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一話

20120928 サブタイトル1―1〜1―4→一話〜九話に変更。本文修正に伴い差し替えしました。タイトル数が増えていますが、前とほぼ変わりありません。



 目の前に広がる大森林。

 後ろにある湖に浮かぶ神殿。



「ここはどこじゃぁぁぁぁ!!」


 私の私による私の為の絶叫に森にいる鳥が一斉に飛び立った。









「ハァハァ……スッキリしたー」


 いきなり知らない所に来てビックリしたよ。絶賛世界規模で迷子中の神ヶ谷海都です!!え?突拍子もなく自己紹介するな?すみません。異世界トリップして壊れてます。え?なんでそんなことがわかるかって?都会から森になれば誰だってわかるでしょう。全く……誰だよ。こんな事に巻き込んだ奴は。その首曝すか私の前に座るが良いよ。首跳ねてやるから。え?恐い?これは私の標準装備ですが、何か?(キラッキラの眩しい笑み)


「異世界に来たなら楽しまないとね」


 さて、いつまでもここ(森の中)に居るわけにはいかないので人が居るところに移動したいと思います!!移動手段は忍の如く木の間を移動します。え?空じゃないのかって?残念ながら凧はありません。空は飛べますが。え?じゃあ飛べって?この世界に鳥翼種が居るなら飛びます。それに魔法があるなら使うけど、無いのに使ったら実験台にされかねないから魔法があると確証しない限り使わない。絶対に使うか!!ゴホン。では、早速行きたいと思います。

 音も立てずに木を渡っていると人の……と言うか集落かな?纏まった人の気配がする。


「んー……取り合えず行ってみるか。何時でも逃げられるようにしておくか」


 木の上からちょっと様子見。ん?あれ?なんか耳が尖ってるよ?ファンタジーとかの分類に良く出てくるエルフとか言う種族ですか?


「あー……これは撤退しないとヤバイな。逃げないと……」


 私が逃げようと後ろの木に飛び移った瞬間、私が居たところに矢が大量に刺さった。うわぁ!!私あのまま居たら死んじゃってたよ!!捕まる前にトンズラだ!!

 木の間を高速移動して逃げていたら森から出た。それに驚いた私は木から滑り落ちた。


「痛ッ!!あう……俺様としたことがうっかりしたぜ……」


 受け身をとれず尻から着地した私は涙目になりながら立ち上がった。


「さて、人の居るところはっと……あっちかな」


 埃を叩いて人の居る方に歩き出す。道は整備されていないが、馬車などが通った跡があった。それを辿って歩いていくと城壁が見えた。城壁じゃなくて防御壁か?まぁ、壁には代わりないか。

 人の流れに乗って外門を潜った私は街の様子を見て歩いた。どうやらここはネフィリムと言う街らしい。中央通りは賑やかであるが脇道には座り込む人や子供がいた。それについてはどこの世界も同じと言うことか。

 そこで私は武装した集団を見付けた。その集団はある建物に入っていった。しばらく、その建物を観察していると武装した人達が忙しなく出入りする。と言うことはあの建物はギルドか組合的なものかもしれない。取り合えず入ってみようと一歩踏み出すと声をかけられた。


「嬢ちゃん、ここに何のようだ?」

「?……冒険者の方ですか?」

「あぁ。そこはギルドだぞ。嬢ちゃんみたいな子が来るところじゃない」

「ギルド……そうですか。では、私の目的はココで間違いありません。ご忠告ありがとうございます。失礼します」


 後ろを振り替えれば男性的な美形が居りました。残念ながら私は女性的な美人が好みです。でも、声は素敵ですよ。なんて心の中で称賛しつつ、適当にあしらいギルドの扉を開けた。後ろでゴチャゴチャ言ってるけど無視して受付嬢に話しかけた。


「すみません。登録お願いしたいのですが」

「では、こちらに手をかざしていただけますか?」


 受付嬢に言われて出された水晶に手をかざす。すると水晶が淡く光を放ち私を包んだ。数秒すると光は消えて水晶からカードが飛び出した。これはどういう仕組みなんだ?気になる。


「登録は完了しました。ギルドカードの確認をお願いします」


 受付嬢に言われてギルドカードを確認する。



名前 カイト・カミガヤ

年齢 二十三

性別 ?

