思い出の記憶6
ふんふんふーん
「・・・で?どこ行くか決めてるんだよね?」
有栖の家から出た所で未だ不機嫌な有栖が鷹斗に問いかける。
「うん、川か市民体育館か学校」
「いや、それ決まって無いじゃん」
鷹斗は有栖の質問に3つの回答を出し、それに対して有栖は決まって無いじゃん。とツッコミを入れる。
「まぁそうなんだけどさ、せっかくだからこの中から結衣に選んでもらおうかなって」
「えっ?・・・私?」
「うん、結衣が決めてよ、因みにだけど、川は泳ぐか水遊びくらいしかする事ないよーでも溺れるような深さの場所無いからそれは安心して良いよ」
結衣は急に自分に発言権を振られて焦る。
そして鷹斗は一応この中で1番何をするのか謎であろう川に行った場合の説明をする。
「えっと、、、服とか濡れちゃうと迷惑かけちゃうから、、、じゃあ鷹君と有栖ちゃんの学校行ってみたい・・・かな」
「学校ね、了解!有栖もそれで良い?」
「んー?私はどこでも良いよ〜、結衣ちゃんが楽しめるなら」
「分かった、じゃあ今から学校行こっか」
結衣が鷹斗の出した三択から学校を選んだ事で3人は鷹斗達の通う『猪鹿小学校』へと向かう事になり歩き出した。
学校までの距離はそんなに無くすぐに着くのでそれまでの道中で鷹斗は結衣に気になった事を問いかける。
「そういやさ、何で学校?多分、人多いから結衣は選ばないと思ったけど」
鷹斗は学校には夏休みのプール利用をしに来ている人達やグラウンドで遊んでいる人達がいる事から人が多いのは結衣も分かっているだろうと思いそこを選んだ理由が気になった。
「んーと、川は服濡れちゃうから・・・で、体育館は行っても私運動苦手だから2人と同じようには遊べないかなって・・・」
「あ、消去法的なやつ?」
「でも、単純に鷹君と有栖ちゃんの学校がどんな所なのか気になったから・・・見てみたいなって」
「そっか!じゃあ学校色々案内するよ!後、多分だけど色んな人に声かけられるだろうけど嫌な事とかちゃんと言ってね?」
「何かムカつく事言われたら鷹が結衣ちゃん守ってくれるってさ、良かったね結衣ちゃん!」
「ま・・・守って?・・・うん、ありがとう・・・」
嫌な事とか守るとかいう言葉が出てきて結衣は若干学校に行くのが怖くなったが今更なのでそんな事は言わずそのまま鷹斗と有栖について行く。
それから少し歩いた所で目的の小学校に到着した。
「わぁ、ここが鷹君と有栖ちゃんの学校かぁ・・・」
結衣は校門を通過した所でキョロキョロと周りを見ながら声を出す。
「まぁ、結衣ちゃん、期待してもなんもない小学校だからあんまり何かに過度な期待したらダメだよ」
「有栖・・・その通りだけど、お前そんなに学校嫌いだった?」
「え?嫌いじゃないよ?むしろ好きなぐらいだよ?」
「のわりにはやたらと下げるなぁ。。。」
好奇心に溢れている結衣に期待はするなと有栖は言い、鷹斗はそれにツッコミを入れるが何はともあれ一先ず目的通り学校を案内しようと鷹斗は様々な場所を一通り案内して行く。
鷹斗達の教室【中には入れないので指を指してあそこだよと伝える】⇨鯉とか色々な魚がいる池⇨兎、孔雀等が飼われている飼育エリア⇨遊具がそれなりに置いてあるグラウンド程ではないがそれなりの広さ遊び場⇨プールという感じである程度の案内を行った。
道中、結衣は鯉、兎、孔雀を見た際に目を輝かせて見ていたが遊具やプールには特に関心が無さそう【というよりも鷹斗や有栖の知り合いが2人に声を掛ける度に2人の後ろに隠れていた】な感じだった。
「まぁ大体こんな感じかな、中は入れないからしょうがないとして」
一通り案内を終え最後にグラウンドに来た所で鷹斗が結衣に一通りの案内が終わった事を告げる。
「何か凄かった!私の小学校は動物とか居ないから・・・良いなぁ鷹君も有栖ちゃんも・・・」
「結衣ちゃんは動物好きなんだね!可愛いねー」
有栖は自分の学校に動物が居ない事にしょんぼりとしている結衣を可愛いと言いながら抱きしめてイチャつき始める。
鷹斗はそんな2人を何かほんわりして良いなぁという感情で見ていると、グラウンドの端っこの方から男子っぽいシルエットが3人程こちらに向かって来ているのが見えた。
3人はどうやらこちらに気付いているようでこちらに手を振りながら近づいて来ている。
一見その行動は好意的なものに見えるが鷹斗は心の中で『最悪じゃん・・・』と呟く。
