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未来からの帰宅  作者: 圧縮
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プロローグ

8月の頭に書き始め、約20日で全て書き上げました。

設定以外は全てキーワードのみのプロットで突貫工事的に書き上げたものです。


それと、下ネタと言う訳ではないのですが、尿や便の描写が若干含まれます。

アメリカだとR18指定はいりそうですが、日本では大丈夫かなと。


若干不安な初の全年齢向け作品。

最後までどうぞお付き合いくださいませ。

 武器を手に、白い継ぎ目のないスーツを着て船内を飛び回る者達。重力が半分の閉鎖空間では、通常の常識的な人間の挙動を遥かに越えた事が実現できる。体の能力を活かし、ジャンプする。あっという間に天井まで届き、天井にある手すりに逆さで捕まり、麻痺弾を放つ銃で攻撃する。

 攻撃された男達は、手にした銃を落とし、その場に倒れていく。


「援軍はまだか!」


「まだ到着しておりません!」


「第2予想侵入ルートはどうなっている!?」


「現在連絡が途絶えておりますので、現状はわかっておりません!」


「畜生!」


 そう吐き捨てた辺りで遠くから大きな爆発する音が聞こえた。


「今の音は何だ!」


「噂にあった火薬でしょうか?」


「ちっ、過去の野蛮な武器かよ! そんなものを密閉された船内で使うとは、何を考えているんだ!」


「ですが、船内の外壁はともかく、船内の内壁を壊すのには十分威力はあると聞いています」


「そんなに威力があるのか?!」


「以前見た実験記録では、有機体の壁を簡単に壊していました」


「それじゃ、この船内の通路を守っているのは意味ないじゃないか!」


「流石に酸素消費量が多すぎて全ての壁に使う事は困難かと思います」


「だが、クーデーターを起こした連中だ、何をやらかすかわからん!」


「そうかもしれませんが、この場を離れて良い理由にもなりません」


「畜生!」


「それと、そろそろ摂取時間です」


「もうそんな時間か」


 男は、壁に備え付けてある透明な板を開き、小さなケースを開け、小さな錠剤を2つ取り、口に含む。合わせて別の棚から小さなカップに注がれていた液体を飲み干す。


「痺れて寝てる奴にも飲ませておけ!」


「はっ!」


「通信網がもっと発達していれば、こんなに状態を把握できない事は無かっただろうに……。昔の科学者達は何故そちらに技術を伸ばさなかったのだ……」


 惑星外植民船団、V 方面第221船団は約250年宇宙をさまよっていた。

 彼らの星は進んだ科学で発展を遂げたが、人口が増え、そして集中していた地域は土地が汚染され、どんどん住める土地が無くなっていった。愚かな人類は、それに合わせて、土地を奪う戦争を起こし、比例的に住める土地を失っていった。

 更に愚かな事に、強力な爆弾を落とし、住める土地を一気に失わせていった。

 だが、その強力な爆弾は人類の寿命を大きく削ることになった。

 星の地軸が変わったのである。

 ほぼ垂直に近い位置になり、四季がなくなり、一部の人類は地下に移住せざるを得なくなっていった。だが、地上に残った観測班の報告により、更なる凶報が入る。

 自転周期の変化だった。

 一日24時間となっていた自転周期が、現在では34時間となってしまっていた。

 そして、より恐ろしいことに、1年で10分自転周期が遅くなっている事も判明する。

 いつかは自転周期が安定するかもしれないが、万が一安定しなかった場合、彼らの星は高温で荒廃した星と同じような天体になってしまう。

 その恐怖で世界は大混乱に陥る。


 新たに世界政府を設立し、人類救済委員会を設立し、いかにして人類を存続させるかを議論した。

 そこで出た答えは多岐にわたる。だが、実現可能な事は、惑星外の植民可能惑星に移住し、そこを新たな人類の拠点とする事だった。宇宙への進出は、既に銀河系の内部まで航行可能な船を作り出せており、更には現在住んでいる惑星に類似した惑星も一つ見つけだしていた。

 だが、その惑星に辿り着くまでに数年かかる。今すぐにでも逃げ出したかった世界政府重鎮の半数は、第一植民船団を作り、半年で出発してしまう。

 逃げ出した世界政府重鎮達に非難が浴びせられ、残りの半数は責任を取らされる事になるが、数年後の第一植民船団の一片のメッセージで世界は恐慌となる。


「植民星に辿り着く事が出来たが、未知のウィルス群に遭遇。第一植民船団は全滅」


 我先にと逃げ出そうとしていた民衆達も、この報により、二の足を踏むことになった。

 だが、植民しなければ、人類は滅亡してしまう事がわかっている為、世界政府は幾つもの区分けした地域で植民船団を組織し、送り出すことにした。

 彼らの惑星を中心とし、360度を12に区分けし、その方向に植民可能な惑星を探し出す船団を送り出した。

 V221船団は、乙女座方面の221番目の植民船団ということだ。惑星間航行技術も、太陽セイルを進化させ、燃料を必要としない技術を確立していた為、さほど問題視することも無かった。船外外壁に関しては、無機物で作られ、とても強固な者に仕上がっていたが、内壁は蟹の甲羅の様な有機体で作られ、軽くそして丈夫な物になっていた。更には、有機体ということで、人間から出るゴミでも生成可能な為、非常にローコストで作成できた。

