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世界は運命を変えるほど俺たちを嫌う  作者: 池田ヒロ
第三章 罪人たちによる奪還戦
49/96

限界

 青の王国の王城内のとある箇所だけ、重々しい空気が漂っていた。そこは会議室。上座に国王エブラハムが鎮座している。その後方にはエレノアがいた。室内の円卓の周りの席には十二人の王国軍や政界などの重鎮が並び座る。そこにはもちろん、ラトウィッジやエドワードもいた。


 今から行われるのはエブラハムが王子時代だった頃の三銃士軍団員との定例会議である。その場にいる誰もが国家の重要ポストに務めているのだ。


「エレノア様、現在メアリー王女を奪還するために投獄したはずの三銃士軍団員を解放されたとお聞きいたしましたが、正気なんですか?」


 政治に対する褒章――翠政統(すいせいとう)褒章(ほうしょう)を装着した白髪交じりの男性がエレノアに問う。彼女はそれを肯定した。


「私は彼らに可能性があると見込んでいるんだ」


「だとしても、報告は受けていますよ。現スタンリー家の当主がそれに加担している、と。過去の歯車を利用する気ですか?」


「あの子に所有権はないよ。あるのは別のやつさ」


「それは、一体誰でしょうか? フォスレター総長は聞かれているのか?」


 戦略に関する勲章である、紫武略勲章(しぶりゃくくんしょう)を持つ丸眼鏡の壮年男性が手を組みながら発言する。


「……元学徒隊のデベッガ隊員だ」


「デベッガ。ああ、平民上がりの子ですか。彼は滑稽でしたね、王女の誕生日プレゼントにあんな安物のイヤリングを渡すなどと」


 金富財褒章を持ち、恰幅のいい男は失笑をしながらテーブルに置かれていたお茶を啜った。


「昔は三銃士軍団に平民なんていなかったはずですよ。それも三人も輩出しているなんて。いや、それよりもどういう意味ですか? ただの平民がなぜこの歯車の所有権を?」


「それがどうしたって言うんだい。確かに貴様たち元三銃士軍団員も先代もその前も全員貴族だが、関係のない話だね」


「いえ、母上。関係大ありです」


 今まで口を噤んでいたエブラハムが開いた。


「私もラトウィッジもデベッガとキンバーへの見る目がなかったんです。あのバケモノに対する戦力になる、と大きな期待をし過ぎたのです」


「いやいや、国王様は何も悪くはない。悪いのは私たちを騙した反逆者ですよ。しかし、キンバーはエイケン氏からも報告を伺っておりますが、半異形生命体ですか。『嫌な話』を彷彿させますね」


 学術に対する褒章――碧学知褒章(へきがくちほうしょう)を服に装着し、老眼鏡をかけた男性――生物学会会長が鼻でため息をつく。ハイチの名前にエドワードが反応を見せた。


「…………」


「二人ほど、でしたっけ? 『MAD計画』」


 生物学会会長と同じ褒章を持つ中年女性が眉根をしかめる。今回の会議での資料にも『MAD計画』について記載されていた。


「あのUSBにあった……」


 エドワードが怪訝そうに、資料を見ながらラトウィッジの方を見た。何もかも、キリが関与している話である。アイリの監視についてもほとんどがうやむやになっていたのだが――。


 エドワードがこめかみに手を当てて険しい表情を浮かべていると、蒼武術勲章を持つマティルダによく似た男性が声をかけてきた。


「トルーマン、何があった?」


「……いえ、何も。いや、言うべきでしょうか」


「デベッガ隊員についてか」


「と、学徒隊のハルマチ隊員です」


 エドワードがアイリの名前を告げると、金富財褒章の恰幅のいい男性の片眉が僅かながら上がった。


「ハルマチ?」


 碧学知褒章の女性がどこかで聞いたことがあるような素振りを見せる。そして、思い出したように小さく頷いた。


「ああ、あの除籍になった編入生の子。ラトウィッジさんがあの子とキンバーさんの行方をご存じなんですよね?」


「行方というよりも行き先としか言えないが、白の公国の方面へ逃走した。トルーマン、そのハルマチ隊員のことについて詳しく教えてくれないか? どうして、彼女を編入させたのか」


