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01:消失

 ここは軍需産業を生業としている、とある会社の社長室、肩まである白髪交じりの黒髪長髪を後ろで一つにまとめ、いかにも機械の整備士が着ている様な機械油等で汚れたツナギを着た年の頃三十代前半位の男が社長室の主に詰め寄っていた。


「何故です社長」

「落ち着きたまえ

「これが落ちついて居られますか、何故私の計画が受理されないのですか?、理論は完璧のはずです」

「確かに理論は完璧なのかもしれん、だが巨大人ロボットなど何の為に作るのかね?」

「そ、それは災害時の人命救助や瓦礫撤去に使えます」

「人命救助や瓦礫撤去なら既存の重機や航空機で足りておる、作る意味は無いな、君が創りたいだけだろう?」

「くっ、今日の所は引きますが私は諦めませんよ!、巨大人型ロボットの魅力を解らせてあげますからね!」


 男は社長室のドアを力いっぱいに閉め出て行った。


「彼もアレさえ無ければ最高に優秀な技術者なんだが」


 男が出て行くと社長は静かに呟いた。

 社長に詰め寄っていた男の名は『もり 雄大ゆうだい』この世のありとあらゆる学問を修めた鬼才。

 そもそも何故彼がココまで巨大人型兵器に情熱を注いでいるかと言うと、子供の頃に視たロボットアニメに魅了されてしまったからである。

 彼は子供の頃から鬼才であった、巨大人型兵器を作るのに何が必要か理解し、役立ちそうだと全ての学問に手を出しその全てを二十歳そこそこで修めて仕舞ったのだから。

 その上操縦するには丈夫な体も必要と、祖父が師範を務める格闘術を免許皆伝を身に付け今なお毎日朝晩の走り込みや格闘術の鍛錬はおこたっていない、彼は正に鬼才と言うに相応しい人間であった。

 そんな彼でも、いやそんな彼だからこそ、この現代社会に巨大人型兵器なんて物が必要とされて無い事にきずけないでいた。


 ############


 社長室襲撃から数日後の金曜日の夜


「どうして誰も巨大ロボットの素晴らしさを理解できない?」


 今日も製作の許可は下りない事にブツブツ文句を言う雄大しかし今日は待ちに待った新作ロボットアニメの放送日気持ちを切り替える事にした。


「何時か自分で巨大ロボットを創る参考にロボットアニメは欠かせないからな、今から楽しみだ」


 そんな事を想いながら自分で組み上げた自慢のアメリカンタイプのバイク(ちなみに、形は音叉のマークで有名な会社のバイクを参考にした車体色は黒)を走らせていると、操作を間違えたのか反対車線から一台の大型トラックが雄大の前に飛び出してくる。

 トラックを避けようとした雄大は、誤って仮設のフェンスを突き破り建設途中の立体交差に入ってしまい其のまま落ちてしまった。


『これは死んだな・・・うっまぶs』


 雄大が死を覚悟した瞬間目の前に白い光が発生してそこで雄大の意識は途切れた。


「こちら三号車、落ちたと通報の有った人物車両とも発見できません」


 事故を目撃した通行人の通報で警察と救急が駆け付けたが、雄大がバイク共々落ちたと思われる建設途中の立体交差の下には、落ちている最中に彼のカバンから零れ落ちた会社の写真付きIDタグだけが残されていた。




 こうして地球から一人の鬼才が消えた。




 ・・・・・次話に続く

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