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世界は運命を変えるほど俺たちを嫌う  作者: 池田ヒロ
第二章 回天動地
39/96

化物 前編

 騒がしい人ごみの中、アイリはごみ箱の上に座っていた。王都中が戦争で忙しそうにしている。それでも、今の彼女にとって巡回をしている王国軍も町を闊歩する住人たちもただの動く肉塊にしか見えない。


 あまりにもぼんやりとしていたから、肩を叩かれるまで気付かなかった。ふと、そちらの方を見ればゴシップ・アドバイザーを経営しているウノがいた。


「こんなところで何をしているんだ?」


「ウノさん」


 確か学徒隊員は全員戦地の方へと赴いて後方支援をしているはずだが。どうしてここに座っているのだろうか。前に会ったときよりもやつれて見えるのが心配だ。


「大丈夫か? ちょっと、俺たちのところに来いよ」


 アイリの顔色の悪さを気にしてか、ウノは彼女を家へと案内した。黙って彼女は後を着いてきている。


「最近、情勢的に悪くてな。今はこっちの方に引っ越ししたんだ」


「……そうですか」


 一応は反応を見せてくれるらしいが、それ以上の会話は広がらなかった。


 現在彼らが経営しているゴシップ・アドバイザーの店は王都外れにある少しばかり治安の悪い区域だった。ガラの悪い者たちが行き交っているが、そんな彼らをものともせずにウノとアイリは店へと赴いた。店へとやって来ると、老人は物珍しそうにして彼女を迎え入れてくれた。ここに来ても丸いテーブルと椅子の二脚は変わりないし、壁に追いやられた大量の本も健在である。


「久しいな、カムラ。元気にしていたか?」


 老人の少しばかり懐かしむような問いかけに、アイリは頷くだけ。


「今、学徒隊員は森厳平野方面と旧灰の帝国へと派遣されているだろう? 行っていないのか?」


 またしてもアイリは頷くだけである。いつもの雰囲気とは全く違う彼女にウノと老人は顔を見合わせた。逆になぜだか心配になるようだ。


「そうだ、キイは? キイは元気にしているかな?」


「知らないです」


 それだけはきっちりと口に出した。話が続かない。


 奥にいたウノがお茶を持ってきてくれて、それを目の前にあるテーブルに置いた。アイリはそれを飲もうとはせずに、じっとカップを眺めるだけ。お茶を啜る二人はただ、じっと彼女を見るだけ。自分たちはどうしようもないと言わんばかりであった。


 ややあって、老人が口を開いた。


「何か、あったのか?」


 それを訊く他なかった。他のことを訊ねたとしても、素っ気ない態度の一言で話が終わってしまうからだ。だが「別に何でもない」と言われてしまえば、ここで話は終わってしまうのだが。しかし、そんな一理の不安とは別に、アイリは視線をそのままにして話し始めた。


「どうしたらいいか、わからないんです」


 たったそれだけ。それだけの言葉にウノは片眉を上げる。


「どうしたらいいかって、何をどうしたいんだよ」


「あたしにも、よくわからないんです。本当にどうしたらいいんですかねぇ」


 これには二人とも渋る。自分がどうしたいと言われても、彼らはアイリではないのだ。それを知るべきなのは彼女自身なのであるから。二人の無言状態に答えがないと理解でもしたのか、彼女は「出します」と言った。


「ここは情報屋ですよね?」


「そうだな」


「だから、出します。情報を」


 ようやくアイリは顔を上げて二人を見た。彼女のその表情はやるせない。


「あたしが持っているすべての情報をあげるので、どうすればいいのか教えてください」


 そう言うと、ショートパンツのポケットからボロボロになったコンパスを取り出した。それの老人の答えは――。


「……わかった。考えてやるから時間をくれ。それまではここにいてもらっても構わないから」


     ◆


 型落ちした装備品をし、雪山の山道傍らで休憩する者が六人いた。彼らは全員青色の実技用制服に襟には槍、剣、銃の三本の武器が象られた記章――三銃士軍団の証をしている。その六人であるケイ、ワイアット、マティルダ、ヴィン、ソフィア、フェリシアには寒さもあってか疲労が見えていた。


 なぜに彼らがこのような場所にいるのか。そして、その表情から見せるのは何があったのか。それは一週間ほど前、ちょうどメアリーが誘拐された日の夜の出来事である。


     ◇


 死地からどうにか逃げてきたケイとヴィンはワイアットに連れられて王城へと帰還した。そこでは慌ただしい様子で王国軍人や、貴族たちが行き交っているではないか。これはあの国民緊急サイレンに関連していることなのだろうか。彼らがそう思案していると、マティルダが切羽詰まった顔で近寄ってきた。