「実は――」


 エドワードはアイリの編入隊の件についてその場にいる全員に話した。それは、キリとセロが監視をしているという件についてである。その事実に一同は渋った表情を見せた。


「なので、デベッガ君とハルマチさんは何かしらのつながりがあるはずです。だけれども、それがなんなのかさっぱり……」


「何かとは。それはおそらくでもない、黒の皇国つながり以外のなんでもないだろう? その者は過去の歯車の所有者なのだぞ?」


「所有者は黒の人間扱いかい?」


 エブラハムの発言にエレノアが見てきた。二人の目はぶつかり合い、他の十二人は萎縮するしかない。


「でなければ、どう扱えと? 所有権を放棄しなければ、死なぬ人間など人と呼べますか? なら、我らを人として見ぬ黒の者と同列に扱うべきでしょう」


「……国王様、話がずれてきております。本題に入りましょう」


 今にも親子げんかが始まりそうな雰囲気をラトウィッジたちが止め、話を進めた。


「では、お手元にある資料、『MAD計画』についてです。元学徒隊のキンバー隊員を改造した人物の報告です」


 一同はテーブルの上に置かれている資料を見ながらラトウィッジの声に耳を傾けた。


「まずは間違いなく、その『MAD計画』を学会で発表し、追放された者は二名で間違いないです。そして、彼らの行方は黒の皇国でしょう。その内の一人の所在は皇国へと送り込んだ部下が確認しております」


「それがキンバー隊員を改造した人物ですか?」


「はい」


「して、やつの名はまさか?」


 紫武略勲章の丸眼鏡の壮年男性がそこまで言うと、眉間にしわを寄せた。優しそうな面持ちから一変して険しい表情へと変わる。だが、ラトウィッジは言いたくもないとでも言うような顔を見せていたが、言うしかないのだ。重々しく口を開いた。


「……バグスター」


「あのじいさんか」


「だが、ラトウィッジよ。そのじいさんの名前を出すならば、やつもでは?」


 ケイに似た男性がこちらを見てきた。それに一同は誰もが納得する。


「可能性が高い」


 彼らが知っている人物である。その人物はこの場の誰もが信頼していた人物でもあった。だからこそ、その場に沈黙が訪れる。


「彼もあの人と同様にキイ教に魅せられたとても言うのかしら?」


「キイ教……」


「そう、キイ教と言えば、黒の皇国の国教とてでも有名ではありますが。気になる噂を聞いたのですがよろしいですか?」


 もうラトウィッジの話を止めにしたいとでも言うように、翠政統褒章の白髪交じり男性が話題を切り替えてきた。


――気になる噂?


 そう言われるとエブラハムもエレノアも気になるのか、そちらを見た。「皇子のことなんですが」と言葉を続ける。


「ハイン皇子が今度結婚するらしいのですが、それの相手がメアリー王女という噂が――」


 その言葉にエレノアは頭を抱えてエブラハムの方を見た。斜め後ろの姿からしか見えていないが、彼のその雰囲気は棘々しい。明らかに憤怒している。だが、エブラハムのその様子に気付いているのは彼女だけ。他の元三銃士軍団員たちは動揺を隠せずに困惑していた。


「その噂、どこから聞いた?」


 エブラハムの声音は明らかに低い。


「数日前に赤の共和国の外相から聞きました。ですが、これはあくまで噂なので、なんとも言いようがありません」


「……黒の皇国との交渉はどうなっている?」


「依然として変わらず、何も返事はありません」


 黒の皇国と戦争が起きないように、今は亡き皇国の皇妃の無武力的活動宣言を尊重して――まだ同時侵攻防衛戦の傷が癒えていないこともあってか、ある程度温和的にメアリーを奪回しようと交渉を続けてきていたのである。しかし、エブラハムにとって、それは限界に達してしまった。円卓を拳で強く叩く。それに誰もが口を閉ざす。全員がそのことを知っているから。その部屋は静寂に包まれる。


「え、エブラハム?」


「大至急、白の公国へ軍隊派遣の要請を。そして、国中からすべての戦力を集めろ」


「こ、国王様、それは……」


「黒の皇国へ侵攻するのだっ! もう、皇妃の意志など知らぬ! 絶対にハイン皇子を捕え、この国で処刑をしてやるのだっ!!」


     ◇


 冷たい牢獄。そこには首と足に鎖でつながれたメアリーがいた。彼女は膝に顔を埋めている。一日中、ずっとそうだった。その一日の中で思うことは青の王国へ帰りたい思い。帰りたくても帰れない。強引にでも鎖から抜け出したくても、厳しい警備のせいで実行することは叶わないようだった。


「…………」


 今のメアリーにとっての心の拠り処はキリからもらった青色のイヤリングだけ。だが、その片方を失くしている。どこへ行ってしまったのか全くわからない。


 それを手に握りしめてじっとしていると、こちらへと来る足音が聞こえてきた。急いでそのイヤリングを隠す。その足音の持ち主はメアリーがいる牢の前へとやって来ると、鉄格子の鍵を開けて入ってくる。ハインだ。相も変わらず、腕なしの仮面をしているせいか、彼を不気味に思う。