そして結衣を抱きしめて未だにイチャイチャしていた有栖も3人に気付き、『げっ!』とこちらは声に出して言う。
2人でいつもそのメンバーに出会すと逃げるのだが今日は結衣がいる、結衣の運動神経の悪さ【自称だが】を考えると逃げるのは難しいと判断した鷹斗と有栖は目で意思疎通を行い2人して頷き3人と向き合うことにする。
「よぉ!鷹斗〜お前今日も有栖と遊んでんのか?」
近くに来て鷹斗に声を掛けたのは鷹斗と同い年で3人の真ん中にいるボーズ頭が特徴的なリーダー的ポジションの『五十嵐 陸』だ。
「まぁな、陸こそ相変わらず天多と寛治と一緒なのな」
鷹斗は陸の両サイドを見て左側にいる太った男『栗木 天多』右側にいる『土井垣 寛治』を視認しながら陸に思った事を伝える。
「それはどうでも良いだろ、そんな事よりお前、何で有栖といつも一緒にいるんだよ!」
お互いに少しピリついた感じで挨拶をしたところで陸は早速と言わんばかりに本題を告げる。
そう、鷹斗達がいつも出会す度に逃げる理由はこれなのだ。
『五十嵐 陸は東雲 有栖に惚れている』
そしてその有栖といつも一緒にいる鷹斗をライバルと勝手に認定して事ある事に勝負と称して戦いを挑んでくるので正直鷹斗は陸の事を面倒臭い奴という認識で捉えていた。
鷹斗は相変わらず面倒臭いなぁと思いながらどうやってこの場を切り抜けるか?と思っていたら寛治が鷹斗の後ろに隠れていた結衣に気づき鷹斗に問いかける。
「なぁ鷹斗、この子誰?」
・・・・厄介なデブに見つかった。
寛治はよく喋るデブでしかも自分の自慢話が多い世に言う空気が読めないナルシストである、そんな寛治と結衣との相性なんて考える必要も無いので取り敢えず結衣に話し掛けないように鷹斗は寛治の相手をしようとすると
「栗三人衆、悪いんだけも今日はあんたらの相手出来ないから、ごめんね?後ドングリあんた私の従姉妹の結衣ちゃんに話しかけた瞬間に殴るから」
横から有栖が口を開き寛治を威圧する【因みに有栖はこの3人の事を栗三人衆と呼んでおりその由来は『いがらし りく=イガグリ』名前の頭のイガと坊主頭なのとりくを逆さに読んでくり等の理由で、『くりき あまた=アマグリ』そのまんま名前から、『どいがき かんじ=ドングリ』イガグリとアマグリと来たので無理やりドングリにされた】。
有栖の3人に対する渾名はともかくとして寛治は有栖に怯えて喋らなくなる。
だが好きな女の前で格好付けたい陸は有栖を恐れず鷹斗に挑戦的な態度で口を開く。
「なぁ、鷹斗、その子結衣ってのか?有栖の従姉妹って割に何かさっきからもじもじしてるしイモ臭くて可愛くねぇな!お前こんなのがタイプなのか?」
『なんだこいつ?好きな子に構って欲しいからといってこの発言はどうなんだ?』
鷹斗は結衣が馬鹿にされた事に対して陸に怒りを感じる、そして有栖は今にも飛びかかりそうな勢いで顔を怒りに染めているが結衣が有栖の服の裾を引っ張って「有栖ちゃん・・・本当の事だから」と言っている。
『それはそれでどうなんだ?お前はそれで良いのか?』
陸の発言に怒りもせず肯定してしまう結衣に鷹斗は結衣に対しても少し苛立ちを感じながら口を開く。
「おい、陸、俺と争いたいならそうやって言えよ、関係無い結衣を巻き込むなよ、大体有栖に構って欲しいからってこんな事言うなんてお前カッコ悪すぎだよ」
鷹斗は陸に喧嘩腰で思った事をそのまま言い陸も有栖の事を鷹斗に口に出され顔を真っ赤にして怒りを露わにする。
もうこれは喧嘩が始まるだろう、鷹斗はそう覚悟していたがその前に結衣に対しても口を開く。
「結衣も結衣だぞ?俺言ったよな?嫌な事あったらちゃんと言ってって、結衣は今目の前の知らない栗頭に馬鹿にされて嫌じゃ無いのか?嬉しいのか?少なからず俺は友達が馬鹿にされて腹が立って仕方がないぞ?何もせず何も言わなかったら誰も助けてくれないぞ?」
鷹斗は結衣に対しても思った事を言うと結衣は下を向き「ごめん・・・なさい」とだけ言いしゃがみ込んで泣き出してしまい、それを見た陸が更に追い討ちをかける。
「鷹斗お前偉そうに言ってお前が有栖の従姉妹泣かしてんじゃねぇか、それにしても何も言い返さずただ泣くだけとか本当つまらない奴だーーー」
流石にこれ以上は我慢出来ない、そう思った鷹斗は陸に殴りかかっていた。
好きな女の子をからかうってのはよくあるよねー。




