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ちいさな人形姫

作者: 百合姫

 くれないの国は女王さまのおさめる国です。

 女王さまには一粒種の娘、つまりお姫さまがいました。


 まだ幼いのに、とても可憐で美しいと評判のお姫さまでした。

 けれど女王さまは、家臣がどれほどすすめても、お姫さまに会おうとしません。

 産まれた時に一度、顔を見たっきり。

 お城の一番奥深くに住まわせたきり、ただの一度も見に行くことも、声をかけることもなかったのです。






 お姫さまは、女官たちの手で育てられました。

 とてもとても可愛がられて育ちましたが、いつからでしょうか?


 泣かない。

 怒らない。

 笑わない。

 そんな子に育っていったのです。

 とても美しい子だったので、その姿はまるで人形のよう。



 幼いからこそ、母君にお会いできないことがよくないのだわ。

 そう考えた女官たちは、毎日毎日女王さまについて語りかけました。

 彼女たちが子守り唄よりもひんぱんに、


「女王さはとても素晴らしいお方ですよ」

「お母様はとてもお忙しいのです」

「良い子にしていれば、女王さまが会いに来てくださいますよ」


 と言うたび、「お母さまってなんだろう?」と考えるのですが、残念ながら幼いお姫さまには答えが出せないのでした。

 本当のところ、ちいさなお姫さまにとって、見たことのない女王さまとお会いできなくても、お顔やお声を知らなくても、困らないのです。


 けれど、女官たちがとても悲しそうに言うものですから、なぐさめるように鈴の音のように愛らしい声でこう答えるのです。


「みんながいるから、さびしくないの」と舌っ足らずな声で。


 4つになったばかりの幼いお姫さまの聞き分けのよい言葉に、女官たちはますます悲しい顔をするのですが、みんなをどうなぐさめれば良いのかわからないのです。

 