「やあ、おはよう。ご飯を持ってきてあげたよ。お腹空いただろう」


 声音はとても優しい。そんなハインがメアリーに差し出すのは――。


「僕が食べさせてあげよう」


 ハインは銀色の容器の中にある物にスプーンで掻き混ぜ始めた。


 思わず耳を塞ぎたくなるほどの不快音がその場に響く。それがなんであるかを知っている。一日に一回、ハインはそうしてメアリーのもとへ持ってくるからだ。


 掻き混ぜられる音を聞くだけでも吐き気を催す。メアリーは口元を手で塞いだ。


「ご、ごめんなさい。私、お腹空いていないの」


 他の監視員からは質が悪いとはいえ、ハインが持ってくる食べ物よりは随分とマシな物をもらっている。故に、それでどうにか生き延びているのだ。しかし、その食事を断れば、彼は激怒する。器をひっくり返す勢いでメアリーの顔を掴み取り、無表情の仮面を近付けてきた。


「……僕の愛情がこもったご飯が食べられないというのか?」


 愛情なんてあるものか。メアリーは床にこぼれた物を見た。そこにあるのはプルプルとしたジェル状で赤みのかかった肌色の何か。妙に金属臭がする。生臭い。それが近くにあるだけで、見ただけで吐き気が。


 ああ、見るんじゃなかった。ほら、胃の底から何かが押し寄せてきている。かろうじて喉でなんとか留まらせている。そんなメアリーをよそに、ハインは彼女の口をこじ開けようとしてくる。拒否反応を起こしていてもお構いなしだ。


「指を噛んでみろ。その煩わしい青い目を抉り取ってやる」


 口の中に白い手袋をした指をすべり込ませて隙間を空けた。そこから床に落としたスプーンを拾い上げ、それを一口サイズにすくう。床自体が皿であるとでも言うようだ。スプーンの上に乗っている赤い何かが近付いてくる。


 首を横に振った。食べたくないから。だが、ハインは意地でも食べさせる気である。それを口の中へと無理やり入れさせる。同時に強烈な吐き気が込み上げてくる。舌に伝わる金属と砂と生臭いジェル状の物。


「吐いてみろ。お前の腹から臓器を引きずり出して食べてやる」


 恐ろしくて逆らえない。もう一口を中へと入れてくる。


「ゆっくり百回、噛め。卑劣な民族らしく、音を立てて食え」


 噛むだけで、音を立てるだけで涙があふれ出てくる。それでも、ハインは満足そうにこちらを見ている。


「美味しいだろう? 最高だろう? 今の自分が何者であるか、再確認できるだろう?」


 死にたくない、なんとかして帰りたい。その一心でメアリーはハインの言うことを聞き続けるしかないのだ。


 吐き気に耐えながらも噛み砕かれて、元がなんであるかわからない唾液塗れの生物を飲み込んだ。まだ口の中に異臭が立ち込める。そのせいで、食道の方へと行ってしまった物たちが逆流しそうになる。自分を落ち着かせるように、メアリーは口元を手で押さえて呼吸を整えようとした。口から出さないようにしていたせいか、飲み込んだ物が鼻から少量出てくる。鼻の奥がつんとして不快だ。


「ああ、メアリー。もっと食べたいだろう? 食したいだろう? なんて言ったって、きみは卑しい生き物なのだから」


 そう言うハインはメアリーの金色の髪の毛をなでた。ひっくり返った銀色の器を手に取り、床にこぼれた生物をスプーンで移し替える。そして、再び強引に彼女の口の中へと入れようとした。


「ごめんなさい! ごめんなさい! もう、食べられません!」


 メアリーは涙を流して、毎日そうしてハインに乞う。それでも彼女の悲願に聞く耳を持たない。その仮面の奥でどのような感情を持って自分を見ているのだろうか。


「嘘はいけないよ。食べられる。毎日食べているんだから。ほら、その口を開けて」


 また口の中に入れさせられた。今度は小さな固形物も入っているようである。


「はい、百回」


 違う。確かに毎日こうして食べさせに来てはいるが――。


「ほら、嘘だった。きちんと食べられるじゃないか」


 こんな物を食べて、自分は平気なのだろうか。なんだかわけのわからない変なものが体中に支配されている気がしてたまらない。だから、何かしら頭の中で考えていないと、気が狂いそうだった。


 嫌だと言いつつも、結局は食べてしまう。未だに慣れていなく、それを見ただけで吐き気がするはずなのに。それに従う自分がいる。いや、もう気が狂っているのだろう。こうして、毎日食べさせてもらっている時点で。


「ああ、なんて卑しい生き物なんだい? そして、なんで僕はこの人外に恋をしたのだろうか」


 決まってハインはメアリーが銀色の容器に入った物を食べ終わると、そう言ってくる。だが、その告白は彼女にとって聞きたくない話。彼は自分がしていることは愛だという。彼は好きな人にそれを食べさせることが愛だと断言していた。