 更には再利用も可能であり、粉砕し、分解することにより、土となり、食物を育てる土壌にも転用可能だった。

 その様な安定した環境だったが、50年経った時、フィールド状に展開し、全船を覆っていた重力制御装置が故障する。貴重な機械であったため、予備機を詰むことが出来ず、そして、知識を持っていた技術者でさえ、直すことができなかった。

 常に1Gを保っていた状態だったが、現在はその半分の0.5Gまでしか出力を上げることができなかった。逆に軽くする方面には問題なく作用した。


 その後190年、乙女座方面にさまよい続け、ようやくある植民可能と思われる惑星に辿り着く事が出来た。

 着陸し、全てのセンサーを使い、人類が生存可能な惑星かを10年という歳月をかけて調べる。

 ドローンの様な物を多数放出し、惑星の表面、そして海面、地面の至る所を調べる。生態系は違うが、人類生存可能惑星である事が判明する。更に、時間をかけ、自転周期、公転周期、バクテリアや微生物、ウィルスの有無を調べ、現状の人類であれば、対処可能な者達だと判断でき、植民可能惑星発見宣言をする。

 しかし、恒星間航行技術は出来ていたが、通信網を構築する時間を取れなかった為、他の船団への連絡が簡単には届かない。だが、少なくともここには人類が根付く事が出来ることをV221船団の者達は喜んだ。

 だが、第一植民隊が船内から出ると、民衆は恐怖に直面する。

 長年1Gという重力を体験してこなかったV221船団員は、身長こそ伸びたが、筋力は圧倒的に低下してしまっていたのだ。フィールド県外に出てしまった者が一歩動いてすぐに倒れる。そのまま動ことが出来ず、呼吸もままならない状態になり、慌ててドローンによる救助を行う。

 その様子は全ての船団員に公開されており、この光景を見たものたちの半数が植民に反対することになった。


 250年の歳月を経て人類の悲願、新天地を見つけ、新しいアダムとイブになれるはずだった。しかし、200年という半重力の世界で過ごした者達は、この環境に適することが出来ず、船団内で生きて行く事を主張し始める者達も増えた。

 この船団では議会制を儲けておくより、緊急事態における対応速度を考え、王政を復興させていた。当時の一番支持され、そして聡明だった者の血族が今も王を引き継いでいた。

 王の命令で、この惑星に対応するため、船からの放出を指示するが、半数の住民が反対している現状、従うものはほぼおらず、王命に従い、出ていこうと考えた者も結局ドローンに回収される事になった。

 再度、王の命令で出る事を指示された人々は、準備を整えていたクーデターを結構する。


「今俺達がこの惑星に放り出されれば、死ぬしか無いだろう、そんなこともわからないのか!」


「我が王がどんなにや何で下した結論だと思っている!」


「そんなの知るか! 俺達はただ死にたくないだけだ!」


 船内の酸素濃度を著しく消費する火薬を使ってまで、起こしたクーデターだ。完全に王の言うことを聞く気がないのだろう事が伺えた




「ラメール姫様。危険ですので、ここから離れた衛星軌道上に待機させてある船への転移をお願いします」


 場所は変わり、姫の部屋、女性従者一人と、皆と同じような白いスーツを着ているのだが、その上から何故か白衣を着ている女性が一人。その者は手元に浮かぶ白い発光体、何かの捜査パネル兼入出力体を操作していた。


「わかりました。貴方達はどうするのですか?」


「ここで反逆者達を食い止めるつもりです」


「危険です、一緒に行きましょう」


「いえ、私も従者として姫にお使いしてまいりましたので、矜持と言うものでしょうか、そのようなものを持っておりますので、お守りさせて下さい」


「わかりました。無事で居るのですよ?」


「はい」


 真円の台の上にラメール姫は立つ。銀色の髪が腰まで伸び、細身の体だが、その髪が美しく飾っている。体のラインが出る白色のスーツを着ており、体型は凹凸がはっきりとした魅力的な女性だった。


「それではお願いしますね」


「承知致しました」


 白衣の女性が返事をすると、機器を操作する為に白い発光体を操作する。数値を入力し終えると、実行ボタンを押す。

 ラメール姫の足元から光が溢れ、最終的には球体の光が姫を包み込む。


「えっ?!」


 突然白衣の女性から驚いた悲鳴があがる。


「どうしたのですか!?」


「座標が……、全く知らない数値に変わっている! いや、変わり続けてる!」


「緊急停止して下さい!」


「駄目! 操作受け付けない!」


「光子エネルギー送信中止! 急いで下さい!」


「指示受け付けない!」


「なんてこと!!」


 キーンと甲高い音が辺りに鳴り響く。音の頂点と思われる辺りで光の球体は姫ごと消えてしまった。


順次、校正が終わり次第上げていきます。

遅くとも翌日昼までには全話公開予定です。

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