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03

 迷宮――それは冒険者にとって憧れの場所。

 迷宮――それは一攫千金を求める冒険者にとって、最終となる目的地。

 迷宮――それは命の価値が一切れのパンよりも軽くなる墓場(ばしょ)

 迷宮――それは……。


「なぁ、ヒメ。そろそろ"ロズウェルの洞穴"に挑戦しないか?」


 始まりはパーティメンバーの、何気ない一言だった。


「何言い出すのよ。

 まだ私達はEランクに上がったばかりよ? 冒険者としてはやっと初心者になることが出来たばかり。

 それに約束したでしょ? 迷宮なんてDランクに上がるまで挑戦しないって。そうでしょ? ナイ」


 冷めた目で、目の前に座る巨漢の男性を睨む。

 彼の名はナイ、職業は戦士だ。

 短い茶髪と鳶色の瞳を持つ14歳の猿人族男性。彼は訓練場を優秀な成績で卒業した実績からか、少し無謀な気があり少しでも上の狩場を選択しようとしたがる。

 装備は皮の鎧と鉄のロングソードで、うちのパーティの頼れる前衛ではあるけど、同じくらいの割り合いでトラブルメーカーも担当している。


「僕もありだと思うよ。一階層のコボルトなら集団で現れても僕達ならいけると思うんだ」


 横から割り込んで来たもう一人の声。

 彼はもう1人のパーティメンバーで、魔法使いのジック。

 長い藍色の髪と同じく藍色の瞳を持つ、16歳のエルフ族の男性でナイとは幼馴染。性格はちょっと気弱で年下のナイによく引っ張り回されている生粋の魔法マニアだ。

 装備は布のローブと木の杖で、うちのパーティの火力兼参謀。必要な場合は彼がナイを抑えてくれるから、たいしたトラブルにならずに済んでいる事は多いと思う。


「ジック、いつものちょっと危険な狩りじゃなく、ナイが言ってるのは"ロズウェルの洞穴"なのよ?」


 最後に私、神官戦士で名前はヒメ。15歳の猿人族(女)で、彼ら2人とは幼馴染の間柄ながらパーティを組んでリーダーの真似事なんてのをやっている。

 髪は灰色で長さは肩あたりでバッサリ。瞳は金で装備は皮の鎧と鉄のメイスっていうところ。

 幼馴染で組んだパーティだし、3人が3人とも冒険者訓練所で優秀な成績を持って卒業したからか、お試し期間と言えるFランク冒険者をたった3日で卒業し、一人前の一歩手前、EランクになってもうすでにDランクの話すら出始めている。

 普通は2、3週間かかる所を3日で終えているわけだから、ナイのように実力を試したくなっても仕方はないと思うけど……。


 今、私達はDランククエスト達成のお祝いで、ギルドに併設されたこじんまりとした酒場で打ち上げをしているところ。話題が次に受ける依頼のことになったら唐突にナイが迷宮の探索を言い出してきたのだ。

 困ったことにジックも同じ意見のようで、ナイに考え直すよう、一緒に説得して貰うことは出来なそうだ。


 でも……、あのジックが自信を持って言ってきたのは意外だった。


 「うん、分かってる。

 でもさ、僕達だって成長してるんだよ。もっと強くなって皆と一緒に色々なところに行きたいしその為には地力をつける必要がある。地力をつけるためには迷宮に挑戦するのが一番って言うのはヒメだってもちろん知ってるでしょ?