 小さなお姫さまには、最近楽しみにしていることがありました。

 暖かい日の午後に訪ねてくる、若いお客さまがいるのです。 

 お姫さまの庭には咲かない花や、おいしいお菓子をお土産に持ってきてくれる人でした。


「ラン!」


 廊下をわたってくる小さな娘を見つけ、お姫さまは駆け出しました。

 姫さま、と両手を広げて身をかがめるその人に抱きつくと、ふわり、とよい香りが鼻をくすぐります。

 やさしい笑顔のその人は、周りの女官たちよりもずいぶん若いのです。

 おかしなことに、女官たちはその人を見ると、そっと頭をさげて立ち去ります。

 いつもはひとり、ふたりはお姫さまの近くにいるのに、ランが来た時だけ。



 もっとも、お姫さまに会いにくるお客さまなんて他にはいませんけどね。



 女官たちのようにお世話をするお役目ではなく。

 庭師のようにお庭の手入れをするお役目ではなく。

 ではランのお役目とはなんだったのでしょう。


 これが困ったことに、お姫さまは知らないのです。

 分かっているのは「ラン」と呼ぶ名前だけ。


 なんでも聞いてくださいね。

 と、優しく笑ってくれるのですが、お姫さまが聞くことはありませんでした。



 暖かなお陽さまの下でいっしょにお庭を散歩したり、

 お土産の花を花瓶にさして、たくさん絵がついた大きな本を広げて花の名前当てをしたり。


 お菓子をつまんでお茶をする時は、おおきな椅子にいっしょに座ることもありました。

「おいしいね」と顔を見あわせて食べると、本当においしいのです。 

 大発見でした。


 風にいたずらされた髪をゆっくり櫛ですいてくれたこともありました。

 見上げればいつだっておっとりとした笑顔があって、お姫さまもにっこり笑顔になれるのです。


 なによりランはぜったい女王さまのことは言いません。

 お姫さまが、どう答えようかと困ることもないのです。



 暖かで優しい時間。

 お姫さまが一番大好きな時間が、この暖かい午後でした。



 女官たちは何も言いませんが、

 可憐でとても美しいと評判のお姫さまは、

 女王さまに嫌われ母の顔を知らず、そのせいで感情を無くした人形姫だとも噂されていたのでした。







 木枯らしの吹く季節になり。

 暖かな日差しが少なくなると、とたんにランが訪ねてくることが少なくなりました。

 おまけに、来てもほんのわずかな時間で帰ってしまうのです。


 今日は来るかな。

 明日はどうかな。


 空を見上げては、雲の多さにため息をつく日が続きます。

 お昼を食べたあとに廊下を見に行っては、しょんぼり戻ってくる日が増えました。


 女官たちは自分たちが大切に育てるお姫さまの姿を見ては胸を痛めました。


 けれどこうしてお姫さまは、寂しいという感情を覚えたようでした。

 そして、

 廊下の向こうからやってくるランの顔を見つけた時に生まれた、嬉しいという感情も。




 その日、久しぶりに訪ねてきたランに、お姫さまはべったりとくっついて離れませんでした。

 産まれた時から周りにいる女官たちはお姫さまをとても大事に育ててきましたが、そこはどうしても女王さまの一人娘。

 お姫さまと女官、という立場の違いは遠慮させてしまうのです。

いたずらのひとつでもしようものなら叱りもしますが、なにせ彼女たちのお姫さまは聞き分けのよい良い子。

 甘えたい年頃に甘えることを知らずに育ってきたお姫さまは、甘えることがとても下手だったのです。


「今日はずいぶん甘えんぼさんですね」


 と笑ってお姫さまの頭をなでるランに、女官たちはほんの少しの悔しさと、なによりも大きな感動で涙ぐみました。

 まるでふつうの子どものように甘えるお姫さまの姿は、4つという年齢にふさわしく、とても愛らしかったからです。




 ねぇねぇ、と、おねだり声でお姫さま。

 なぁに? と、やさしく微笑むランは、いつもの笑顔。

 とても安心する笑顔です。


 ぎゅっと抱きついて、ランのお腹のあたりに顔をくっつけて。

 大好きな香りに一安心。

 もう一度抱きついた腕に力をいれてから、お姫さまはちいさな声で尋ねました。


「女王さまってお母さまのこと?」


 お姫さまが、自分から女王さまのことを口にするのは始めてでした。


「そうですよ」


 おっとり答えるランは、そしらぬ顔。

 幼くても聡明なお姫さまです。

 もうずいぶん前から、女官たちが言う女王さまがお母さまと同じ人だと、気づいてはいたのです。