「どこへ行っていたの!?」


「ま、マティルダさん、この騒ぎは?」


「ここで訊く前に、連絡機の確認はしなかったんですの!?」


 そう言われるが、ケイとヴィンは連絡通信端末機を没収されているため、手持ちになかった。


「すまない、マティルダ。一体何があったんだ?」


「メアリー様が反軍に誘拐されたのよっ!!」


 マティルダの大声が彼らの耳を突き抜ける。自身のその耳を疑った。


「なぜだ!?」


「なぜですって!? あなた、今日の自分がした行動を考えられないの!?」


 今にもケイに掴みかかろうとしている。それを止めるワイアット。マティルダ自身、苛立ちが頂点に達しているのがよくわかる。彼らのそのやりとりに気付いたのか、ソフィアとフェリシアが駆けつけてきた。


「ケイ様!」


「そ、ソフィアにフェリシア!」


 よくよく彼女たちを見れば怪我をしている。メアリーを守っていたのだが、怪我をしたのだろう。


「こ、国王様がお呼びです」


 フェリシアがそう四人に伝えた。この呼び出しに彼らは眉根を寄せた――。


     ◆


 エブラハムの書斎には彼の他、ラトウィッジとエレノアが深刻そうな表情で六人を待ち構えていた。彼らがやって来ると、鋭い青い目を向けてきた。


「ケイ、ワイアット。お前たちは何をしていた?」


「……も、申し訳ありません」


 二人はただ、エブラハムを前にして頭を下げるばかり。頭を向ける先から威圧感が押し寄せてくる。彼がどんな思いで、どんな表情で自分たちを見ているのかわかるようだった。


「今日、外部から人が入るから警戒を怠るなと伝えていたはずだ」


「ま、まさか、城内に反軍が侵入するとは思わなかったので――」


「冗談じゃないぞっ!!」


 怒号が三人に突き刺さる。見かねたラトウィッジが「城内ではない」と教えてくれた。


「取材陣たちの意向により、姫様が北通りにある家具店へと赴いたんだ」


「え? 取材は城内のはずでは……」


「応接室、ゲストルームともに外観がそぐわないと言われたのよ。それでメアリー様は別の場所でも構わないと」


「精鋭部隊員の人たちにも護衛に賛同してくださいました」


 ソフィアがそう言うと、フェリシアが彼女の背中を優しく擦る。


「反政府軍団については粗方予想していました。しかし、異形生命体が出現するとは思いもよりませんでした」


 彼女たちの言葉に三人は瞠目した。まさか、また王都にあのバケモノが出現するだなんて。もしかして、彼女たちの怪我はそれによるものなのか。


「調査でわかったことだが、その北通りの地下水道路から地上へと出てきたんだ。もしかしすると、王都中に張り巡らされた水道路にあの怪物が存在するかもしれん」


「そ、そんなことが――」


「あったのよ、そんなことが。それでメアリー様もデベッガさんも連れ去られてしまったの」


「で、デベッガが!?」


 今になってケイは気付いた。三銃士軍団員なのにキリの姿が見えないことを。いや、彼だけではない。ハイチもいない。彼らはいずこへ?


「じ、次席はどこに?」


「彼ならば、辞めたよ」


 重々しそうに言うラトウィッジ。エレノアはただ、静かに周りの話を聞いている。


「とにかく、すべての責任はお前たちにある」


 鼻で長いため息をつくエブラハムは彼らを見下すような視線を向けた。その辛辣な目が痛いし、恐れ多い。思わず視線を逸らしてしまった。


「これからお前たちを地下へ投獄する」


 視線を床へと向けた。濃い青色の絨毯が今の自分たちの気持ちを表しているような気がする。後悔の念がケイとヴィンの胸に押し寄せてくる。どうしてこの日にキャリーの家へと行こうとしたのか。どうして外部の人間が出入りするとわかっていたはずなのに、大丈夫だろうと思ってしまったのか。書斎へと入室してくる王国軍。抵抗をするべきではない。自分たちが為すべきことを、為し遂げられなかったのが原因なのだから。


――どうして連れていかれたんだろうか……。


 二人が気にかかる。ケイの心にその思いが張り詰めてきた途端に「ちょっと待ちな」とエレノアが六人の連行を止めた。これには一同が固まる。


「え、エレノア様?」


「貴様、投獄の話はまだ早いんじゃないのかい?」


 じっとエブラハムを見るエレノア。


「彼らには今すぐにメアリーを助けに行かせるべきだと私は思うね。責めるのは後からでもできるだろう?」


 エレノアは、今度はヴィンの方を見ると目を合わせた。


「貴様らがどこで何をしていたかなんて私は知らないけどね。それでも、もちろんメアリーに、私たち王族に忠誠を誓う貴様らならば、行くだろう?」


 その質問は貴族の三銃士軍団員にではなく、ヴィンに対して言っているようだった。彼らが感じていること、思っていることはすでに読めているのだろう。


 自由が利かない五人はヴィンを見た。


「もちろん、行きますとも」


 その答えにエレノアは沈黙を見せる。青色の目と灰色の目が合った。どちらも揺るがずにして逸らすことはない。そうしていると、エレノアは「そうかい」と納得したような表情を見せた。


