思い出の記憶3
んー、、、
「母さん!有栖と昨日話した有栖の親戚の子が今、外に居るんだけど庭でお絵描きして遊びたいって話になったから縁側の方で遊んでも良い?」
鷹斗は台所で何かをしている詩織に先程決まった事を告げ、場所を使う確認を取る。
「あら、有栖ちゃんがお絵描きなんて珍しいわね〜!勿論良いわよ〜、絵を描く道具とかはおじーちゃんに聞いてね!私は後でおやつ持っていくね」
やはり詩織も有栖が絵を描くという事に驚きを感じたがそこは流石に大人なので有栖の意図をちゃんと理解して、鷹斗達に許可を出して自分も後で挨拶と一緒におやつを持っていくと言い、鷹斗は「ありがとう!」と言って廊下を走り縁側の方へと向かう。
鷹斗は走りながら絵も良いが何かそれ以外にも結衣を楽しませてあげられないかと考える。
勿論この町の景色【庭だけど】を描くのもこの町の綺麗な物の一つだから良いのだろうが、折角きたのだから楽しんで笑顔で帰って貰いたいとお節介ながら思っていた。
かといって特に思いつくこともなく鷹斗は縁側に到着して、有栖と結衣に話しかけようとしたら2人は既に先客と話をしていた。
「有栖ちゃんもこうして会うのは久しぶりじゃが大きゅうなったのぉ!」
「ありがと!おじちゃんも元気そうだね!」
「こんな所に住んだったら長生きするくらいしかやる事がないからのぅ!んでそっちの可愛らしいお嬢さんが『栄二』の娘さん、おっと、有栖ちゃんからしたら有栖ちゃんのお父さんの弟って言った方が分かりやすかったかの?まぁ、そのお嬢さんが有栖ちゃんの親戚の子なのか?」
「そうだよー、結衣ちゃんこの人は鷹のおじーちゃんでご近所の人からは勝爺って呼ばれてる人だよ!」
「あ、、、えっと、神ノ木 結衣です・・・よ、よろしくお願いします!」
「ほっほっほ、結衣ちゃんだね、覚えたよ、こちらこそ宜しく頼むわい」
結衣と有栖と勝の3人で挨拶がてら話をした所で丁度鷹斗も縁側に到着して、先程詩織と話しした事をほぼそのまま話すと有栖が「やったぁ」と喜びだしそんな有栖に鷹斗はジト目を向ける。
「有栖、その喜びは絵じゃなくて母さんのお菓子食べれるからだよね?」
鷹斗はそう言ってため息を吐く、そして図星なのだろう、有栖は結衣に「何の絵描く?」とか言って話を誤魔化している。
しかし鷹斗も有栖のその誤魔化しの話題のおかげで目の前の祖父に用事があったのを思い出す。
「ねぇじーちゃん!絵を描く道具って3人分ある?」
「ん?あー、そうじゃのぅ、鷹は自分のがあるとしてもう一個は梨沙のやつを使えば良いとして、後一つも用意出来るからちょっと待っとれ」
そう言って勝は道具を3人分用意するため家の中へ入って行き、鷹斗達は詩織、若しくは勝を待つ時間となる。
「そういえば結衣は絵描くの好きなの?」
ふと鷹斗は思ったので結衣に聞く、すると結衣では無く有栖から返事が返ってくる。
「鷹?嫌いな事しようとか言い出す子居ないでしょ、普通に考えて」
鷹斗は有栖から正論の返事が返ってきて揚げ足を取られた気分になり若干イラッとするが間違ってはいないし結衣も居るので怒りの感情は抑えて同意する。
「まぁそれもそっか!」
「うんうん、分かればよろしい!んで結衣ちゃんは実際に絵を描くのが好きって事で良いんだよね?」
有栖は鷹斗を納得させてから同じ事を結衣に聞き、それを見て鷹斗は『お前中継に入ってくる意味あったのか?』と疑問を抱いていると、結衣はまだ恥ずかしそうにしたまま恐る恐る口を開く。
「う、うん。私は人と関わるの苦手だし、運動も苦手だから・・・・」
『『好き嫌いっていうか消去法で絵に辿り着いてないか?』』
結衣は絵を描く理由として2つ挙げてくれたがそれを聞いている鷹斗と有栖は2人して同じ事を思ったのであった。
「あら〜楽しそうね!」
どこを何をどう見てそう見えたのかはわからないが3人の会話している姿が楽しそうに見えたらしい詩織がお盆にジュースとパンケーキを乗せてやってきた。