でも本当に聞きたいのは、


「お母さまって・・・・」


 蚊の鳴くようなささやき声に、ランは内緒話を聞く時みたいに耳に手をあてました。

 以前教えてもらったその仕草を、お姫さまは覚えていました。

 両手を口元にあて、ランの耳にそっと”内緒の話”をします。


「お母さまって、なぁに?」


 どんな人? ではなくて なぁに。


 ふむ。と、考えこむランを、ドキドキしながらお姫さまが見上げてきます。


「母親とは、姫さまをお産みになった女性、とお答えすべきでしょうか」


 珍しくもハッキリとしない返事に、お姫さまは???と、首をかしげました。

 目の前ではランが、こちらも首をかしげながら、はて女性? いや女性のはず。とブツブツつぶやいています。

 どんな人? と聞かれていれば、ランにも、女官たちにも、答えの準備はあったのです。

 ところが始めての質問が、母親とは何か。

 お姫さまにとっての母親がいかに遠い存在か、よく分かる問いでもありました。








「ランはいつくるの?」


 泣きそうな顔でお姫さまが女官たちに聞いて回る日が続きました。

 本格的な冬の訪れとともに、また来なくなったのです。

 暖かな日差しの日もなく、


「寒い日は良い子でお部屋で過ごしましょうね」


 と、口々に女官たちに言いくるめられるのです。

 良い子のお姫さまが女官たちを困らせることは嬉しいけれど、彼女たちの誰も、答えをもたないのです。

 最近の女官たちは、女王さまのことよりランが来ないことの言い訳を必死で考えるようになっていました。







 寂しがるお姫さまを見かねてか、たびたび何かが起こるようになったのはこの頃のこと。




 初めは、伯父さまからの贈り物。

 可愛い柄の綿入れをいただいたようです。

 寒い日が続くので庭に出る時は使いなさい、と手紙を添えて。

 伯父さまといえば、数少ない、お姫さまの部屋にやってくるお客さまでした。

 最後にお会いしたのは年始のご挨拶です。

 お母さまの兄なので伯父さまと呼んでいますが、お母さまに会ったことがないのに伯父さまとは会っているのは不思議なことです。




 次の出来事は、警備の見直しに、と、将軍たちがあいさつに来たのです。

 紅の国にはたくさん将軍がいます。

 その日来たのは2人の将軍でした。どちらもいかめしい鎧姿です。

 椅子に座り、お行儀よく2人と向かい合うお姫さま。 

 もちろん女官たちがすぐ近くにつきそいます。

 幼いお姫さまが怖がらないように、との心遣いです。

 するどい目つきの女将軍は、お姫さまの前で目をなごませ、丁寧にあいさつをします。

 けわしい顔つきの大男の将軍は、膝をついてお姫さまと目をあわせて笑いかけました。

 目があって、お姫さまはあ、と思い出しました。

 それはまだ暑かった季節、ランを追いかけてお姫さまのお部屋の近くまで来たことがあったのです。

 あの時は確か・・・・・・

 ランがとても怒って追い返そうとするのを、とってもとっても楽しそうに怒られながら並んで歩いていたような。


 じっと眺めていると、ふっ、と目尻がさがりました。

 それはとても優しい顔をしていました。


 始めてお姫さまを見る人は、幼さに似合わない美しさにびっくりするのですが、将軍たちは気にしていないようでした。

 あいさつが終わると女官のひとりと難しい話をしながら、立ち去っていきました。




 もうひとつの出来事は、雪です。


 朝起きると、窓の外が真っ白でした。

 朝餉もそこそこに庭に出たがるお姫さまに、女官たちは綿入れを着せ、暖かい格好をさせてようやく外に出ることを許したのです。

 真っ白な息をはきながら庭に降りたお姫さまは、思わず悲鳴をあげました。

 見慣れた庭の真ん中に、大きな大きな雪のうさぎが座っていたのです。

 生きたうさぎは知らないのですが、ランが持ってきた本にのっていました。

 こわがりだけど、とても愛らしいのですよ、と教えてくれたのを覚えています。

 心配した女官たちが連れてもどるまで、お姫さまは雪のうさぎの近くで過ごしました。

 伯父さまからいただいた綿入れが大活躍したのです。

 このあと、3日ほど熱を出して寝込んだのは、女官たちとお姫さまだけのひみつ。



 こうして、

 寂しいけれど、時々いつもと違うことが起きた冬は過ぎていこうとしていました。