「ならば、善は急げだ。彼らに軍備品と車を。ラトウィッジ、反軍はどちらへ向かったんだい?」


「王都より北西の方へと向かっているという情報です。おそらく、警備の薄い旧灰の帝国の方を経由して黒の皇国へと行くつもりでしょう」


「そうかい。じゃあ、すぐに後を追いかけさせな」


 エレノアが六人を囲っている王国軍人たちにそう命令させた。彼らは敬礼をすると、三銃士軍団員たちを武器庫の方へと案内する。


 六人がいなくなると、エブラハムは眉間にしわを深く刻んで頭を抱えた。


「母上、なぜに彼らを助けようとするんですか」


「メアリーに友達がいなくなれば悲しむに決まっているだろう? だからさ」


「…………」


 エレノアの反論にエブラハムは押し黙るしかなかった。


     ◇


 その場でじっとしていると、とても寒い。そう感じるワイアットは雪山――誰昔(すいせき)山道を見渡した。辺り一面が雪景色。どこを見ても白が目立つ場所。自分自身外国へと行ったことはあるが、この捨てられた国である旧灰の帝国へと足を踏み入れたのはこれが初めてだった。


 三銃士軍団員が進行する山道では装甲車が通れないほどの傾斜面となっているはずだが、僅かな車輪の跡が残っていた。反政府軍団員の車が通った可能性があるのは確かだ。それもそんなに時間は経っていないはず。


 この誰昔山道へと入る際に聞いた話。国境付近を警備している王国軍の者たちが先回りして入国しているらしい。そんな見回り隊の者たちが足止めをしているかもしれないのだ。なんとしてでもメアリーを奪還せねばとワイアットが再度意気込んでいると――。


「ねえ」


 マティルダがケイとヴィンへと声をかけた。彼女の声に一同が注目する。


「お二人とも、あのときはどちらへ行かれていたんですの? ワイアットから王都外れで火の手が上がっている倉庫の中にいたって?」


「何度も言っているだろう。王都外れのあの町で合っているって」


「そうには見えないから訊いているのよ」


 一気に周りが険悪ムードになる。マティルダは様々なことが重なり合って、苛立ちが見えていた。ガズトロキルスと一緒にいるときの笑顔を見せる同一人物とは言いがたい。


「答えてよ、ケイ」


 そうは言われても、と二人は顔を見合わせていた。あの日のことを言うに言えやしない。


「答えてよっ!」


 ついにその場に勢いよく立ち上がって、声を荒げた。そんなマティルダにソフィアとフェリシアは落ち着くように促す。


「なんなの!? メアリー様とデベッガさんは連れていかれるわ、異形生命体が出てくるわで……ガズ様にも嫌われてしまうわで、嫌になるわっ!!」


 我慢の限界とでも思っているのか、マティルダの目には涙があふれ出てきていた。山頂から吹き下ろしてくる風が辺り一帯を通り過ぎていく。


「いいこと!? 今回の作戦で私たちがメアリー様を奪還できなければ――」


「知っているよ、そんなことぐらいは」


 ケイが宥めようとするところをヴィンが遮った。小雪から、大粒の雪が落ち始めてくる。手の先、足の先がかじかんできて痛い。


「私たちがどうなるかくらい、知っているよ」


「わかっているならば――」


「でも、ボールドウィンさんが言うオブリクス君は全く関係ないよね? この作戦において、私情を挟まないでくれる?」


 冷たいその物言いにワイアットが制した。


「ザイツさん、その言い方はないと思いますよ。それならば、僕たちに教えてくれませんか?」


 今度は二人の視線がぶつかり合った。


 これ以上いざこざや内輪もめを避けたいと思っているのか、ケイが彼らの間に入った。もう止めろと言う。彼は疲れきったような顔をしていた。そんなケイにマティルダは「何?」と涙を袖口で拭う。


「あの日のことを説明してくれるって言うの?」


「団長」


「いや、いい。ザイツ、もう言う方がいい。どちらにせよ、話すべきなのかもしれない」


 そう言うと、ケイはメアリーが誘拐された日にキャリーの家に行こうとしていた、と全員に伝えた。当然、彼女を知らない四人は疑問を浮かべる。


「オハラって、誰?」


「新聞の風刺画家の人らしい。詳しいことはザイツが知っている」


「うん、その人は私の兄弟子なんだ。団長から聞いているよね? 元々、私は戦場カメラマンであるヨイチ・ヤマトの弟子だってこと」


 四人は頷いた。初めて三銃士軍団に入団して紹介に預かったとき、そう言ったからである。


「で、オハラさんの家に行こうとしたとき、キンバーお兄さんを見かけたから。そちらへと行こうとしたら、反軍の連中に掴まったんだ」


「それであの倉庫の中にいたってことですか?」


「ああ。ワイアットが助けに来てくれたから、感謝しているよ」


 なんてケイがお礼を言うと、フェリシアが二つの疑問を口に出した。


「それならば、なぜにオハラさんという方の家に行こうとするだけで、反軍に掴まったんですか? それに護衛の任務を無視してまで何しに彼女の家へと行こうとしたんですか?」