 そうには思えない。


 好きな人に自分の手作り料理を食べさせるのは当然わかる。だが、このような物で好きな人に食べさせたいという思いはおかしい。限界、嫌だ。


「……もう、家に帰してください」


 何度言ったことだろうか。それでも帰してくれない。愛が足りないからだと言ってあれを食べさせに来たり、愛について語ったりしてくる。これ以上は嫌だ。


「大丈夫だよ、メアリー。きみの家はここだ。ここがきみの家となるんだ」


 何が家なものか。首や足が鎖でつながれている。これのどこが家にいる人間の状況であるか。家畜と何ら変わりない。いや、それ以下だ。食べさせているのが人でも家畜が食べるような物ではない。そう、ハインが愛するのは自分であることに変わりないが、人としては見てない。見てくれていない。だが、同時に家畜としては見ていない。なんとして見ているのか。


「僕はね、きみをすごく愛しているんだ。こんなに醜い姿をしても、メアリーはとてもステキだよ、って」


 全く嬉しくない言葉だ。ハインはメアリーの髪を優しくなでてくる。


「この金色に輝く髪の毛も、人でなしの目の色も。どれも醜いはずなのに美しいよ」


 ハインはそんな口説き文句を言うと抱きしめてきた。不気味にも温かいと思う。不快感に思わない自分が憎たらしい。


「ああ、メアリーを僕の所有にしたい。この醜くて卑しい生き物の『あれ』を食べてみたい」


 なで回される腹に鳥肌が立った。


 自分が狂っていると言ったが、ハイン自身が一番狂っていた。あまりの恐怖に震える。あまりの絶望に涙があふれ出てくる。それに気付いて涙を拭いてくれた。


「おや、どうして泣くのだい?」


 メアリーは首を横に振った。


「もしかして、そんなにメアリーの『あれ』を食べて欲しいのかい?」


 耳元でぼそりと呟いてくる。メアリーは否定するように首を横に振った。しかし、それが見えていないのか、はたまたわざとなのかは定かではないが、笑いながら「しょうがないなぁ」と言ってくる。


「それならば、式を挙げようか。そうすれば、メアリーは晴れて僕の所有物になるし、『あれ』を食べることだってできる。嬉しいだろう? 光栄だろう? 人間様に自分のを食べてもらえるなんて」


「い、嫌です! そ、そんな――」


 恐ろし過ぎて、否定の言葉が出てこない。『嫌』だけ。


「嫌なわけないだろう? なぜに否定する? 人ではない生き物が何を怖がる?」


「…………」


 言えば、恐ろしい。だからこそメアリーは黙っている。


「ほら、言ってごらん? もしかして、夜一人で寝るのが寂しいのかな?」


「……いえ」


「じゃあ、何かな? ああ、もしかしてMAD化かな? 安心して、きみは十分そのままでもMADだから」


 口を割ろうとしないメアリーにハインは髪の毛を引っ張り始めてくる。言い訳が見つからない。眼球を圧迫してくる。今、自分が思っていることを言ってもいいのだろうか。


「言えよ」


 ついに痺れを切らしたハインはメアリーの右頬を殴った。彼女は力なく床に倒れ込む。


「僕が質問をしているだろうがっ! 早く答えろよ!」


 抵抗する力がないメアリーに追撃を食らわせてくる。上に乗ってきて、顔面を、腹を殴ってくる。そのおかげで胃の中に収めたゲテモノが出てきてしまった。汚い床には真っ赤な物が広がる。それを見て、もっと胃から出してしまった。


「何、持ってきてあげた物を吐いているんだ!? 今すぐに食えっ! 床を綺麗に舐めろっ! においが取れなくなるまで舐め続けろっ!」


 吐いた物の上に頭を押しつけてきた。独特の異臭が逆流を誘い出す。それで抑える体力もないものだから、赤みのある胃液をまた吐き出した。


「おらっ! さっさと舐めろ! お前はバケモノなのだろう!? それならば、それらしく卑しく舐めろ! ×××を舐めるみたいにして、その舌で舐めろよ!」


 牢獄の騒ぎを聞きつけた監視員たちがハインとメアリーを引きはがした。


「放せっ! 僕を誰だと思っている!?」


「お、皇子! 落ち着いてくださいませ! そろそろ時間です!」


 監視員の連絡に牢獄の方へとすっ飛んできた大臣も入ってきて止めようとする。時間というのは真っ赤な嘘である。誰もがこの現状を見ていられないから。その理由で止めに入ってくるのだ。


「公務の時間であります! このような、下劣敵民族のお相手をしている場合ではありませんよ!」


「やかましい! それぐらいわかっているが、こいつ殴らせろっ! 僕が、僕が……丹精込めて作った物を吐き出したんだぞ!」


「お気持ち、察しておりますから! 皇子!」


 大臣に呼び寄せられた数名の皇国軍人に牢獄から連れ出され、ようやくその場に静けさが戻った。ハインがいなくなったこの場で彼は監視員に床に転がるメアリーの傍――嘔吐物を指差す。


