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『ナイ・グリューエン』

職業 : 戦士

年齢 : 14歳

種族 : 猿人種

レベル : 10

体力 : 30

魔力 : 2

俊敏 : 21

属性親和 : 3



『ヒメ・エスティ』

職業 : 神官戦士

年齢 : 14歳

種族 : 猿人種

レベル : 10

体力 : 11

魔力 : 24

俊敏 : 17

属性親和 : 22



『ジック・クライン』

職業 : 魔術師

年齢 : 16歳

種族 : エルフ種

レベル : 10

体力 : 6

魔力 : 38

俊敏 : 7

属性親和 : 32


 ジックにかかっていた感覚強化の効果切れを待って、3人のステータスを確認すると全員のレベルが1つ上がって能力値も成長していた。

 シロに関しては魔獣ということもあるので今回は見送りで問題ない。(魔素を取り込んでレベルが上がるのは人種のみで、魔獣の成長形態は別と言われている。レベルアップ条件は個体によって違うけど、一般的に言われるのは魔神の加護……と一般的には知られている)


 ナイは魔力と属性親和が、ジックは体力と俊敏が上がらないという残念な結果ではあったけど、長所としているところは相変わらずの伸びを見ることができた。

 ジックが推測したように、感覚強化の切れたナイは実力の低下を感じたようだけど、感覚強化を付与すると直ぐにステータス通りの実力を感じ取ったようだ。

 ちなみに私とジックは感覚強化を掛けなくとも実力の低下を感じることはない。


「やっぱ魔力だけはあがんねぇな。……打ち止めとは思いたくねぇな」

「でも順調に体力は上がってるよ。レベル10程度で30の壁も超えたし、戦士としては相当有能な部類だと思うけどね。

 それに今回はナイの魔力値が低いからこそ"ロズウェルの真実"に気づくことも出来たんだし、低いからってそう悲観することもないと思うよ」

「つってもなぁ……、魔力が低いから真っ先にここの罠に引っかかっちまったんだろ? 魔法耐性が低いってのは以前から分かってたが、実感してみると正直不安になっちまう」


 不安がるナイにジックは少し考え込んだ後、諭すように長々と説明を始めた。


「さっきも言ったけどさ、ナイの魔力が低いからこそロズウェルの罠の本質――実力を発揮することが出来ないバットステータス付与、に気づくことができたんだ。つまりさ、魔法に対する耐性が低かったからこそ、違和感に気づくことができたと言い替えてもいい。

 逆に僕たちは一定以上の魔力を持っていたから、今まで惑わされることなく、本来の力を発揮することができていた。――けど、それだって本当だったかどうか疑わしいんだよ。

 この罠はね、例えば一定以上の魔力を持っていれば無意識に対抗(レジスト)することができる。って言うのなら何も問題はない。でもね、低下する速度が加速度的に――そう、気付くことができないほどにゆっくりと制限を受けてゆくんだったらこれほど恐ろしいものはない」

「ふむ……」

「だってそうだろう? 出てくるモンスターはコボルトのみ。単調で簡単な相手との連戦が続くだけでは、倒しやすくなることで成長の実感が出来ても実力の低下を疑うことはできない。多少の違和感は出るだろうけど、疲れや退屈さを理由に見過ごしてしまう可能性だってある。

 そのまま二階へ下がれば、大幅に格上のモンスター――オークと戦うことになる。それも知らずのうちに下がっていたステータスのまま。ね?」

「確かに……」

「つまり、余裕を持って戦えるはずの相手に歯が立たないという事態に陥る可能性が高い。そうなると混乱するよね? 混乱したまま連携の取れるパーティは熟練の域に達しないと無理だろう。となれば未熟なパーティに待っているのは死、あるのみ。

 抵抗(レジスト)していて欲しいのが心情だけど、いままで犠牲になったパーティが多いことを考えるに、実際は後者なんだろうとも思える。

 幸いにも感覚強化の魔法で抵抗(レジスト)出来る事が分かったし、対応策が分かった以上、こんな罠は恐ろしくもなんとも無くなった。

 その事に気づくことができたのはナイ、君の魔力が低かったからなんだよ。もしもナイの魔力が高かったら、僕たちだってロズウェルの罠にかかっていたかもしれないんだよ。そう考えると君は、自分の魔力の低さを誇ってすらいいんだよ」

「あ……あぁ」

「それに似たような罠の存在を気にして不安がっているようだけど、僕が知っている限りこんな罠が存在する迷宮はまず無い。まぁ、同じような感覚を惑わす罠のある迷宮がないとまでは言い切れないけどね」

「だが……」

「でももし、次にこんな罠にかかりかけたら、ナイはこの経験をすぐに思い出すことができるだろ? その時は僕とヒメが居ればフォローすることができるし、僕達は惑わされないから生存確率はぐっと上がる。

 だいたい戦闘用の魔法攻撃は別モノだから盾で防げるでしょ? 何か問題でも?」

「あー……、ん~……、まぁ、ねぇか?」


 ナイはほとんど理解できていなそうな顔だったけど、ジックなりになぐさめてるのがわかるのか、それとも最後の部分だけに納得したのか、困った顔で頷いている。


「僕たちはさ、パーティなんだ。互いに足りないところは補い合えばいいんだよ」

「……そうだな」

「じゃ、納得したところで2階へ行こうじゃないか」


 ナイが納得したことでジックの気も済んだんだろう。演説をささっと終えると、中断していた荷物の準備を再開し始めた。

 それを見て、ナイはもう大丈夫だろうと私も作っていた首輪の仕上げに入る。


「ヒメ、そろそろ大丈夫かな? こっちは準備できたんだけど」

「待って、あとはこれをシロに付けるだけだから」


 今の状態でシロを連れ歩くと、すれ違ったパーティからただの魔物として攻撃される可能性がある。そんなことにならないよう、使い魔と見分けがつくように首輪を作っていたのだ。

 余っていた皮袋を解体し、組紐状に作った首輪を大人しく待っていてくれたシロの首に結ぶ。少しくすぐったそうにしてるけど、白い体毛に茶色の革紐がアクセントとなってすごくかわいらしい。でもあと少し……飾りにビーズでも通してあげたらもっとよくなりそうだ。帰ったら早速買いに行こうかな。

 シロは町を見るのも初めてかもしれないし、買い物に連れて行くのが楽しみで仕方ない。


「おっ、似合うな」

「そうだね、これなら他のパーティに使い魔であることが証明できる。さすがヒメは器用だね」


 2人とも絶賛してくれてシロも心なしか誇らしげに胸を張ってるように見える。きっと気に入ってくれたんだろう。よかったよかった。


「ありがと。

 じゃ、手早く2階に降りて経験を積んで帰りますか」


 腰を伸ばしながら出発の支度を始める。と言っても胸当てを付けて荷物を担ぐだけだけどね。

 念のためにお互いの装備を点検しあい、二階へ続く階段への順路を地図で確認した後、隊列を整えて迷宮の奥へ続く通路へ歩き始めた。


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