 フェリシアの質問に二人以外が食いついてくるかのように見てきた。こちらに関しても言うべきか否かと迷うが、ここまで話したことだ。また険悪な雰囲気になりたくない。ケイは「それは」とどこか渋った物言いで語る。


「デベッガのことで、その人のところへと行こうとしていたんだ」


 この返答に一同は首を傾げた。どうしてそこでキリが出てくるのだろうか。そして、キャリーは彼のことを何か知っている人物なのだろうか。


「どうして、そこでデベッガがですか?」


「……ここで言う話じゃないかもしれないけど、デベッガ君は私の中にある彼の記憶を改ざんしているみたいなんだ。その影響で、今の私の記憶はみんなの記憶と辻褄が合わなくなっている」


 記憶の改ざんと聞いてワイアットは大きく目を見開いた。今のキリにはハイネの記憶が半分しかない。理由は聞いた。以前に彼がデータ世界へと行き、バグ・スパイダーを退治している際にハイネの記憶を食われた、と。だが、実際にはその記憶は失くしておらず、その世界のどこかにあるらしい。


 だとするならば、ヴィンのその記憶はデータの世界にあるのではないだろうかという妙な憶測をし出す。しかし、記憶がないのはいつからなのだろうか。その時期によって、実際にはコンピュータの世界に記憶のデータはないかもしれないからだ。


「す、すみません、ザイツさん。デベッガさんの記憶がないって、いつからですか?」


「少なくとも式典後だと思う。今の私にとって彼の記憶の始まりはそれぐらいの時期だから」


「……それで、デベッガさんのザイツさんに対する記憶の改ざんをどうしてその方に訊きに行こうとしていたんですの?」


 マティルダはヴィンの話に疑心があるのか、信じている様子はない。いや、人の記憶を書き変えるなんてありえないのだから。だから、彼女がする設問は『仮定』である。


「キャリー姉さん、私の未来を予知してくれていたらしい。デベッガ君に記憶を改ざんされるって――」


「その人、未来が視えるのか?」


「みたいだね」


「じゃあさぁ、どこにいるのか教えてくれない?」


 突然、ここにいる女子たちとは違う女性の声が近くの茂みの方から聞こえてきた。六人は戦闘態勢を整え出す。ケイとヴィンはすぐにその声の持ち主が反政府軍団員だと覚った。やつらはキャリーの居場所を知りたがっていたからだ。


「誰だ?」


 訝しげにケイが問うと、どこからともなく一同の方へと手榴弾が投げ込まれた。


「逃げろっ!!」


 ワイアットの大声に反応を見せる。轟音が、爆風が彼らを襲う。周りの雪が熱で溶かされて水浸しへとなった。


「ぶ、無事?」


 みんなが気になるソフィアは声をかけた。それぞれに反応がある。どうやら誰にも大きな怪我はないようであるが、油断はできない。ケイは手榴弾が投げ入れられた場所を睨んだ。人の気配はそこにある。その人の気配はこちらへと向かっているようで――。


「黙っていないでさぁ、教えてよ」


 彼らのもとへと現れたのは仮面を被った二人組だった。一人は怒った表情の仮面を被った男で、もう一人は口元が欠けた仮面を被った女であった。おそらく、彼女が声を出しているのであろう。


 そんな二人組、ヴィンとソフィア以外の四人は知っていた。ケイは地下博奕闘技場での仮面。ワイアットは前夜祭での仮面。マティルダとフェリシアはメアリーを連れ攫った女――いや、きっと彼女だ。彼女がメアリーを誘拐した。


「あなたはっ!」


 メアリーを連れ去った者に何か言おうとするマティルダであったが――「おい」とケイが遮ってきた。


「お前ら、博奕関係者か?」


「何の話だ?」


「ケイ、彼らはそうじゃない。メアリー様を攫った者たちですわ」


 マティルダのその言葉にケイは支給された型落ちの突撃銃を構え出す。なるほど、大体話が読めてきそうだ。それが合図と言うかのようにして他の者も構え出した。一気にその場に張り詰めた空気が漂う。