 ロズウェルの洞穴は一層につき一種類のモンスターしか現れない珍しい迷宮で、魔素に酔わなければ僕たちのような駆け出し冒険者が力を付けるには最適だしさ。

 それにほら、僕が魔素に酔って判断をミスすると思う? それに迷宮にこもるためにステータス確認の魔法を習得したんだ」

「ステータス魔法!?」


 ステータス確認の魔法は魔法使いの中でも一握りの人間しか習得できないトリッキーな魔法だ。

 そしてなによりも自己判断がパーティー全滅に繋がるという、ロズウェルの洞穴で能力を数値化してみることが出来るのは何よりもの判断材料になる。


 拳を握りしめ、真っ直ぐに私を見るジックに悩んでしまう。

 いつも安全マージンをしっかりととり、傍目には弱気とさえ評されるジックですらここまで言いきるということは、安全が確保できる。と確信を持っているということで、これ以上は私が心配しすぎ……なのかな?


「俺もジックがいるから試せると思ってる。

 もちろん探索だって一階層のみにしぼるつもりだし、入り口で戦ってダメそうなら素直に引き返す。せいぜい進むとしても回復の泉周辺までで、そこを拠点として戦うように気を付けるぐらいの頭はある。

 あそこなら怪我しても泉の魔力ですぐに治るし、聖なる泉だから魔獣も近寄ってくることが出来ない。食いもんさえしっかり持ち込めば、休憩もしっかりとれて問題ないだろ?」

「そう……ね」

「そりゃ、依頼が無いから金は稼げないかもしれないが、収集した武具を売ればそれなりの金になるし、魔素を集めてレベルを上げればより高ランクの依頼をこなせるようになる。

 Dランクになりでもすれば、すぐに元を取ることは可能だろ?」


 確かにその通り。

 DランクになればCランククエストも受けることが出来るようになる。そしてCランククエストというのは、一つ依頼を達成すれば10日は仕事をしなくても暮らすことのできる報酬が待っている。つまり、きちんと休養を取ったり新しい技を身につけたりするための時間が取りやすくなって、更に実力を伸ばせるということ。

 畳みかけるように詰め寄ってくるナイをいなし、頭の中で二人の言葉を反芻しながらパーティリーダーとして、どうすべきかを考える。


 ……そこまで言うのなら、試すだけ試してみようか? という考えと、迷宮に篭るには準備が要るわけで、ただでさえ厳しい財政をさらに圧迫してまで行く価値があるか? という考え。


 2人の言う通り、今よりももっと強くなれば確かに損益分の補填はすぐにできる。

 Dランクの依頼で代表的なのは、異常発生したゴブリンやコボルトの駆逐。今回達成した依頼もゴブリンの討伐だったわけで、依頼難度はコボルトとそれほど変わることがない。

 そのコボルトを楽に狩ることが出来るようになれば必然的にDランクに手が届くようになる。


「う~ん……」


 それに"ロズウェルの洞窟"は1Fにコボルトしか出てこないし、迷宮のモンスターは3体以下の群れしかいないから地力を上げるにはうってつけの相手になる。つまりDランククエストの下準備と言うことも出来るわけで……。


 ううん……、堅実に魔素を集めて引き際を誤らなければ……。いけるかな?


