三話
カイトに置いていかれたエーベハルトとアルシュタートは一度街に戻り、ギルドに巨大な鳥の事を報告した。そして、ギルドに滞在していたAランク以上の冒険者を十人以上連れて再び森に向かった。残った冒険者は街の防衛にあたった。
「エーベ!!アレ!!」
「あっちか!!行くぞ!!」
森に到着すると森の奥が赤くなっているのに気が付いたアルシュタートがエーベハルトに知らせた。それを見たエーベハルトが森の奥に進む。他の冒険者達もエーベハルトに続いた。
エーベハルト達が森を走り続け、辿り着いたのは燃え盛るエルフの里だった。里の痕跡は残っていなかったが、森の中にある何もない空間に昔集落か何かがあったのだろうと思わせるような場所になっていた。その光景を呆然と見ていたエーベハルト達だったが、倒れている人影を見つけ動き出す。
「怪我人がいる!!至急手当てだ!!」
エーベハルトの言葉に冒険者が弾けるように動き出す。
「カイト!!」
アルシュタートがカイトを見つけ駆け寄った。カイトは数人のエルフを集め何かをした後に倒れたようだった。意識なくぐったりしているカイトに慌てて心音を聞くアルシュタート。しっかりとした心音に気を失っているだけだと安心したアルは安堵した。アルシュタートは倒れているエルフ達の容態を確認して回復の魔法をかけた。
結局、生き残ったエルフ達はカイトの側にいた数人だけ。大人のエルフ一人と子供のエルフ六人。他のエルフは皆、息絶えていた。彼らをそのままにすることは出来ないのでギルドから連れてきた中にエルフが居たのでそのエルフに任せた。エルフは森と共存する種族。故に森に還してやるのが掟だそうだ。燃え盛る炎を鎮め、大地に穴を掘り彼らを埋葬した。
生き残ったエルフ達とカイトを連れて街に戻ったエーベハルト達。待ち構えていたギルド支店長に詳細を聞かれたエーベハルト達であったが、本人達が到着した時には既に巨大な鳥は姿を消していて詳細を知っているとしたらカイトであると報告した。そのカイトもまだ目覚めていない。生き残ったエルフ達もまだ目覚めていない。