「姫様を返せ」


 ケイは威嚇の弾を撃った。その弾は彼らの横を通り過ぎる。仮面の彼らは丸腰状態のように見えた。それでも、油断はならないだろう。


「あははっ、そんなの教えてあげるわけないじゃん」


 笑う女にヴィンとフェリシアは違和感があった。どこかで聞き覚えのある声。彼はすぐさま察知する。


「……お二人さん、バーベリ姉弟ですよね?」


 驚く一同。だが、当の本人たちは動じない。それがどうしたとでも言うような佇まいをしていた。


「だからなんだ」


 否定はしないのは、自分たちがイヴァンとヤナであることを認めたのも同然である。確信を得たヴィンは話を続けた。


「お二人の所在、サバイバル・シミュレーションが終わってからあやふやだったんで。――どこへ行っていたんですか?」


 イヴァンは関係ないと一蹴するが、ヤナはおしゃべりのようである。会話を途切れさせようとはしなかった。口元が吊り上がっていた。


「所在でボク、思うことがあるんだよねぇ」


 何かが来るかもしれない。そう考えた三銃士軍団員たちは足場をにじりながらじっと彼らから目を離さないでいた。


「ほら、誰かが幻を見たとか未確認生物を見たって言う不思議な体験をした人いるじゃない? ボク的にあれのほとんどは思い込み、刷り込み、自己暗示だって思うんだよねぇ」


 六人は黙って話を聞き続ける。


「そんな感じで体験した人、思い込んでいる人って本当にそういう体験をした人から話を聞いたりしている内に、その体験の条件下が揃った際に、恐怖心が出てくるから言える話じゃないかなぁ」


「……何が言いたい?」


 話が遠回り過ぎて、嫌になったのか、ソフィアがそう訊ねた。それにヤナは「せっかちさんだねぇ」と笑う。


「そんなこんなで……それって、まさにちょっと前までの異形生命体と同じじゃない? まぁ、今はもはや一般人にも見られるような幻の生命体でもなくなったんだけどねっ!」


 ヤナの言葉が合図とでも言うかのように、三銃士軍団員全員の鼻に突き貫けるような腐臭がやってきた。嫌な予感しかしないと感じる。すると、二人のいる茂みの奥から異形生命体の目が光らせていた。その場にいた誰もが寒い場所にいるのに嫌な汗が出てくるではないか。


「でもさぁ、実際にこれが現実なのかって思うようなのを見るのは明るくて視界の開けた場所じゃないよねぇ? 大体、夜とか雨とか。そうだね、まさしくここ、雪山とかの場所に現れることが多くない?」


「お前ら――!」


 二人を捕まえようと、ワイアットとマティルダが動こうとするのだが――彼らを眼前にして一つ目のバケモノが木々を押し退けて立ち塞がった。あまりにも巨大なその目。灰色のぎょろりとしているその目は六人を捉えていた。


「本当、不思議な出来事って、それだけで処理されちゃうから死んじゃったりした人、可哀想ぉ」


 一つ目の異形生命体をその場に置いて、どこかへと行こうとする二人。


「待てっ!」


 ケイが大声を上げる。それに彼らは立ち止まった。


「どうせ、お前らにもキリ・デベッガにも、用はない」


 もしかして、二人はキリの所在を知っている!?


「あいつはどこにいる!?」


 問い質しても答えてくれないは百も承知。だが、メアリーの所在よりも答えてくれる可能性の方が高いだろう。それならば、キリの居場所を突き止めてから彼女を捜すのも手だ。


 ケイの質問にイヴァンはシニカルに笑った。


「安心しろよ。お前たちが死ぬのは不思議な出来事になるだけだから」


 意味心的な言葉を残すと、彼らは立ち去ってしまった。ここには異形生命体と三銃士軍団員六名しかいない。単身でこのような怪物を倒したことのあるキリとハイチがいない今、自分たちで倒さなければならない。こんな型落ちの武器で対処できるだろうか――否、できるはずがない。戦力的なあの二人がいない今、どうにも戦えない。戦う手立てが見当たらない。


 自分たちよりも先に一つ目の怪物が動き始めた。それはワイアットに向かって拳を振り上げる。地響きがなった。周りの木々から積もった雪が落ちてくる。回避すると、殴りつけられた地面には跡が。


 誰もがその場で思ったことは些細な攻撃でも受けてはいけないことである。


 殴撃を避けられて、異形生命体はワイアットの方を見た。何度も攻撃を仕掛けてくる。彼は逃げる。地面を殴りつけるせいか、大きく地面が揺れて、木に積もった雪がどんどん下へと落ちてきた。


 一人だけでは、とケイとソフィアは手助けに入った。型落ちの突撃銃の引き金を引き、注意をこちらに向けさせようとするのだが――こちらを見ない。いや、ワイアットだけを狙っていた。自分たちの存在は最初からなかったことにとでも思っているのだろうか。しかし、ずっとこのまま彼ばかりは危険である。異形生命体の皮膚は尋常ではないほどの強度があり、基本的に最新兵器を集中投下しなければくたばらないのだから。こんな対バケモノとして通用しない物、何が使えようか。何が対等に戦えようか。だから、手立てが思いつかないのだ。


――あいつはどうやって戦っていた!?