 伯父さまが訪ねてきたのは、雪もとけ、「春が近づいてきてますよ」と女官たちが教えてくれた頃でした。

 綿入れを贈ってくれた伯父さまです。

 立派な体格の、端正な顔立ちの方です。

 とても素敵な方なので、伯父さまが来た時は女官たちが大騒ぎします。

 この時も、いつもはあちこちで忙しくしている女官たちが部屋に集まってきたので、お姫さまはおかしくて笑ってしまいました。


「笑うようになったと聞いていたけれど、いい笑顔をするね」


 伯父さまは女官たちに言いながら、とても嬉しそうにお姫さまの頭をなでてくれました。

 そういえば、とお姫さまは思い出します。

 こんな風に触れるのは、伯父さまの他にはランだけだな、と。

 ひとしきり頭をなでた伯父さまは、そのままお姫さまを抱き上げると、膝に座らせました。

 びっくりするお姫さまをおかしそうに笑います。

 ランと同じ、優しい笑い声でした。

 目をつぶって手を出してごらん、と言われ、お姫さまは素直に両目をつぶり、両手を出しました。


「片手で充分だよ」と愉快そうな笑い声が、頭の上から降ってきます。 

 伯父さまが笑うと伯父さまの膝も揺れ、お姫さまも揺れました。 

 ゆらゆらするお膝にキャアキャア悲鳴をあげるお姫さま。

 その手に、小さななにか、が置かれました。


「目をあけてごらん」


 の声に、お姫さまはそっと目を開きます。

 手のひらの上に、刺繍が入ったちいさなちいさな巾着袋がのっていました。

 香袋だよ、と教えてくれる伯父さまの声は、お姫さまの耳に入ってこない様子。


「ランと同じにおい!」


 そうっと鼻に近づけると、いっそうランの香りがします。

 ふいにお姫さまは、ツン、と鼻の奥に痛みを感じました。

 そんなつもりはなかったのですが、ポロポロと涙が転がり落ちてきました。

 ひぃっく、としゃくりあげる声が続きます。

 こうなることが分かっていたとでも言うように、伯父さまはふたたびお姫さまの頭をなでました。


 少しお姫さまが落ち着いた頃。


「彼女のこと、好きかい」


 やわらかな問いは伯父さまのもの。

 こくん、とうなずくお姫さまです。


「・・・・・・・・・ランはどこ?」


 不安そうに、おずおずとお姫さまは見上げました。

 ぎゅっと香袋を両手でにぎりしめて。


「少し、体を壊してね。しばらく来れなくなったのだよ」


 伯父さまの言葉は少し難しいのです。

 けれど、お姫さまにわかったことがありました。

 声もなくポロポロと泣き出したお姫さまは、もうランとは会えないのだということが。

 始めて知った、大好きな人との別れでした。





 立ち去り際、なにげない口調で伯父さまはつぶやきました。


 彼女と過ごしたように、女王さまの前で笑うといい。

 嫌われているわけではないのだから。







 いくつか季節がすぎ、お姫さまは少し大きくなりました。

 いつかに伯父さまからいただいた綿入れも、とうとう着られなくなりました。


 最近のお姫さまは、することがたくさんできていました。

 読み書きを学び、

 お作法を学び、

 お姫さまにふさわしい美しい言葉づかいのお勉強まであります。

 毎日がとても大忙しです。



 それだけではありません。



 紅の国では、子どもはとても大事にされます。

 次の国を背負う大切な大切な人だからです。 

 そして、7つの誕生日というものは、とても盛大にお祝いされるもの。

 そう決めたのは、お姫さまのお母さまの、そのまたお母さまでした。


 そう、

 お姫さまもとうとう7つを迎える日がきたのです。






 朝一番に届いたのは、朝露のついた素敵な花束でした。

 これは、お姫さまのお庭を世話する庭師からです。



 次にお姫さまの手に渡ったものは、可愛いお人形。

 女官たちがみんなで相談して、用意してくれたのです。

 お姫さまが腕に抱くと、大小の可愛いお人形が並んでいるようでした。



 伯父さまからは素敵な細工のはいったお道具箱をいただきました。

 中には同じ細工の櫛と、鏡。

 そして7つのお祝いのお手紙を。

 今年はお忙しいようで、ごあいさつできないことが残念とも書いていました。



 なんと、将軍からも贈り物がありました。

 あの、けわしい顔の大男です。 

 お姫さまには少し背伸びした品でしょうか。

 赤い布靴です。

 小鳥や花の柄がたくさん入っていました。

