03:聖騎士
翌朝、雄大が目を覚まし日課の格闘術の型をしていると部屋の扉がノックされる、雄大が入室の許可を出すと一人のメイド服「もちろん秋葉原何かに居る紛い物なんかでは無い」を着た少女十五歳位だろうか、が入って来た。
「国王様からお客様を食堂に案内する様にと言付かって来ました」
「すいませんが、朝の走り込みをしてから行くと国王様には伝えて下さい」
「しかしそれでは食堂の場所が解らないのでは無いでしょうか?」
「大丈夫ですよ、解らない時は近くの人に聞きますから」
「はぁ~そうですか、それではそうお伝えいたします、では失礼いたします」
メイドの少女を見送った雄大は、走り込みの為中庭に出た、本当は山等の足場の悪い所を走りたい雄大で有ったが、城の敷地から出てはいけないと国王から厳命されているので渋々諦めた。
案の定道に迷った雄大が近くに居たメイドさんに案内されて食堂に行くとそこには、国王の他に国王の側に付いていた初老の男性と雄大の監視をしていた兵士が食堂の椅子に座り雄大を待って居た。
「お待たせしました、朝晩の走り込みは毎日の日課だったんですが、昨日出来なかったので朝の走り込みを増やしましたので遅れました」
「別に構わないよ、色々と話が有るんだが取り敢えず朝食を食べよう」
遅れた事を謝り席に雄大が着くと料理が運ばれてきて食事が始まる、朝食を食べながら今日のこれからの予定と、まだ名前を聞いていない2人の自己紹介が有った。
初老の男性は、フォレストの家老で名前は、ラージ・フォーレ。
雄大の監視をしていた男は、フォレスト騎士団長で名前は、ヒエン・オールド
「今日の予定だが、ユウダイ君には魔素適性の検査を受けてもらう、ラージすまないがアレを持って来てくれ」
国王に命じられラージが食堂から出て行く。
「魔素とは何ですか?」
「まあ話はラージが戻ってからだ、しばらく待つが良い」
しばらくするとお盆の上にサッカーボール大の大きさの水晶のような物を持ってラージが食堂に帰って来て雄大の前にその水晶置く。
「ユウダイ殿、この魔素水晶に両手を載せて下さい」
ラージの言葉に従い雄大が両手を載せると透明だった水晶が真っ白に染まりやがてまぶしいほど輝き出しそして割れた。
「これはどういう事なんですか?」
雄大が三人の居る方を向くと、驚愕した表情をした三人が居た。
一番最初に喋り出したのは国王だった。
「これはまず間違いあるまい、ユウダイ君は我が国に古くから伝わる聖騎士だ」
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場所は変わって国王の執務室、ココまで来るとラージとヒエンも大分落ち着いている。
「我が国に古くから伝わる伝説にはこう有る、「国、荒れる時、世界の壁を破り、光と共に一人の男現る、その者魔素を従えし聖騎士なり」、とな」
「それが私だと言うのですか、何かの間違え何じゃ無いのですか?」
「いえ、それは無いでしょうな、昨日の貴方が現われた時の現象、それに先程の水晶を壊した程の名素適性、聖騎士様で間違い有りません」
「俺も驚いたぞ、まさか水晶が割れるとはな、早速騎士団の連中にお披露目と行くか‼」
雄大は無駄な抵抗かもしれないが、最後の抵抗をすることにした。
「大体、私みたいな得体の知れない者が伝説の聖騎士で良いのですか?、国民よ兵士達が納得しないでしょう」
雄大の問い掛けに国王が答える。
「我が国の国民は信心深い大丈夫だろう兵士達は魔獣の森での一部始終を見ているそれこそ問題あるまい」
この言葉を最後に雄大は抵抗を諦め聖騎士なる事を承諾した。
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また場所は変わって今雄大達四人は、騎士団の兵士達が利用する食堂に来ている。
「お前達も知っての通り、昨日我が国に聖騎士様が降臨成された、ユウダイ殿だ」
ヒエンの言葉と共に雄大が前に出ると「ウヲォォォォォ」と兵士達が唸り声を上げ「昨日の魔獣との戦いは凄かったです聖騎士様」と雄大を褒め称えた。