「すまないが、彼女のところの床を綺麗にしてあげなさい。メアリー王女、ご無事ですか?」


 大臣たちは毎日現行の暴力をぶつけられているメアリーを同情していた。そして、どうにかして彼女を青の王国へと帰してやりたかった。そう、そうしてやりたいのは山々だが、後始末のハインが怖くて実行に移せそうにもない。


 黒の皇国民の半分は知らない。ハインが自身の母親である皇妃を殺害したことを。彼らは知らない。彼が青の王国から生まれた反政府軍団とキイ教関係宗教団体企業であるコインストと手を組んで何かの計画を企てていることを――。


 現在の皇国の政権や軍指揮権は全てハインが握っている。表向きの相談役の大臣であろうとも、この現状を変えることは何もできないのだ。


「……家に帰りたい、です……」


 泣きながらに訴える、小柄な少女のお願いすらも叶えてあげられない大臣は眉間にしわを寄せた。


「申し訳ありません。それは、私の力では到底及ばないものでして……」


 自分の役職はただの上辺だけとなっている。かつての皇帝の相談役としてが――現在はハインに対して、政治や軍指揮への口出しができなくなっている。それも反政府軍団員やコインストがいるからである。


「すまない、水を持ってきてくれるか? 王女、今は何か食べることができますか?」


 優しい言葉にメアリーは再び涙を流した。だが、吐いたばかりで何も食べる気は起きない。彼女は要らないと断った。


「でも、いつもありがとうございます」


 ハイン以外の、彼らがいるからこそ、メアリーはまだ正常を保っていられることがかろうじてできているのだろう。自分はまだ狂っていなかった。正直、ハインがいない今の時間が彼女にとって安心できる時間であった。


     ◆


 大臣はメアリーが嘔吐した物の片付けを手伝い、ハインのもとへと向かった。彼は書斎で公務を行っている。手元には青の王国からのメアリー返還についての書状があった。毎日、毎日――彼らは彼女が自分たちのところへと戻ってくることを切実に願っているらしい。それは、武力は一切なし状態で。しかし、その毎日来る書状に嫌気が差しているのかハインはその書類を破り捨てて、大臣に渡してくるのだ。


「捨て置け」


 ただ、その一言だけを言い残して。それ以外の言葉は何もない。大臣も下手に詮索はできない。だから――。


「かしこまりました」


 素直に従うしかない。


 もうこの国に救いはないのだろうか。なんて思っていると、ハインが呼びかけてきた。


「僕は決めたぞ。三ヵ月後、彼女との式を挙げる。そろそろ、挙げてもいい頃じゃないかって思ってね」


「式ですか?」


「ああ、きっと僕とメアリーも待ち望んでいることだ」


「青の王も呼ばれたりは――」


 大臣がそう言いかけたとき、ハインは机の台を強く拳で叩いた。それに肩を強張らせる。無表情の仮面が恐ろしいと感じた。


「なぜにそいつを呼ばねばならんのだ。他の国の連中も呼ぶ必要はない。この国の者たちだけが祝ってくれるならば、僕はそれだけでいい。それに越したことはない」


 メアリー奪還を恐れているのだろうか。しかし、この機会はまたとないチャンスである。なんとしてでも彼女を青の王国へと帰してやりたい。そして、あわよくば、この未来のない政権を変えたい。


 大臣の心の奥底には野心が生まれた。


「……それならば、皇子。戴冠式もかねての結婚式はいかがでしょうか? 公開式典とやらですよ」


 もう反逆者などと呼ばれたっていい。


「ほう。それはいいな。父上も母上もいないし、僕自身が皇子だというのもおかしな話だしね」


「皇子はもう、成人されておりますし、政治に関してもお勉強をされたでしょう?」


「ああ、大臣が教えてくれたりしてな。よし、そうしよう! さっそく準備に取りかかってくれ!」


「かしこまりました」


 次の国民的式典でハイン皇子を暗殺せねば――。


     ◇


 少し焦げくささが残る零落の村付近にある避難所にて。ターネラとソフィア、フェリシアは王国軍及び、土木関係会社の者たちと共に村の建て直しを手伝っていた。少しでも村に活気が戻って欲しいと願うターネラは一所懸命奮闘する。


「おっと、っと!」


 大量の土が盛り入れ込まれた一輪車を押していて、よろけそうになる。それをソフィアが支え助けてくれた。


「そんなに急がない方がいいぞ。ゆっくり運びな」


「はい、ありがとうございます」


 ソフィアとフェリシアたちは自分のことを心配してくれている。半年前にこの場で家族全員を、村人たちを殺された自分に気を使っているのだろうか。いくら自分と過去の歯車の護衛だとしても――メアリーを奪回すれば、彼女たちの先はどうなっているのか予測がつくのに。