 天気のよい日、お庭の散歩に使おうと大事に並べてもらいました。



 お次は、お祝いの席に出るための着替えです。

 くちびるには始めての紅をさし、髪をたかく結いあげ、かんざしをさしました。

 お姫さまの名前にちなんで、少し小さくしたハスの花をたくさん連ねたかんざしでした。

 何枚もうすい衣を重ね、帯飾りできれいにとめて、完成です。

 女官たちを連れ、静々と歩くお姫さまの姿は、噂通りにとても美しいものでした。

 緊張で青ざめた顔が、よりいっそうお人形のようだと言われましたが、お姫さまはなんとか最後まで歩ききりました。


 どこへ向かったのでしょうか。


 お母さまである女王さまが、大切なお祝いだからと呼んでくださったのです。








 お庭はよく見える場所に、特別なお祝いのためのお席が作られました。

 冬の花がたくさん集められ、まるでおとぎの国のよう。

 そよ、と吹いた冷たい風が、お姫さまの黒髪をゆらして通り過ぎていきました。


 先を歩く女官が、頭をさげてそっと横にずれました。

 先へ先へとうながされ歩くうち、とうとう背をむけたひとりの姿だけが残りました。


 お姫さまと同じ、まっすぐな黒髪。

 朱色の衣も同じ色。

 お姫さまはお腹に力をこめました。


「・・・・・・・・・・お母さまでございますか?」


 娘が始めて母に声をかけたのです。

 けれど何かが変。

 言葉もだけれど、その背も姿かっこうも、まるで男性です。

 お姫さまの衣はあちこちヒラヒラと風に揺れます。

 目の前の方の衣は、武人風とでも言いましょうか。

 お姫さまは始めて見る場所、衣、その人に目をまるくしました。


 静かに皆が見守る中、女王さまはようやくお姫さまを振り返ります。

 背が高く、涼やかな目元、キリっとした立ち姿。

 まるで男性のよう。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・お父さまでございました?」


 ちょっと考えて、お姫さまは言い直しました。

 その言葉に、並んだ女官たちはくすくすと笑いあいました。

 そう、紅の国の女王さまは、どちらかと言えば男性的。

 武の女王さまなのです。

 誰かが教えていると誰もが思い、お姫さまには伝わっていなかったのでした。



 もう一歩、

 あとひと押し!


 お育てしてきた女官たちは心で念じます。

 美しくて可愛い彼女たちの大切なお姫さま。

 ちいさな頃よりも、ずっと上手にしゃべり、怒り、笑うことができるようになりましたもの。

 にっこり笑顔できちんとごあいさつしたならば、女王さまが気に入ること間違いなしなのです。

 その心が通じたのでしょうか。


 お姫さまはなんとも愛らしい笑顔を浮かべたのです。

 まさにランと過ごしたあの暖かな日に、ふたりで笑いあったあの顔です。



 お母さま、と呼びかけようとしたのでしょうか。



 可愛い口がかるく開いて、止まりました。




 並んだ女官たちも動きを止めました。





 動いたのは女王さまただひとり。

 頬を染め、まるでお人形を愛でるようにお姫さまを抱きしめ、





 抱きしめ・・・・・・・







 ―――――つぶしたようでした。












 こうして、お姫さまの7つのお祝いの席はわずかな時間で終わりました。






 この後お姫さまはどうなったかですって?







 大丈夫。

 ・・・・・・・・・・・とも言えませんが、


 オロオロするばかりのどうしようもない女王さまからあっという間に引き離され、医者が呼ばれ、三日三晩意識を飛ばしたあと、なんとか目覚めることができました。




 そうして目覚めたお姫さまは、お母さまのお母さま、つまりおばあさまの元に引き取られると知らされました。





「女王さまたるお母さまは、とても恐ろしいものだから近づいてはいけない」




 お姫さまの心に、ちゃんと今でも刻んであります。

 痛い思い出とともに。









 そして今日も、口さがないスズメたちは噂をささやきます。


 今度は女王さまがお姫さまを死ぬほどの仕打ちをなされたのだとか!

 まあおそろしい。

 よほど、お姫さまのことを嫌っておられるのね。


 なーんて感じに。



最後までお読みいただき、ありがとうございました^^

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