 頭の中で消耗品の計算と財布の中身を相談すると、私は仕方が無いという感じで2人を見て口を開いた。


「そこまで言うなら次のクエストを見つける前に、"ロズウェルの洞穴"で魔素を集めようか。でも、どんなにうまく行っても絶対に二階層に降りないことが条件よ。良い?」


 正直、自分でも甘いとは思うけど、実力を付けたいのは私も同じで、今まで通り安全マージンをしっかり取ればきっと大丈夫、いけるはずだ。


「やたっ!!」

「うん、約束する」


 2人の嬉しそうな顔を見ると思わず目尻が下がってしまう。

 まだまだ子供だなぁと思って、私がしっかりリードしなくちゃ。と再認識させられる。


「それじゃ、受付に迷宮申請を通してくるわね」

「「おうっ(うんっ)」


 私は早速打ち合わせを始めた2人を置いて、迷宮に入る旨をギルドの受付に報告に行った。



――――――――――



 ナイの剣先が2足歩行の犬コボルトの首を跳ね上げ、次のコボルトへ剣を振り下ろしながら、なんでもないことのように言ってくる。


「洞窟って言うからもっと狭いと思ったが、結構広いからとり回しがきくな」


 ナイの言うように洞窟の通路はだいたい縦4mに横6mと、大人2人なら横並びに歩くこともできるし1人なら遠慮なくロングソードを振り回すことができる大きさだ。


「そうね、それに天然の灯りが強いから視界も確保出来てすごく助かる。迷宮はこう言うものだって先輩に聞いていたけど、念のために持ってきたカンテラが無駄になったわね」

「それは財布的に助かるって意味だろ? 本当にこれだけ明るければ視界は楽に確保できるな」

「うん、灯りが必要ない以上、私も前に出るわ。あまり勢いよく振り回さないでね」


 ただし、前衛が2人でいくなら横方向の攻撃は同士討ちの危険がある為、突き主体の攻撃がメインとなるだろう。


「わりぃわりぃ、でもこの程度なら前衛は俺1人で充分だ……、ぜっ」


 ナイは振り下ろした剣でコボルトの頭をカチ割ると、そのまま次に突出してきたコボルトの喉元へ突きを放つ。


「それは分かるけど、私にも魔素を集めさせて……、よっ」


 ナイが突き主体の攻撃に変わったことで私も横に並び、盾を構えたコボルトに向かってメイスを振りかぶりながら答える。


「そりゃそうだ。

 そういや、ギルド前ですれ違ったのって同期のケイトとウールだったよな? 声かけなくて良かったのか?」

「2人とも狩りで相当疲れていたみたいだからね。

 それに担いでいたのって戦闘猫アタックキャットでしょ? あれだけの数を駆除したんだもん。私達ほどじゃないけど、あの2人も優秀だからすぐにランクをあげてくるはずよ。

 負けるわけに行かないからね、馴れ合うより切磋琢磨……、よっ」


 ナイとの連携で、残ったコボルトを押し返しながら後ろから響く声に耳を傾ける。


「2人とも、余裕だからって無駄話しない。水刃いくよっ!!」


 その声でタイミングを示し合わせ、壁に沿って散開すると後ろから大きな水の刃が飛んできた。

 水の刃は残っていた2匹のコボルトを上下に切り裂いて、そのまま洞窟の奥へ消え去ってゆく。


「思ったより楽過ぎるからな、テンション維持だよテンション維持」

「普段なら止めるべきなんだけど、私もこれぐらいで良いと思うかな。初心者喰いノビスイーターって言われるぐらいだから警戒していたけど、慣れるとコボルト程度楽勝で行けるね」


 そんな私達の態度に非難を示しつつも、倒したコボルトが迷宮へ消化される前に装備や魔石を回収しようとするジックの手伝いを始める。


「それに魔素の吸収もかなりのものよ? この調子なら2レベルぐらい上がってるんじゃない?」

「あぁ、回復の泉にたどり着く前に、目的はほとんど達成したかもしれねぇな」


 ナイが周囲の警戒を続ける中、私とジックでコボルトの装備の剥ぎ取りを行い終える。


「それがロズウェルの罠なんだよ。多分思ってるよりは強くなってないから気をつけようね。

 ……でも、何度見ても死体が迷宮に消化されるのは慣れないなぁ」


 ジックの言うように消化は見ていて気持ち良いものじゃない。迷宮の外だと魔物の死体は処分しない限りなくなることはないけれど、迷宮の中は死んで一定時間が経つと、どんなに硬いものであっても死体に触れているものは溶けて崩れ落ちる。そして死体のあった場所には直径1cm程度の黒い球体、魔石と呼ばれる物だけが残るのだ。


