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世界は運命を変えるほど俺たちを嫌う  作者: 池田ヒロ
最終章 過去から現在へ、現在から未来へ
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世界

 運命を変えてくれた『女神』様がいた。それはあまりにも美しく、見惚れてしまうほど。


 己の『存在』意義がよくわからない。心の中でいつも自分に対して問い質している。


 勝手に『罪人』として見られている。何度も否定はしたはずなのに聞いてくれない。


 細やかに祈っていたのがただの『理想』と化してしまった。その手を伸ばしてももう届かない。


 ずっとそれは彼らに訴えかけてきていたのに。ずっとそれは彼らに声をかけてきていたのに。何度も、何度も誰も気付くことが一切なく、その呼びかけに応じてくれない。なぜなら、彼らは自分自身で手いっぱいだったから。


 偶然と必然が交差して、巡り巡り出会った運命に感謝することもなくく、その垂直線上にあやかって日々を過ごしている。他愛もない話。くだらないやり取り。さあ、ご飯ができたよ。みんなで食べよう。彼らはそれに気付こうとせずして食卓を囲う。テーブルの上には目を輝かせるほどのご馳走がいっぱい。誰もが目をキラキラさせて――ほら、美味しそう。すべての命に感謝して、手を伸ばす。熱々のお肉は口の中で火傷しそうかい? 新鮮な野菜は味があって頬が緩むだろう? こらこら、まだまだ余っているんだから、けんかをしないの。そのけんかを見て彼らは笑う。ああ、こんなにも幸せなこと、楽しいことってあったんだね。


――なんでだろう。


 幸せって一瞬にして崩れ去るから。ずっとは続かないのが現実。まるで砂の山みたい。いとも簡単に踏み潰されて、その怒りの矛先はすべて彼らに向けられる。彼らもまた自分たちの内を責め立てる。


 お前が悪い。お前のせいだ。お前の原因だ。


 なぜだか、最初から幸せって存在しないみたいなことになっているようだ。彼らって何をして幸せを失くしてしまったんだろうか。哀しいな。


 好きな人がいるにしても、敵だって思っちゃう。そうだ、敵は全部断ち切っちゃおう。それがいいよ。断絶して、二度と手を握れなくしちゃおうよ。


 それらは彼らの意思であるだろうか。いや、それは彼らの意思として見立て上げるだろう。心の深淵を覗いてごらん。彼らは助けてともがいちゃっている。哀しいね、哀れだね。彼らには誰が助けてくれるんだろうか。きっと、誰も助けてくれないと思うよ。なぜって、わかるでしょ?


 それはずっと、ずっと、ずっと彼らに呼びかけてきていたんだよ。それを彼らは蔑ろにしてきたんだよ。それならば、誰も助けてくれるわけない。一生このまま。永遠に誰も彼らの手を取ってくれない。もちろんそれは誰よりも強く熱望していたから。彼ら以上にすべての願いを撃ち消すほどの嫉妬と妬みを持ち合わせていたから。


 そう、彼らは『世界』が運命を変えるほど嫌われているから。


 それでも、と彼らは目の前にある小さな希望にすがりつくしかない。

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