人種 神を凌駕せし者

職業 魔術師

Lv ??(表示不可)

技術 全部

恩恵 全部

他  全部


ギルドランク   G

所属パーティー  ―

パーティーランク ―



 何処から突っ込もうか。技術、恩恵、その他の全部って何!?レベルなんてある上に表示不可って何!?魔術師は……まぁ、良いとして。私的には賢者が良かったけど。神を凌駕せし者って何!?性別ー!!あれ?私って男だっけ?女だっけ?あれ?涙で前が見えない。この突っ込みどころ満載なギルドカード何!?

 私の顔から驚きの表情が消えない。口開けてアホ面さらしてるけど。それほどまでに驚くべき事柄だよ!!

 そんな私を気にすること無く受付嬢が尋ねた。


「確認の方は宜しいでしょうか?」

「あ、はい」

「では、ギルド内の説明に入ります。発行させて頂きましたギルドカードは公的機関での身分証明書となります。ギルド内の銀行口座の鍵にもなりますので紛失等お気をつけ下さい。再発行の場合、十万昌石必要となります」


 案外便利なギルドカードに驚きつつも聞き慣れない単位が出てきた。と言うよりこの世界の数字やら単位やら何も知らないんだよね。この街に図書館とかあるかな?探してみよう。


「十万昌石?」

「昌石とは魔力で出来た結晶となります。魔物を倒した際に採れる魔核も同じです。しかし、紛失等の際には昌石を使い再度作り直す事になっておりますので気を付けてください。この昌石はギルドで換金してリラにすることができます。もしお手元に昌石や魔核がありましたら、後程換金させていただきます」

「お願いします」


 受付嬢からの説明によれば昌石は魔力の結晶であると。なら、私が持っている魔晶石も昌石になるよね。後で換金してもらおう。

 魔物からお金になる魔核が採れるなら冒険者って案外金持ちなんだね。数多く倒せばそれだけ魔核が手にはいるし。冒険者でボロ儲けしたらどっかに土地を購入して定住するのも良いかもね。

 未来を妄想する私を余所に受付嬢がサクサクと説明する。


「続きまして、ギルドランクについて説明致します。カミガヤ様のギルドランクは現在Gランクとなっております。これは最初に登録した段階で振り分けられるランクとなっており、次のFランクに上がる場合特定数のクエストをこなしていただきギルド指定のランクアップクエストを受けていただきます。ランクアップクエストをクリアできればFランクにランクアップとなります。パーティーを組まれた場合はギルドランクとは別にパーティーランクが存在し、Gランクから始まります。パーティーランクもギルドランク同様指定されたクエスト数とランクアップクエストをクリアしていただけばランクアップとなります。また、クエストにつきましては自分のいるランクと下のランクを受けることが可能です。クエストの内容には種類があり、薬草や鉱石等の採取、特定の魔物の討伐、街から街の間の護衛があり、時期によっては大量討伐などがあります。なお、討伐に関しましては魔物の体の一部を持ち帰っていただき提出していただいてクリアとなりますので気を付けてください。各部位に

つきましてはそこの本棚に図鑑が入っているのでお確かめください」


 なるほど。ギルドランクは指定されたクエスト数をクリアしてランクアップクエストを合格すれば上のランクに上がれるのか。パーティーを組んでも同じ仕組みと。たぶん、アレだよな。採取のクエストだけやっても上がれないよな。上に上がれば上がるほど凶悪な魔物になるんだろうし。あ、でも採取してる間も魔物に遭遇するのか。そうすると必然的に討伐もしなくちゃならないと。並大抵の奴じゃ、冒険者なんて職業はつけないわな。

 うんうんと相づちを打った私は受付嬢が示した本棚を見て頷いた。後で確認しておきますよ。


「クエストはそこの掲示板に貼り出されます。希望するクエストがありましたら、クエストの紙を剥がして受付に提出をお願いします。ギルドからの依頼は常に張り出されていますので受付でクエスト名を言ってくだされば受理致します。クエストの執行期間につきましてはその都度お伝え致します。ココまででなにかご質問はございますか?」