 ターネラが一輪車を指定された場所へと押していると、作業現場に一台の装甲車が停車した。その車から出てきたのはラトウィッジである。彼の姿を見てソフィアとフェリシアは怪訝そうな表情を見せていた。しかし、用事あるのは彼女たちではないらしい。ラトウィッジは土木関係会社の者と設計図を見ながら話している王国軍の者の方へと近付いていき、何やら話し合っているようだった。


「何を話していらっしゃるのだろうか?」


「わからない。けど、ラトウィッジ様がここに来ているといるのは何かあったに違いないのは間違いないんじゃないの?」


 三人が不審そうにラトウィッジたちを見ていると、作業をしている王国軍の者たちだけを集め出した。周りは何事かと本格的に注目し始める。集合した彼らに何かを指示でもしているようだ。これに土木関係会社の者たちも、関係のない彼女たちも声は聞こえやしないが、黙って見つめていた。ややあって、召集されていた王国軍人たちはラトウィッジに向かって敬礼をし、作業現場から立ち去っていってしまう。唖然とする三人のもとに会社の者の一人が通りかかった。


「あの、何があったんですか?」


「召集命令がかかったそうだ。黒の皇国へと侵攻するからと」


 その言葉に三人は顔を見合わせた。なぜに? なんて疑問を浮かべていると、フェリシアの連絡通信端末機より、着信が入った。相手はエレノアである。


「はい、どうされましたか?」


《黒の皇国の件について話があるんだ》


「侵攻の件でしょうか?」


 そう言うと、エレノアは驚いた様子でなぜに知っているのか訊ねてきた。それにフェリシアはラトウィッジのことについて話す。


《そうかい、妙なタイミングなもんだね》


「私たちはこちらで作業をしていても、問題はありませんよね?」


《で、あるが。貴様たちも話を知っていた方がいいだろうね。詳しい話をする。明日迎えを寄越すから王都においで》


「わかりました」


 フェリシアが通話を切ると、愁眉を見せるターネラが声をかけてきた。


「エレノア様はなんと仰っていましたか?」


「明日、こちらの方に迎えを寄越すみたい。王都で話をすると」


 それならば、翌日は作業現場にいないということを言わなければ。三人は現場監督にそう伝える。そして、様々な疑問を浮かべながら作業へと戻っていくのだった。


     ◆


 エレノアに呼ばれて、三人は彼女の付き人に場所の案内された。王城内にある離れへと連れてこられる。中では静かにお茶を啜ってターネラたちの到着を待っていたようである。


「すまないね、いきなり」


「いえ、構いませんよ」


 三人に座るように促しながら、お茶を淹れてくれた。


「ありがとうございます」


「それで、エレノア様。王国軍が皇国へと侵攻するとはどういうことでしょうか?」


 恐る恐るながらソフィアがそう訊ねた。エブラハムは武力なしでメアリーを奪回すると聞いていたのだが――。


「状況が変わったんだよ。婚約、結婚の噂がエブラハムにバレてしまったんだ」


「だから、兵士たちを集めて……」


「本気の総戦力のようだよ。王国軍、民兵、学徒隊。それに白の公国の援助も求めるそうだ」


「そうであるならば、姫様を助けに行ったみなさんは?」


 キリたちは王国軍とは違う、どこの軍にも所属していない孤立した軍団である。ただの王族私軍の三銃士軍団ではない。本物の私軍。孤軍だ。そして、エレノアの表情を見る限りだと下手すれば、彼らに危険が及ぶのではないかと言うようなもののようだった。