 噂ではどこかの国の王子様が家宝の神剣を持ち出して、挙句迷宮で倒れてしまい、神剣ごと迷宮に消化されたと言う話だって聞いたことがある。

 それを知ってか知らないでか、消化される怖さを再認識させてくれるジックには本当に頭が上がらない。


「そうね……、危うく罠にかかる所だったわ。ありがとう。

 ナイ、少し気を引き締めて、予定通り回復の泉まで向かいましょう」

「そうだな、ちっと良い気になってたかもしれねぇ。回復の泉まで行って感覚とステータスの齟齬を確認しようぜ」


 かれも消化されてゆくコボルトを見て、消化される恐怖を再確認したんだろう。少し強張った顔でナイが返事を返す。

 ステータス確認の魔法は結構時間がかかる作業だ。魔法陣の構築にかなりの集中とそこそこのスペースが必要になる。その間ジックは無防備になるし、彼が抜けた状態で戦闘を行うわけにはいかない。

 確実に安全が確保された場所以外で使うのは愚かなことで、回復の泉で休憩がてら確認をするのが一般的だと先輩冒険者から聞いているのでそれに従おう。

 私達は頷きあうと気を引き締め直し、道中現れるコボルトを殲滅しつつ回復の泉へと足早に向かった。



――――――――



「ここが回復の泉か」


 先頭を歩いていたナイが、曲がり角の先を見てポツリとつぶやいた。


「ナイ、私にも見せて……わぁ」


 回復の泉は聖なる結界が張ってあり、モンスターが入ってくる事はできないので奇襲を受ける心配が無い。マップ上ではこの通路の先から回復の泉が続くので、ナイの横をすり抜けて曲がり角の先を眺めると、そのあまりの美しさに思わず見ほれてしまった。


「2人とも立ち止まらないでよ。後ろから敵が来る可能性があるんだから。……って、わぁ、これは凄いね」


 非難の声をあげるジックだったけど、同様の感想を持ったようで素直に感動すると、私の横で立ち尽くしてしまった。


「でも立ち止まらないで進もう」


 私と違い一瞬で立ち直ると、ジックは声を掛けて先へ歩いて行く。


「うん、そうだね」


 私もすぐに危険が隣り合わせであることを思い出し、泉へと向けて歩き出す。


 回復の泉とは直径約30mの大きなドーム状の空間の総称で、その中央には名前の由来となった回復効果を秘めた泉がある。

 ダンジョンに必ず一つは存在するこの回復の泉は、どこもほとんど同じ作りだというのが不思議な話だけど、そこに罠や敵が潜んでいたという話は無いのできっとそういうものなんだろう。

 その作りは、部屋のほとんどを占める直径約20mはあろうかという泉のまわりに、5m程度の通路がドーナツ状に囲んでいるというもの。ただ、通路といってもただの地面でしかなく、単に水没していない範囲があるだけ。と言いたくなってしまう。泉の中心部は行けば行く程深くなるすり鉢状で、聞いた話によれば最深部で20m以上もあるという。

 透明度の高い水面からはその知識を裏付ける傾斜が見て取れて、って……これは、私じゃ底まで潜ることはできないに違いない。


 そして一番目を引くのが泉の中央に置かれた、高さ15m程の大きさをもつ女神像。この像からは傷を癒したり、体力・魔力を回復する効果を持つ水が常に湧き出している。

 不思議なことにこの泉の水は、水筒に汲んで持ち歩くとただの水になってしまう。この場所で池に溜まっている水を飲まなければ回復の効果を得ることが出来ないっていうのが不思議な話で、その原因を調べる学者先生の護衛という仕事もあるそうだ。それに水の逃げ道がないのに溢れる様子もなさそうだし……、これも迷宮の不思議なのかもしれない。

 話に聞いている通り、部屋全体からは清浄な気配を感じるので、モンスターは泉に触れる事はおろか、近づくことすらできないだろう。

 そして通路というだけあり、広間に通じる通路は私達が通ってきた通路ともう一つ、女神像で見えないけれど反対側にもう一つあるはずだ。


「うん、ここは清浄な場所ね。ここならモンスターが入ってくる心配はないから安心してステータス用の魔法陣を書けるわね」


 私が頷くとジックは懐から魔法陣を描くための砂を取り出し、地面にステータス確認の魔法陣を書き始める。この魔法陣は直径1m程度だけれど、結構凝ったつくりになっているのでさすがにジックでも書き終わるまでに30分はかかるだろう。


