貴族の杏ちゃん
とぅーるるるるるるるる
「TAKA君遅いよ?これは遅刻だよ?」
階段を降りた先には杏が居て鷹斗に遅いよと冗談を入れる。
「ごめんね?杏は早いね、今度から気をつけるよ」
杏の冗談を鷹斗も冗談で返す。
「あはは、ごめんごめん、ちょっと予想より時間かかっちゃってね」
「いや、それは多分みんな気にしてないと思うけど、一体何してたの?」
鷹斗は杏が一体何をしていたのか気になって聞いてみる。
「ん?言わなかったっけ?」
「聞いてないかな・・・・」
言わなかったっけ?と言う杏に鷹斗は聞いてないと言い、それには結衣と涼介も苦笑いで頷く。
「あはは、そっかそっか、んとね、チーム抜けて来てたんだ〜」
「え?杏ってチーム入ってたの?」
そもそもそれすら鷹斗は知らなかった、そして鷹斗も知らないのだから結衣と涼介もキョトンとしているがレイは知っていたのだろう、ただ何故か顔が若干引きつっている。
「そだよ」
「へぇー、有名な所?」
鷹斗はつい先日まで完全にソロプレイヤーだったのでマイナーな所は知らないが有名どころは知っているので聞いてみる。
「まぁ有名だよ?『日の出の旅人ってとこだけど、知ってる?」
「・・・・えっ?嘘だろ?」
「あ、知ってるんだ、本当だよ?」
「知らないわけがないじゃないか・・・・」
鷹斗は杏の口から出てきたチーム名に驚き、嘘じゃないのか?と問いかけるが杏は真顔で嘘じゃないという。
「鷹斗、なんなんだその、サンなんとかベラってのは」
チーム名も覚えられない涼介が何をそんなに驚いてんの?と鷹斗に聞く。
「えっと、日の出の旅人、通称サントラはこのFCOで一番最強って言われてるチーム・・・・入団試験とかあるし」
「え〜!杏そんなところに居たんだ!すごいね!」
鷹斗の言葉を聞いて結衣は「杏すごいね!」となんだか嬉しそうな顔で杏に尊敬の眼差しを向ける。
「いや、この4人でチーム作るのも良いけど、サントラ抜けるのはもったいなくないか?」
鷹斗は流石に杏が最強ギルドを抜けるのが勿体ないと思い今一度確認をする、だがその言葉に杏はため息をつきながら口を開く。
「はぁ〜・・・・TAKA君や、だから君は駄目なのだよ、あたしはゲームを楽しく出来たら良いの!で今このメンバーでするのが楽しいからこのメンバーでチーム作るの!」
杏はそう言って鷹斗に少し怒る、そして杏の後に結衣が言葉を続ける。
「鷹君、今のは鷹君が悪いかなぁ〜」
杏は呆れた顔で、結衣はジト目で鷹斗を責める、そして鷹斗は黙り込む。
「まぁあたしのチームとかさ、どーでもいいし、サクッとクエスト終わらせてチーム作ろっか!早くしないもキャンプファイヤーの時間も来ちゃうしね!」
「そうだね!何するのかわかんないけど頑張るね!」
「まぁそうだな・・・・どうでもいいのか・・・・そうか・・・・」
「よくわからんがとりあえず付いて行くぜ!」
ひとまず杏の話しは置いておくことになり取り敢えずクエストに行くことになった。
「あ、その前に・・・・ねぇレイ!これで涼介の装備一式用意してくれない?」
一同纏まったところで出発と思いきや杏がレイに涼介の装備を用意して、とテーブルにGの入った袋を置く。
「ちょっと待ってくださいですー、えーっと・・・・ねぇ杏、何で1000万Gも出してるのです?」
「そんなにいらない?」
「いらないなのです・・・・ていうか毎度毎度どこから持ってきてるのです?」
「あはは、でももうこれと4000万しかないよ、入手方法は手切れ金としてチームリーダーから奪ってきた!あ、あと結衣、これあげる!」
そう言って結衣はテーブルに1つのバングルを取り出す、そしてそれを見た鷹斗とレイが驚き、結衣は綺麗だね〜とリングの外見だけを見ている。
「あの、杏?それってひょっとして『グリモアバングル』です?」
「そだよーかなりのレア物だからねぇ、結衣にあげるの!」
「それって風の噂で聞いたけどサントラの桜花さんしか持ってないって聞いてたけど杏も持ってたの?てか実物初めて見たよ」
グリモアバングルとは、基礎効果が攻撃魔力+50 MP+200という強い装備ならそれくらいの数値だなっていうような装備だがキューブセット枠が初期の状態でも攻撃魔法キューブが10個セット出来るという魔法使いにとってはぶっ飛んだチート装備だ。