「エブラハムはこの奪還作戦において、三銃士軍団を王国軍として見ていないからね」


「もし、彼らが先に奪回したとして、軍がその姿を目撃していたら?」


「下手に攻撃される可能性があるね」


 その可能性に三人は眉根をしかめた。


「王国軍の作戦での現地指揮監督はラトウィッジのようだから、ある程度の話はつけられるだろうから問題はないんだろうけど――」


「不安要素はあるんですか?」


「現場指揮監督がラトウィッジで、総指揮監督はエブラハムなんだ。あやつがどこに本部を置き、最終的な指揮決定権をどちらが持つかによるんだ」


「それはまだ決まっていないんですか?」


「いや、決まってはいるんだろうが。私はもう、政治にも軍事関係にも関与してはいない立場だしね。それに王国軍ではない三銃士軍団の指揮官だ。教えてもらえるはずもない」


 エレノアは腕を組み、鼻でため息をついた。


「そして、厄介なことに白の公国軍も割り入ってくる。相当ややこしい状況になるのは確かだろうね」


 と、ここで部屋にノックがかかって、エレノアの付き人が一通の封筒を手にしてやって来た。


「エレノア様、黒の皇国の大臣殿より書状を預かっております」


「大臣から……?」


 エレノアはその封筒を受け取り、老眼鏡をかけて早速中を確認した。


『青の王国 エレノア・ライアン・シャーロット・ヒューイット様


 突然の文書をお許しください。

 貴女の御愛孫であるメアリー王女についてなのですが、この手紙についてはぐれぐれも他の方にはご内密くださいますようによろしくお願い致します。


 まずは我が国黒の皇国の皇子が貴国の建国記念式典においての粗相をお詫び致します。書簡で許される行為ではないと重々に理解しております。

 現在、皇妃も亡くなったこの国の将来が危機的状況に陥っております。黒の民はそれが現実になろうとも思われてもおりませんし、そう思わないでしょう。

 キイ教徒の過激派は何を勘違いしているのか、貴国に対しての戦意が躍起になっております。タルスマン条約違反とされる異形生命体の研究開発に秘密裏製造と、世界中を敵に回すような言行も数えきれないほどです。更にはメアリー王女を誘拐してしまう始末。もはや、この国に未来などありません。いえ、あってはならないでしょう。許されないことでしょう。

 こうして憎む敵国からの雑筆文面をご覧になって非常に不快があるやもしれませんが、我が皇子の言行を止めることができなかった上辺だけの相談役の哀願をお聞き願いいただけないでしょうか。

 某日に皇子の戴冠式兼結婚式を公開実施致す予定であります。その際に、ぜひとも式典を壊していただけないでしょうか。そちらの方へ遣いを送り致しますので、彼から詳しい話を聞いていただければ幸いです。』


「エレノア様、その手紙には何が書かれてあるんでしょうか?」


 内容を黙読し、口をへの字にするエレノア。ソフィアは中身が気になるのかそう訊いてきた。その質問に大きく鼻でため息をつく。


「皇国の大臣からの願書状だね」


「そして、エレノア様。黒の皇国から遣いの方がいらっしゃっております。極秘で来られているようなので――」


「……なんだかあやしいけど、通す前に。三人は装備していてくれないかい?」


 エレノアの言う通りに離れにある武器を装備して、彼女を守るようにして三人は立った。そこでようやく黒の皇国の大臣が送った遣いの者が姿を現す。


「失礼します」


 茶髪に緑色の目をした一人の青年が部屋へと入室する。彼を一目見てターネラはどこかで見覚えがあるような気がした。だが、あまりじろじろと見るのは失礼だと思い、視線を逸らす。


「貴様が大臣の遣いかい?」


「ええ、イダン・バンダと申します。予定より早く着いてしまったようです」


 自己紹介をする青年――イダンは敵意のない笑顔を見せてきた。


「ふぅーん。遣いの者という割には若いし、皇国人にはあんまり見えないね」


「そうです。それを見越してお……私を大臣は送ったんです。もしも、黒の皇国の遣いだと一発でわかるような容姿で王城へ来られたら? 王女を誘拐している国の人間がいるんですよ?」


「書簡の内容を貴様が知っているならば、メアリーもこちらへと戻すことはできなかったのかい?」


 エレノアがそう言うと、途端にイダンの笑顔は消え失せた。


「それを踏まえて、王女の現状をお伝えに来ました。彼女は現在、劣悪な環境にいることと、もしも彼女が皇子の前から消えてしまえば、どうなるか誰も予測がつかない状況に陥っております」


 メアリーは劣悪な環境下にいる。それに四人はイダンを睨んだ。しかし、彼はその目を恐れることはない様子。


「劣悪な環境と言うが、あの子は無事なんだろうね?」


「現状維持であるならば、です。式典が終わった後、メアリー王女がどうなってしまうのかはわからないんです。最悪を考えていてください」


 イダンは言葉を続けるようにして、今のメアリーについて四人に話した。話の内容を聞いて、彼女たちの表情は段々を険しさを見せている。


「……なんだい、それは」


「ハイン皇子は間違いなく狂者です。それは城の誰もが思っていることです。青の王国に憎しみを持っているのは彼ただ一人だけでしょう」


「…………」


「言っておきますが、キイ教徒は教典派と過激派に別れています。教典派の者たちは教えを忠実に守る者たちであり、過激派は教典の一部を独自解釈し、武装して教えにそぐわない者たちを粛正しようとする者たちです」


「まあ、聞いたことはある」


「そもそも、キイ教の教えは自己欲という物は持つべき物ではなく、隣人を愛せと言います」


「話の聞きようによって、ハイン皇子は自己欲の塊をメアリーにぶつけているようだけどね」


「ええ。しかし、そのことを彼に伝えたとしても聞く耳を持たないでしょう。だからこそ、あなた方にお願いをしたい。ハイン皇子の監視があってこの国へ来られない大臣の代理としている私の話を聞き入ってくれませんか?」


