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たぶん誰も見てないと思うけど投稿。
ガクッと身体が落ちそうになり、目が覚める。
(やっちまった・・・かっこつけて木の上で寝るんじゃなかった。レオンの真似をしたのがまずかったか。どうしよ)
転生してから6年、俺は今、木から降りられなくなっていた。
(昔と比べて、身体能力が高くなったから木登りくらい楽勝だと思ったんだけどなぁ。実は俺、高所恐怖症だったのかもしれん)
木の上で読書をしようとしてみたはいいものの、こうして降りれなくなっているならかっこよさもなにもあったもんじゃない。むしろマイナスだ。先ほどまでの不貞寝も、木から落ちかけたせいで怖くてもう一度実行できない。
さすがの俺も、この状況で読書できるほど肝が据わってはいない。
さてどうするか、と悩んでいると、ふと遠くからやってくる小さな人影が3つ、こっちに近づいてきているのが見えた。救助隊来た!これで勝つる!!
その人影達は近づけど近づけど大きくなる気配はない。そりゃそうだ。あいつらは大人じゃなくて、俺と同じ6歳のちっさい子供だからだ。
近づくにつれ、そいつらの容貌がはっきりしてくる。
一番左を楽しそうに走っているのはノエルだ。
黒髪ショートカットの女の子で快活で誰にでも親しげに話しかける、コミュ力化け物な子である。
その横、真ん中を走っているのはレオンだ。
ノエルと勝負でもしているのか、抜いて抜かされてを延々と繰り返している。
性格は一途で熱血。それが外見にも表れているのか、燃えるような赤い髪でなおかつ—動作の一つ一つがイケメンだ。
一番左を——といってもかなり引き離されており、横並びではないが——走っているのはアイギス。
早い二人に置いて行かれまいとわき腹を抑えながらも必死に走っている。がんばれ。
白い髪に金色の瞳と、幻想的な見た目でとてもおとなしい女の子だ。よく本も、絵本や童話だが、読んでいるのを見かける。俺が本が好きなのもあって、この中では一番話が合う。
みんなとても優しい子達で何より——俺の今世での親友だ。
精神年齢が16歳であったため、ほかの子供と遊ぼうとしてもうまくいかず、1人ぼっちになっていたところを仲間に引き入れてくれた。彼らからは【博士】と呼ばれていて同年代の中のお兄さん的な立ち位置として受け入れられている。
転生して、年齢の関係上、たとえみんなの遊びがつまらなかったとしても仲間外れにされて一人ぼぉーっとしているのはなかなかつらく、感謝してもし足りない。しかも彼らは俺のことを配慮してか、年齢が上でも楽しめる遊び、ボードゲームや鬼ごっこなどを主にやってくれるのだ。・・・年下に気遣われるとはこれ以下に・・・
そうして、俺が恥ずかしさのあまり悶絶していると、ここにようやくレオンたちがたどり着いた。
「ちくしょぉー もう少しで勝てそうだったのにまけちまったぜ。でも、次こそはまけねぇからな!!」
悔しそうにしゃべるのはレオンだ。会話から察するに、どうやら負けてしまったようだ。
そして、勝ったほうはというと・・・
「へっへ~ん!ノエルにかてるわけなんてないし!!ぜんぶまけてるくせに次はかつだなんて、チョーシにのってるね!!ひゃくねんはやいわぁぁぁ!!」
ものすごいどや顔で荒ぶっていた。
(なんつーかあれだな、ものすごく殴りたくなる顔ってこんなんだったんだ!ってなるやつだ。っとアイギスは——まだ来てないと。ならさっさと助けてもらお。こんな恥ずかしいとこ、見せたくないし。)
正直レオンとかノエルとかにも見られたくない。後で絶対馬鹿にされる。
だが、アイギスにみられるよりはましだ。背に腹は代えられない。俺は覚悟を決め、助けを求めた。