「わたしはそんな、わたしと歳も変わらない様な男が聖騎士様なんて認めない‼」
そんな中一人の十五・六歳位の綺麗な黒髪をポニーテールにした活発そうな少女が兵士達の間を縫い前に出てきて叫ぶ。
『おいおい、国王様国民は信心深く兵士は昨日の一部始終を見ていたから大丈夫なんじゃ無いのかよ、後今変な事言わなかったか?』
雄大が心の中で国王に疑いの念を送っているとヒエンが少女に問いかける。
「では、どうすればユウダイを聖騎士と認めるんだマキナ?」
「もちろん、そいつが、あたいと戦って勝てたら聖騎士様と認めてやるよ、兄貴‼」
「騎士団では団長と呼べと何時も言ってるだろうがマキナ」
どうやら少女はヒエンの妹の様だが似て無い兄弟だな、そんな事を考えながら二人のやり取りを見ていた。
「で、如何すするよユウダイ」
「私はやりませんよ」
「化けの皮が剥がれるのが怖いのかい」
「貴女と戦う理由が有りませんよ」
「やっぱり怖いんだ?」
「勝負してやってくれないか、ユウダイ彼奴は一度言い出すと聞かないんだ」
「は~、仕方ありませんね」
ヒエンの頼みで仕方なくマキナと勝負する事にした雄大達は騎士団の練習場まで来ていた。
「それでは、ユウダイとマキナの試合を始める、勝敗は双方何方かの気絶もしくは降参とする、では始め」
向かい合う2人、先に動いたにはマキナ両手で持っている大剣を振り上げながら雄大の正面まで駆け寄ると力一杯に振り下ろす、雄大は紙一重で交わすとマキナに肉薄してお腹に軽く拳を触れる、その瞬間マキナの体は糸の切れた人形の様に崩れ落ちた。
「ソコまで、勝者・雄大」
雄大はその場で一礼してからマキナに近付くと彼女を背負い医務室へ向かった。
「はっ、ココは」
「医務室さ、私が運んだ」
ベットの上で目覚めたマキナは雄大の存在をその目に捉えると凄い速さで床の上に降りると深々と頭を下げた。
「申し訳ありませんでした、聖騎士様わたしの完敗です貴方様を試そうなんて思い上がりでした」
凄い変わり様だなと内心思いながらマキナの頭を上げさせた。
「頭を上げて下さい後聖騎士様は止めて下さい、呼び捨てで構いませんよ」
「そんな事は出来ません、ではユウダイ様とお呼びします」
「様は余計なんですが」
「ユウダイ様はわたしと同じ位の歳だと思われますがお強いんですね」
「ハイ?、マキナ君には私が何歳に見える」
「十五・六歳ですが?」
マキナの言葉に医務室の壁に立付けて有る姿見に自分を映す雄大、そこには肌はピチピチ、髪は艶々の十五・六歳の時に自分が映って居た。
『何だこれは、まさか世界の壁を越えた副作用か?』
「如何なさいましたか?、ユウダイ様」
「いや何でもない、私の強さだったね、小さい頃から祖父に鍛えられてるからかな」
そんな事を二人がしていると、医務室の扉を叩きラージとヒエンを引き連れた国王が入って来た。
「話は付いたみたいだな、ユウダイこれからの事を話したい疲れているだろうが執務室まで来てくれ」
「解りました」
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場所は変わってまた国王の執務室。
「取り敢えず聖騎士としてのユウダイの仕事だが魔獣の森の大型魔獣を討伐してもら居た」
「と言う事はまた魔動人に乗れるんですか♪」
雄大が目を輝かせて国王に聞くと国王は何ともバツの悪そうな顔で雄大に告げる。
「済まないがそれは出来ないのだ、あの魔動人は大型魔獣退治の為に隣国から無理を言って借りた物なのだ、昨日の内に隣国えと返してしまった」
「では私は魔動人に乗れないんですか↷」
目に見えてテンションが下がる雄大、そこに国王の言葉がかかる。
「魔動人は無いがユウダイには竜に乗って戦ってもらう」
こうして雄大の聖騎士としての生活が始まる。
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移動中に聞いたのだが魔素とは空気中に在る目には見えない物質でそれをエネルギーにして魔動人は動き魔素適性が低いと魔動人を長時間動かせないらしい。
・・・・・次話に続く