 イダンはそう言うと、エレノアたちの眼前で跪き、頭を床に擦りつけるようにして下げた。


「どうか、式典をめちゃくちゃにしてもらいたいっ!」


 この発言に誰もが言葉を詰まらせた。ややあって、ターネラが困惑したようにエレノアを見る。


「え、エレノア様……」


 頭を下げるイダン。そんな彼を見るエレノアは渋ったような表情を見せた。頭を上げるよう言い聞かせる。


「貴様らの意思は私にきちんと届いている。が、一つだけ訊きたいことがある」


「なんでしょうか?」


「その話をどうして私ではなく、エブラハムに持ちかけないのかということさね。普通、その依頼をするならば、あやつにするべきだろう?」


「……だ、大臣曰く、エブラハム国王に手紙を送ったとしても届くかわからない、だそうです。それ故に、エレノア様に切願の手紙を送ったそうです」


「なるほどねぇ」


 イダンはその場から立ち上がると、持ってきた鞄の中から大きな封筒を取り出した。それをエレノアに差し出す。


「こちら、黒の皇国に関する首都の見取り地図と王城内の設計図等になります。もし、式典を壊すにあたっての参考資料となれば――」


「メアリー奪回においてならもう動き始めているよ。ただ、それはどういう情報なのかは悪いけど、貴様らには教えられないね」


「いえ、そうであるならば、構いません。しかし、大臣曰く、メアリー王女を奪還するには式典がいいだろうと仰っております。事実そうです。現在の彼女がいる場所は警備が厳しい棟の地下牢になるのですから。更に王女がつながれている鎖の鍵は皇子がお持ちなのです」


「それだったら式典がやりやすいね。しかも公開式典だって? 混乱的状況も使えるじゃないかい? ねえ?」


 エレノアは納得するように頷くと、その大きな封筒を受け取った。


「これは私たちが独自に手に入れた見取り図との比較対象とさせてもらうよ」


「よろしくお願い致します」


     ◆


 イダンが退室し、武装を解いた三人はエレノアに今後の作戦においての相談役としてこっちで寝泊まりするように指示を出された。


「作業現場の方には言ってもらっておくからね。ここに来て、とんでもない情報を私たちはエブラハムより先に持っているんだ。これを活かすべきだよ」


 そう言いつつ、早速もらった大きな封筒の中身を取り出した。フェリシアは半年間で自分たちが独自に集めた首都の地図や王城の見取り図をテーブルの上へと並べ出す。


 老眼鏡をかけて地図の種類別に分けていると、地図とは違う物が一部出てきた。何かの設計図のように見えるのだが、何がなんだかわからない。


「フェリシア、悪いけどこれが何か見てくれないかい? 私は機械に弱くてね」


「はい」


 その資料を受け取り、フェリシアは吟味する。所々に書かれた字を見てはしかめっ面を見せていた。それにソフィアは「どうしたの」と声をかける。その声にターネラもエレノアも反応を見せた。


「地図じゃなくて、機械の設計図か何かですか?」


 中身が気になるソフィアはそう訊ねた。その質問にエレノアは「多分」と首を捻る。


「どうも、そのようだけどね。細々していて訳がわからないよ」


 その直後、フェリシアは資料に視線を落としたまま、口元に手を当てて混乱した様子を見せた。


「何これ」


「何が書かれてあったんですか?」


「……『事実改変装置』っていう物の設計図みたい」


 その言葉に三人は眉間にしわを寄せた。『事実改変』というと、それは今ここにいるターネラやキリが持つ過去の歯車と同じ力を持つ装置になるのだが――。


「そんなこと、可能なの?」


「わからないわ。でも、スタンリーさんが持つ過去の歯車は使わないみたいなことが書かれているみたい」


「そんな、何のために?」


「もしかしすると、あの遣いの人が言っていた姫様がいなくなったとき、何をするか予測がつかないとはこの設計図のことでしょうか?」


 目的は一切記されていない。この設計図を見てわかること。大きさは両手で持てるくらいの球体状の物。それ以外には何もわからなかった。いや、少し語弊がある。理解しがたいことばかりが記述されているのだ。軍人育成学校を以てしてもで習わないような専門用語ばかりがそこにある。


「それだけの設計図かい?」


 エレノアにそう言われ、フェリシアは事細かに書かれた設計図をテーブルの上に広げてた。どれも同じような物ばかり。学校では軍事科教室所属であったが、機械学があまり得意教科ではなかったソフィアは片眉を上げていた。


「……全部、そうではないみたいです」


 フェリシアは一枚だけ見てそう答える。ただ、それは図とそのマシン名しか書かれていなかった。


『舞台装置』


 どれほどの大きさであるかもわからないその代物は一体、何のための装置なのか。不安は大きい。

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