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対話

学長室の前に着いた。

(まったく、いきなり呼び出して何の用だよ。)

学長室の扉をノックする。

「1-E黒岩、召還に応じ参りました。」

「入れ。」

「失礼します。」

厳かな扉を開けると学長は書類を整理していた。

「よく来たな。そこに座ってくれ。」

指示された椅子座っていると書類の整理を終えた学長が向かいに座る。

「久しぶりだな、クロ。」

「ええ、そうですね。学長。」




「俺ら以外誰もいないから昔みたいにしていいぞ。」

「そうか。助かる。」

「で、いきなり呼び出して何の用なんだオッサン。」

「話の前にまず先に謝らせてくれ。すまん。」

そう言って学長は頭を下げる。

「いや、なんで謝る?」

「お前がここにいるのは俺らのせいなんだ」

「どういうことだ。」

健人は学長を睨みながら殺気立つ。

「日本や米国、ヨーロッパの国々の連合は大戦で勝利した。しかし、その後の利権獲得の争いに負けたのは知っているだろう。それで済めば良かったんだがな最近、敗戦国が利権の返還を求めてきたんだ。返還したくない、利権がもっと欲しいって思ったんだろうな。まだ情報が公開されてないが米国が利権を巻き上げるためにと大会を開くことになったんだ。」

「大会ってどういう事だ?」

「利権を賭け合って優勝すれば大戦時の利権の総取りってなる大会だ。日本はこれに優勝したいんだ。」

「それで俺を軍人にするためにここに呼ばれたのか?」

「ああ、お前を知る連中は止めたんだが止めきれなかった。」

学長は苦い顔をしながら語る。

「そういう事か。まぁ、オッサン達が謝る事じゃない事は分かったよ。」

「しかし、「オッサンが気にすることはないよ。」」

学長の言葉を遮るように言う。

「すまんな。止められなかったが、政府を妥協させることは出来た。」

「妥協?」

「国としては勝てればいいからな。幾つか条件を出されたが直接の戦闘が少ない戦略班に入れてもらえた。」

「それはありがたいね。で条件は?」

「お前が戦わなくても大会で勝てる人材の発掘と育成。あと、武器は刀を使うことだそうだ。」

(発掘と育成か。正体をばれないようにするのは厳しいね。それよりも…)

「刀か。」

「国がお前用のを用意するようだ。辛いかもしれんが耐えてくれ。」

(オッサン達がいなかったらもっと厳しい状況だったかもな。)

「分かった何とかするよ。」

「済まねぇな。」

「いや、こっちこそ。色々ありがとう。」

「お前に辛い思いをさせてしまったのは俺のせいだからな。これくらいはするさ。」

苦い顔で言った学長を後目に学長室を出る。

健人は扉の前で俯く。


(学長…鬼原さんは悪くない。今も過去だって。あれは、俺の責任だから)





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