『次元連結システム、始めました』
「わかった!じゃあ俺がお前らにアニメとは何なのか、漫画とは何なのかを叩き込めば良いんだな!」
拓郎は少々自暴自棄になりながらも、イチローとリョーコの件を了承した。
「ありがとうございます!それでは早速...。」
イチローは腕にはめたデバイスを起動させた。
「リョーコ!次元連結プログラムをスタート!対象者はイチローと地球人の向坂拓郎!」
「了解!対象の確認後、次元連結の対象を指定して下さい!」
拓郎は二人のやり取りを茫然と眺めていた。
「お前ら何してんの?」
「はい。今から拓郎さんには二次元の壁を越えてもらいます。」
拓郎の頭は更に混乱した。
「何言ってんだ、お前?二次元に行けるはずねぇだろ!」
「だって二留もした拓郎さんに一々教えてもらってたら時間が幾ら有っても足りませんよ。だから私の星の次元連結システムを持ってきたんです!これさえあればどんな設定のアニメ、漫画の"壁"を越えられるんです!」
再びイチローのナチュラルポイズンが拓郎をジワジワと痛め付けていた。
「あ、そ、そうですか...。」
「だから拓郎さんは作品を選んで、その世界で作品の良さを十二分に説明してくれれば良いんですよ!」
拓郎は落ち込みつつも、その設定に内心ワクワクが止まらなかった。
「...ってことはハーレム作品に行って主人公になったり、ファンタジー作品で世界を救うことも出きるんだな。最高じゃん、フヒヒヒ...」
「気持ちが悪い...」
「拓郎さん!とにかく作品を決めてください!」
「よし!じゃあ最初は...っと。」
拓郎は本棚に詰めてあった漫画から今の気分に合う作品を選び始めた。
「拓郎、早くしてよ!」
「拓郎さん!」
「わかったよ!そう急かすなって!リョーコ、こいつで頼むわ。」
「了解!次元連結開始します。」
「拓郎さん、何にしたんですか?」
「行ってからのお楽しみだ。フヒヒヒ...」
不気味な物音ともにイチローの腕のデバイスが光始めた。
「あー、やっぱり夢落ちか...?それとも爆発落ちか...?」なんてことを思いながら、拓郎は眠りに落ちていった。