「お、TAKA君よく知ってるね!そうだよ?これはそのビッチしか持ってないレア物だよ!チーム抜ける前に貰ってきた」
「貰ってきた?てかFCO No.1魔法使いにビッチとか言うなよ・・・・ん?てかひょっとして火竜討伐のPTって・・・・」
鷹斗は先日の杏と火山に行った時の会話を思い出して気になったので聞いてみる。
「あ〜、そうそう、桜花とリリスとミックと行ったよ」
杏の回答は鷹斗の予想通りで3人出てきた。
桜花とリリスはFCOの魔法使いで超有名プレイヤー、そしてミックとは『日の出の旅人』
のチームマスターでありFCO No.1プレイヤーとも謳われてる人だ。
「FCOのNo.1・2魔法使いとNo.1プレイヤーじゃねぇかそれ・・・・あとチムマスをパトロンとか言うなよ・・・・」
「だってお金くれるし、てかレイ?早くしてね〜」
「あ、はいなのです・・・・世の中には謎がいっぱいなのです・・・・」
そう呟きながら盾使いの装備を整えるため店の奥に入っていくレイ。
鷹斗もこれ以上話しをしても驚きがとまらなさそうなのでとりあえずこの話はここまでにする。
「杏これ本当に貰っていいの?何か凄く高そうな感じだけど・・・・」
鷹斗の話が終わった所で結衣が今一度杏にグリモアバングルを貰っていいのか確認する。
「良いの良いの!あたしもタダで手に入った物だし!」
「そう?ならありがとう!大事にするね!」
「そう言ってくれると頑張って入手した甲斐があるってもんだよ」
『きっとロクな入手方法じゃないな』
鷹斗と涼介は直感でそう思うのであった。
その後レイは着々と装備をテーブルの上に運び杏に声をかける。
「うちに置いてある装備で涼介ちゃんのレベルで装備出来るのはこれくらいなの・・・・」
「銀の鎧とそのシリーズ一式か、強化してないからあんまりキューブ付けれないけど、まぁ涼介のレベルだとこれでいいんじゃないか?」
鷹斗はレイの置いた装備を見て杏に進言する。
「んー、なんかショボいけどまぁいっかじゃあレイそれ頂戴」
「ショボいとか言わないなのです・・・・全部で15万Gです!あ、あとさっき結衣ちゃんが杏からグリモアバングル貰ってたので一応店にあるそれなりのキューブ持ってきたけど何か買うです?」
「え〜見るの面倒くさいから全部頂戴」
そう言って再び杏は一度引っ込めたGの入った袋をテーブルに置く。
『『お前は貴族か!』』
鷹斗と涼介は同じ事を思うがお互い口にはせず、杏はそのままキューブを結衣に渡していく。
「結衣、気に入ったのあったら装備していってね!たくさん装備できるから!」
「あ、うん、なんかたくさん貰ってばっかりでごめんね?」
「良いの良いの、あたしらの仲じゃん!」
貰ってばかりで気まずそうな結衣に気にするなと言う杏、そんな2人がイチャついてる間にレイは会計を計算して杏がそれを支払う。
「銀のシリーズとキューブ9個で全部で712万なのです・・・・たくさん買ってくれたので12万はサービスするのです・・・・」
「良いの〜?そんなに安く売ってサービスまでしてたらこの店潰れちゃうよ?」
「杏みたいなGの使い方する人中々いないなのです・・・・」
「ふ〜ん、まぁいっか、ありがとね!じゃあ装備もある程度整ったし行きますか!」
そう言って杏は真っ先に店から出て行き涼介と結衣も続いて出て行き、1人になった鷹斗は先程二階から持ってきた物をレイに渡して清算する。
「TAKAちゃんも買ってくれるのですね!杏のお友達は皆良い人ばかりなのです!・・・・あれ?これ買うですか?」
「あぁ、皆にあげようと思ってね、420万で良かったかな?」
「そうですか、TAKAちゃんは優しいのですね!えっと400万Gでいいのです」
「本当に安くしすぎて潰れるなよ?」
「だからさっきも言ったのです、こんな買い物する人が中々いないのです」
「そっか、じゃあありがとう、また来る」
そう言ってレイのアトリエから出て行く鷹斗をレイは見送った後、ドアを閉め一言呟いた。
「チーム・・・・私も誘って欲しかったのです・・・・」
今週の土日で一回全部見直して色々直していきます!