 報告で聞いたキリとハイチの怪物の倒し方。キリは異形生命体の目を潰し、口の中へと材木を突っ込んで窒息死させていた。ハイチはそれの目を潰して口の中に大量の銃弾を浴びさせた。どちらとも接近戦を伴った戦い方。そして、それぞれの戦い方に共通しているのは『目を先に潰している』こと。


――目、か?


「……マティルダ、ザイツ、フェリシア。あっちの茂みの方にロープを張っていてくれ。ソフィア、俺とワイアットを助けるぞ」


「はい!」


――それよりも、どうして執拗にあいつを狙う?


 ワイアットの助太刀に入ったケイはふと、そのような疑問が頭に思い浮かんだ。話で聞く一般常識としての異形生命体は非常に硬い皮膚を持つこと。理性を持たない謎の生き物であること。この特徴があるだけ。他に特例を挙げるならば、噂でしか聞かない元人間であること。正気を持たない、意識を何かに乗っ取られたような生きる屍であることだ。


「ワイアット! もう少しの辛抱だ!」


「はい!」


 自分たちが話をしているが、ほとんどのバケモノは聞いていなのか、それとも聞こえないのか。最小限の知性しかなく、本能で動いているのかもしれない。だが、ハインや反政府軍団員たちの命令は聞いていた。ということは、それに基づく仕掛けがある可能性が高い。それは一体何だろうか。


 ここでケイが持つ無線機からマティルダの声がかかった。


《準備は万全よ! 応答してっ!》


「了解! ワイアット、ソフィア! やつを誘導するぞ!」


 三銃士軍団員の作戦は単純に木々に張り巡らされたロープなどに引っかけて、その大きな目に対して集中砲火するというもの。いや、それぐらいの作戦しか考えられないし、何よりここは雪山だ。体力も体温も存分に削られることは必至。この場においての長期戦など命を落とすに等しいのであった。


 三人は下りてきた山道を戻ろうと、登っていこうとするが――。


「わっ!?」


 ケイたちより先を行っていたソフィアが足下を取られて尻餅をついてしまう。それが連動するかのようにして二人も足を滑らせた。急いで立ち上がるも足場が安定しない様子である。


 なぜなのか。先ほどまでいた場所とは足場が何か違うのは。まさか、アイスバーン!?


 三人に追いついた異形生命体はワイアットに向けて拳を振るう。とっさの判断で彼をこちらへと引き寄せた。もう山道から上の方に登るのには厳しい。寒さと悪臭漂うこの場に緊迫感が張り詰めていた。


 一つ目の怪物はその目で彼らを捉えて、冷たい地面へと叩きつけようとする。ケイが二人を引いて、足下が滑らない場所へと逃げ込んだ。


「け、ケイ様!」


「どちらにせよ、今の装備じゃ上には登れない」


 もう山道は通れそうにない。鞄の中から、滑り止めなんて悠長に出していられない。それならばと茂みの方から行くしかない。三人は茂みの方へと逃げ込み、そこからロープを張り巡らせている場所へと向かった。彼らは木々を避けながらも向かうが、バケモノは逃がさんとして目の前にある植物を押し退けていくのだった。


 そのバケモノが振動を立てるせいで、木の上に積もっていた雪が彼らに降りかかる。ただでさえ、満足に走り抜けることがままならない場所を走っているのに。大粒の雪が邪魔しているのに。落ちてくる雪が更に視界を塞いだ。


 ケイの無線機に連絡が入った。


《応答してっ! 今、どこ!?》


「そっち向かってるっ! 山道が使えない、以上っ!」


《それじゃあ、斜面を登っているの!? どうするのっ!?》


「俺たちはデベッガたちじゃないんだよっ! 対等に敵うと思っちゃいないっ!」


 ケイに苛立ちが見えていた。彼はとにかくそちらへ至急向かうとだけ伝えると、無線機を切った。急な斜面ではないにしろ、荷物を持っての駆け足は体中に負担がくるものであった。武器に軍備品や食料が入った鞄、無線機――その他諸々。普段から訓練でいくら鍛えていようと、この状況で逃げられる自信は当然ない。


 そんなケイが木の幹へと手に取ろうとすると、後ろから力が加わった。その瞬時には何も考えられなくなる。自分が今どういう状況かは把握できるが、脳内の処理はできないからだ。


「ケイさん!」


 いち早くワイアットが彼の状況に気付いた。続けてソフィアも目を丸くして驚く。


「ケイ様!」


 ケイを助けたい、その一心でソフィアは動き始めようとする。


「ソフィアさん、ダメだっ!!」


 ソフィアは灰色の大きな目を睨みつけて、異形生命体に飛びかかった。銃口を目に向ける。


「ケイ様から離れろっ!!」


 ただ、その思いで引き金を引こうとするが、バケモノは自分の身を守らんとしてケイを盾代わりにした。すぐに指を離すソフィアなのだが、二発が銃口から放たれてしまう。それは彼の体に命中した。急所は外れていようが、ケイの体には激痛が走った。体が動かないような強い痛み。直後に彼女も掴まり、二人は斜面下へと投げられてしまった。


――人を盾にしただと!?


