外に出てきたものを殺せばいいと

だが日の出と共に次郎の考えは打ち砕かれる、次郎は日の光に耐えられなかったのだ、次郎の全身の毛は燃え上がり、燃えた体を揺らしながら次郎は巣へと逃げ帰った





「おい!夜に外出ると怪物に食われるぞ!」

「そんなのいるわけないだろう、子供じゃあるまいし大丈夫だよ」


男は星を見るのが趣味だった、今日は少し遠出をしてまた違う星を見ようと考えていたのだ

男が村の外に一歩踏み出すと、ひしゃげた体を引きずり大きな口を持った怪物が目の前に突然現れたのだ


「聞いたか、あの星見の男、行方が分からないらしいぞ」

「あぁ、怪物だろう、実際に見たという者も居るんだ」

「今度の神様への願いは怪物を退治してもらおう」


「神様って何お兄ちゃん」

「私たちが信仰するものだよ、信仰が強ければ強いほど神様も強くなるんだ!」

「怪物に勝てる神様ってことは信仰が強いんだ!」

「そうだよ!大きな願いには強い信仰が必要なんだ!だけど日頃の祈りのおかげで怪物を退治してもらえるみたいなんだ、よかったな!」

「なら、もし何も願い事がなくなって、信仰がなくなったら神様は弱くなっちゃうの?」

「さぁ?」














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