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プロローグ
50年続いてきたこの花火大会も、とうとう今年で終わるらしい。
そんな噂を小耳にはさんだ。
年々、観客が少なくなってきてるなとは思っていたが、そうか。
終わってしまうのか。
6年前に行ったのを最後に、僕は花火大会には行っていない。
それなのに、どこか寂しい感じがした。
そう感じたが、無くなってしまうものは仕方ない。
そうだ、確かあの日も。
今日のような暑い日だった。
あの暑さでうだっていたのをよく憶えている。
だが、夜になると暑さがマシになり、よく晴れた空には星が輝き。
人々の目は、その空に咲き誇るひと時の花に、その目を惹き付けられ、心を奪われた。
そうだ、最後くらい、見に行ってもいいかもしれない。
独り身で寂しいが、花火を見ればその寂しさも吹っ飛ぶだろう。
久しぶりに行くとするか。
色褪せないあの夏へ。
僕が忘れられない、あの場所へ。
僕に約束を忘れさせない、あの輝きを見に。