「二人とも!」


 今の一つ目の異形生命体の狙いはワイアット、ただ一人。彼らには興味がないらしい。


――ふっ……。


「っざけんなっ!!」


 怒り任せにこちらへと突進してくる怪物に対して銃を乱射する。その煩わしい灰色の目。その憎たらしい灰色の目。すべてにおいての怒りを異形生命体へとぶつけた。


 皮膚や目玉に着弾するものの、お構いなしにワイアットへと一直線。


「こっちに来るなっ!」


 そう叱喝させるが、効果はない。言葉なんて理解できませんとでも言うようにして、拳を振おうとする。


 こんな急斜面の場所での回避は不可能だ。ワイアットの思考も停止してしまう。傷だらけの目と自身の目が合う。その目から連想させるのはキンバー兄妹。目に映る光景全部がスローモーション。様々な思いが頭の中を過る。そこでの一番の思いは――。


――ハイネさん……。



「ちょっと待ったぁあああああ!!!」



 ワイアットの重心が横へと傾いたかと思えば、斜面下へと行く。何事かと頭の整理が追いついた頃になると、ヴィンの小脇の中にいた。しかも、彼は背荷物の上に乗って傾斜を滑走しているのである。


「ざ、ザイツさん!?」


「飛ぶよっ!」


 ヴィンはワイヤーを木の枝に括りつけるようにして投げると、下にしていた荷物を放棄するかのようにジャンプした。二人は空中でワイヤーに掴まったまま、宙ぶらりん状態となる。


 一方で獲物を逃した異形生命体を前にして、二つの影が生まれた。そのどちらも鋭くて冷たい青い目を向けている。手には拾った木の枝や使い古された散弾銃。怪物に向けるのはただ、一言。


 死ね。


 二人――マティルダとフェリシアは大きな目玉へと奥深くそれらを突き刺した。突き刺した感覚が手に、全身に伝わる。その反動でバケモノは仰け反り、斜面を転がり始めるが、自力で止めた。すぐに起き上がりつつも、大暴れし出す。尋常ではない痛覚が目玉に襲いかかってきているのであろう。それらが突き刺さった目からは元人間だとは思えない濃い青色をした体液を雪の上へと掻き散らしていた。


 ワイアットとヴィンは風下にいるせいか、その異臭が鼻へと突き貫けてくる。だが、ここで止まっていても仕方がない。まだ終わっていないのだから。


 この場にいる四人は暴れ回る異形生命体に向けて銃を連射した。上手く目玉へと当たらないがために、二人は傾斜を登りながら撃ちまくる。弾が切れるまで撃て、その指を動かすな。目を逸らすな。


 己が見た異形なる者を駆逐せよ。


 マティルダたちも装填された銃の引き金を、銃口を怪物へと向けて連射する。その場には悲痛の叫びを上げる青い血を流すバケモノの声と銃撃音が響いていた。


     ◆


 型の落ちた突撃銃が空かした音を上げる。そこでワイアットが我に戻ったとき、眼前にあるのは銃弾によって痙攣を起こす異形生命体がいた。周りには青色の血がこびりつき、それは自分たちにも返ってきている。


「…………」


 まだ、残弾のある三人を見た。彼らも青く塗られており、その姿はまるで――。


――いや、違う。


 ワイアットは自分に言い聞かせるようにして頭を振る。自分たちは正しいことをしているんだ、と言い聞かせた。


 ここで三人の銃が空かした音を上げた。これで彼らの攻撃は終わりである。それはもちろん、目の前にいる生命体として存在しないような無残な姿の者は全く動く気配すらない。ということは、彼らが勝ったのだ。