「あ!詩織さん!こんにちは!」
「あ、えっと・・・お、おじゃましてます・・・」
有栖はいつも通り気軽に挨拶をして結衣はまたも人見知りを発動している。
「あらあら!可愛らしい子ね!ウチの梨沙も結衣ちゃんみたいに可愛らしい子にならないかしら!」
詩織はもじもじとしている結衣に何か惹かれたのだろう、お盆を床に置き結衣に近づきそのまま抱きしめて頭を撫で始める。
「久しぶりに詩織さんがアレしてるの見たけど相変わらずの破壊力ね」
有栖は抱きしめられている結衣を見てボソっと呟く。
そう、詩織は可愛い物や人を見ると抱きたいてしまう癖があり有栖も昔何度も被害に遭っていた。
そして有栖の言う破壊力とは詩織の大きな胸の事であり、今まさに結衣は胸の中に顔を埋めており、手をパタパタさせている。
「母さん、結衣死んじゃうよ・・・・離してあげて」
鷹斗は流石にこれ以上は危険と判断して詩織に声をかけると詩織もハッと意識を戻し結衣を解放する。
「ごめんなさいね結衣ちゃん、つい可愛いから抱きしめちゃった!」
「あ・・・・いえ・・・・・大丈夫・・・です」
解放された結衣は少し苦しそうに返事をして息を整え直し有栖の後ろに隠れる。
「あはは、詩織さん結衣ちゃんに警戒されちゃってるね!あ、ケーキ頂いてます!いつも通り美味しいです!」
結衣に盾にされた有栖は詩織に警戒されている事を伝え更に詩織が持って来たオヤツのチーズケーキを既に食べながら感想を述べる。
「有栖、、、手ぇ早すぎだろ・・・」
「良いのよ〜有栖ちゃんはそういう遠慮しない所が家族同然って感じで私は好きだから」
鷹斗は有栖の手の早さを指摘するが詩織はそれも有栖の好きな個性とチーズケーキを食べている有栖を見つめる。
「じゃあじーちゃんもまだ来ないし俺たちも食べよっか?」
鷹斗はそう言って結衣にケーキの乗ったお皿を渡し結衣はそれを受け取り鷹斗に「ありがとう」と言い詩織にも礼を言う。
「あの、、、詩織お母さん、、、ありがとうございます、頂きます!」
そう言って結衣はチーズケーキを一口食べて『んーっ!』と体を少し動かし笑顔が溢れる、そしてそれを見ていた詩織が鷹斗に声をかける。
「ねぇ、鷹斗君、結衣ちゃんをウチの子に出来ないかしら?」
この親は何を言っているのだろうかと鷹斗は思いながらヤレヤレと首を振る。
「俺も食べるから母さんはもう戻ってて良いよ」
これ以上わけのわからん事を言われたら敵わない、そう思い鷹斗は詩織をリビングに戻す事にする。
「もー、鷹斗君は冷たいわねぇ、でもまぁ若い子達で遊ぶ時間も大事よね、結衣ちゃん、有栖ちゃん、暗くなる前にはちゃんと帰るのよ?」
「はい」
「はーい!」
詩織は2人に遅くなる前には帰るようにと言い2人から了解の声を聞いた所で手を振りながらリビングの方へと戻っていった。
「ごめんな、うるさい母親で」
鷹斗は気疲れしたであろう結衣に詩織の代わりに謝るが結衣は首を横に振り
「ううん!私、詩織さんみたいな人本当は苦手だけど詩織さんは温かくてとっても嬉しかったから」
詩織との時間はいい時間だったと結衣は言う。
それからはケーキが食べ終わるまで結衣の出身地の兵庫県の事、この徳島県の事をお互いに話しをしながら時間が過ぎていったころに祖父が絵描き道具を持って戻ってきた。
「おーい、すまんのぅ待たせてしもうて、ほれ」
そう言って勝はスケッチブック、クレヨン、色鉛筆を縁側に3人分置き
「じゃあ後は気の済むまで遊んだらええからの、後何かあったら呼んでくれな」
そう言って勝も恐らく自分の部屋に戻るのだろう、縁側を後にする。
「・・・・んじゃ始めよっか!」
鷹斗はそう言って有栖は少し嫌そうに、結衣は目を少し輝かせながら同じ言葉を言った。
「「うん!」」
過去編、長くなりそうなら1話あたりの文字数増やして出来るだけ早く本編に戻します。。。