「ナイ、ここにいると邪魔になるわ。今通ってきた所と反対方向の通路を確認しておきましょう。ジック、それで良い?」

「うん、お願い」


 ジックの返答を得てからナイと一緒に反対側の通路を確認に向かう。


「俺はジックについていなくて良いのか?」


 ナイが心配そうに聞いてくるので、この広間が安全なことを改めて伝える。


「うん、ナイは魔力が低くて感じ取れないかもしれないけど、この広間全体には清浄な空気が漂っているのよ。

 魔獣は清浄な空気なんて耐えられないし、近寄りたくもないでしょ? だから安全ってわけ。

 それにナイはジックの近くにいたら邪魔するじゃない? それもあってついてきて欲しいのよ」


 うんうんと納得するナイだったけど、後半部分は聞き捨てならなかったらしく、すぐに反論が飛んできた。


「俺は邪魔なんてしないぞ? むしろ手伝いたいぐらいなんだが」


 ナイの手伝い=破壊に他ならないのでいつものように言っておく。


「それが邪魔だって言ってるのよ」

「……ぐっ」


 さすがに何度も魔法陣を破壊しては、ジックに困った顔で「お願いだから手を出さないで」と言われ続けているだけの事はある。胸に手を当てて二の句が告げないようだ。


「それよりも無いとは聞いてはいるけど、向こうの通路で待ち伏せとか、あると怖いでしょ? 今の内に確認して置いた方がジックのためにもなるわ」

「そうだな。……うん、その通りだ」


 戦いがあるかも。という餌で納得してくれたようで、ナイは意気揚々と反対側の通路まで駆けて行こうとしたので、私も苦笑して駆け足でついて行く。

 聞いていた通り待ち伏せは無いかな? と通路の奥を見ると、奥から白い影がかなりの速さで近づいてくるのに気付いた。


「ナイっ!!」


 警戒を呼びかけるため、小さくナイの名を呼ぶと彼も気づいていたのだろう。既に剣を腰に構えて、通路から身を隠すように立っていた。

 視線をかわすと無言で頷き、正体を見極めるために息を潜めてそれが来るのを待つ。


 そして直ぐに"それ"はやってきた。

 白い何かは通路から飛び出すと更に走る速度を速め、中央にある回復の泉へと飛び込んで行ったのだ。


「えっ!?」


 私は一瞬目を疑った。ナイの方を見ると彼も同じ考えだったらしく、小首を傾げつつも"それ"が飛び込んだ方へ剣を構えて近づいてゆく。

 私も同じようにメイスを構えながらナイの隣へと駆け寄る。


「見た?」

「……ああ」


 互いに腑に落ちない表情をしながら警戒を続けると、泉の奥から小さな気泡が立ち、次第にこちら側へ近づいてきた。


「警戒はしとけよ」

「うん、とりあえず捕縛の詠唱するね」


 ナイは剣の柄を握り直し、私はいざという時の為に捕縛結界の詠唱を開始した。

 その間にも少しづつ気泡が近づいてきて、泉に潜っている生物の容姿が見て取れるようになる。

 色は白、体長は約30cm。赤に光る瞳は懸命に前だけを向いて、こちらに気づく様子は全く無い。――けどそれは間違いなく私達がよく見知ったものだった。


「猫……? いや、アタックキャットか」

「なんで……、こんなところに?」


 泉の中から近づいてきたのは、捨てられたり逃げられ板ノラ猫が魔力を帯びて魔獣化した存在、フィールドにしかいない筈のそれが、何故か神聖なこの回復の泉で、しかも水浴びをしていることに一瞬言葉を失って、近づいてくるのを唖然としながら待つことになった。


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