「も、もう、動かないわよね?」


 マティルダが気分悪そうな表情で、怪物を見下ろした。それにヴィンが銃口の先で突く。それの反応はない。


「死んでいるよ」


「はっ! ケイ様とソフィアは!?」


 無我夢中で異形生命体を倒すことに集中し過ぎていたせいか、二人を忘れていた。フェリシアは斜面下の方を見た。彼らの姿は見当たらない。


 四人は傾斜を下りていった。ケイとソフィアは山道の入り口付近にいた。現在、二人は彼の止血中だったようで、彼は苦痛の表情を浮かべていた。


「申し訳ありません」


 ソフィアは己に責任があるとして眉間にしわを寄せた。だが、ケイは責めようとしなかった。


「ソフィアが謝る必要はどこにもない。それよりもあのバケモノは?」


「僕たちが倒しました。もう動かないでしょう」


「……俺な、あのバケモノのことで何かわかったかもしれない」


 ケイのその言葉に五人は顔を見合わせて疑問を浮かべた。何がわかったのだろうか。それをフェリシアが訊ねた。


「異形生命体は理性のない獣のようなやつらだ。そいつらはどうして、自分たちだけに攻撃を仕掛けるのか。考えてみろ、理性がないというのは敵味方関係なく攻撃対象に入るはずだ」


「つまり、彼らは反軍たちにも攻撃を加えないのはおかしいってこと?」


「ああ。おまけにやつらは元人間だという噂が絶えかねない。……俺が言いたいのは異形生命体とは人体的有害な物質を取り込むだけではなく、反軍の連中らが都合のいいように。操作しやすいように電子チップか何かを脳内に埋め込んでいるのではないかって思ったんだ」


「それって、可能なことなのかい?」


 ヴィンはあごに手を当てた。データの世界に人が行けるという仰天な事実は知っているが、人を操作するような真似ができるのかは甚だあやしいからだ。


「じゃなきゃ、やつらは人を選んで攻撃しないだろ」


「そうだとするならば、人を選ぶって……あっ」


 マティルダは何かがわかったかのように、山の上の方を見た。まだ彼女とケイ以外は理解できていない。


「どうかされましたか?」


「人を選ぶというのは最初から決まっているのよね? バーベリさんたちは最初から攻撃対象外になっていたのよね?」


 マティルダの推論にケイは頷いた。


「異形生命体の攻撃対象外はあの仮面を被っている連中だ」


 ケイのその言葉に一同が瞠目した。いや、ありえなくもない。あの一つ目の異形生命体が現れたとき、バーベリ姉弟に攻撃は一切加えなかった。メアリーが誘拐されたときだって、珍妙な仮面をしていた反政府軍団員には攻撃を与えなかった。式典の際に現れた怪物だって、仮面を被ったハインを守るようにしていた。


「それは重大な事実かもしれませんが、ケイ様。一度、本部に戻りましょう? その怪我じゃどうしようもないですよ」


 ケイの仮説が事実だとしても、フェリシアの助言はもっともであった。これには誰もが納得するが、彼だけは反対する。


「いや、行く。姫様が大変な目に合っているのに、呑気に救護テントにいるわけにもいかないから」


 自分の身よりもメアリーの身のことを思う。応急手当てをしてくれたソフィアにお礼を言うと、ゆっくり立ち上がった。傷が痛むが、彼女の心の痛みを考えると、そちらが優先だ。自分は王族に仕える貴族。幼いときから一緒にいた。大切な人。


「け、ケイさん……」


 心配そうな声にケイは横目で見た。ワイアットはメアリーに似ている。自分はマティルダに。それは、自分たちが親戚同士だから言える話だった。


【誰かを思うことがあるならば、その人の幸せを願ってあげなさい】


 ワイアットを見て、自身の叔母――そうだ、メアリーの母親に言われたことを思い出した。


 一歩を歩き出そうとするケイがよろめいた。慌てて、マティルダが支えに入る。


「マティルダ……」


「無茶しないで」


 ふと、体が少し軽くなった。その反対側にはヴィンが支えに入っていた。


「団長がいなくなるのはつまんないよ。だったら、私も行こう」


「……ザイツ」


 自分は家族やメアリーのことだけしか考えていなかった。そう思うことは彼らだけと思っていたから。だが、ここ最近で周りは劇的に変わった気がした。彼らだけじゃない。この場にいる友やこの場にいない友だって立派に自分が思っている人たちだ。


 誰かを思うならば、その誰かの幸せを願う。つまりは今に思いが強いメアリーのことを思うならば、彼女の幸せである日常を取り戻す。それはここにいる友人たちも願っていることだ。


「そうよ。あなたがいなくなると、訊き出していた途中の話をどうザイツさんから訊き出せばいいの?」


「ははっ、話がややこしくなるしなぁ」


 彼らはケイに合わせてもう一度誰昔山道を登り始める。それは確かな友情に見えたが、彼は新たに一つの疑問が頭に浮かんでいた。その疑問は誰も知らない――否。もしも、自身の論はキリならわかるはず。


――もしも、あのバケモノたちの攻撃対象外が仮面であるとするならば、あの半異形生命体は……?


 ケイの言う半異形生命体は腕なしである。彼は地下博奕闘技場で自分たちも戦いに出ていたバケモノにも攻撃を加えていた。


――デベッガは何か知っているのか?

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