「もし、失敗や破棄する場合はどうするの?」

「その場合は違約金が発生します。違約金は報酬金額の半額をお支払いしていただきますのでご注意してください。執行期間を過ぎて納品した場合は報酬金額が半額になります」

「わかりました」


 本棚の隣にある巨大な掲示板に何枚もの紙が貼り付けられていた。あれがクエストの紙なのだろう。後で確認してみよう。

 どうやら、このギルドも違約金や報酬半額などがあるようだ。まぁ、そうだよね。納品が遅れたらヤバイのだってあるだろうし。じゃないとギルドの信用はがた落ちだ。


「では、最後になりますが、ギルド内には宿屋や訓練所などの施設も完備されています。ご利用していただく場合は受付にギルドカードを提示してください。なお、料金に関しましてはお支払していただく事になります。宿屋や食堂などは街の民間のものをご利用いただいても構いません。説明は以上です」

「ありがとうございます」


 長い説明をありがとう。大体理解できたからオーケーだね。。受付嬢からギルド内の地図を貰って確認した。あ、図書室と食堂がある。後で行ってみよう。


「では昌石等の換金がありましたら提示をお願いします」

「お願いします」


 私の腰にある不思議ポーチから中くらい魔晶石を一つ出して受付嬢に渡した。それを見た受付嬢は驚いた顔をした。


「これは!?こんな純度の高い昌石始めて見ました!!そうするとこのギルド支店では換金することができません……。申し訳ございません」

「あー……そっか。あ、じゃあ今欲しい金額だけ貰って後は銀行に預けるってのは大丈夫?」

「はい。銀行に預けられているお金は数字でのみの表記になります。銀行などの一部の機能は世界共通になっています。ですので数字のみの管理となり、引き出す際に必要な金額を提示していただければこちらでご用意します」

「じゃあ、十万リラお願い。一万リラだけ崩してくれると嬉しいな」

「畏まりました。では残りの金額は銀行に入れておきますね。残高はギルドカードに記載されますのでご確認してください。では、ご用意して参ります」


 ありゃ、初っぱなから失敗したな。中くらいの魔晶石で支払えないくらい高いのか。まぁ、出しちゃったんだし仕方ないか。当分は不自由しないだろう。どうやら銀行の機能は向こうと同じようだし、取り合えず必要な金額だけ貰っておこう。受付嬢は提示された金額を用意するために奥へと消えた。


「無事に登録できたみたいだな、嬢ちゃん」

「その節はどうも。お兄さん」

「で、何が目的なんだ?嬢ちゃん」


 ギルドに入る前に絡んできた兄ちゃんにまた絡まれた。


「金稼ぎの為さ。生きていくのに必要だろ?だから、手っ取り早く手に入れる為に登録しただけ」

「嬢ちゃん、冒険者を甘くみると死ぬぞ」

「はっ!!この世に私を殺せる人間は存在しないよ。私を殺せるのは真の意味で私を理解し愛している者だけだ」


 なんなんだよ、コイツ。心配してくれるのは嬉しいけどしつこいぞ。しつこいのは嫌われるぞ。しかも兄ちゃん睨んでくるし。私が何をしたって言うんだ!!

 私と兄ちゃんの睨み合いを止めたのは受付嬢だった。


「お待たせ致しました、カミガヤ様」

「ありがとう、お姉さん。じゃあ、泊まる部屋借りても良いかな?」


 兄ちゃんを無視して受付嬢からお金を受けとる。ふむふむ。どうやら貨幣の内、小銭に該当する物は円の形をしているようで一リラ、五リラ、十リラ、五十リラ、百リラ、五百リラになるらしい。それ以上の貨幣は薄くした板に千リラ、五千リラ、一万リラ、五万リラと書かれていた。単位的には変わらないので苦労することはないだろう。


「畏まりました。一泊百リラになります」

「はい」

「ちょうどお預かり致します。部屋は五階の五○一号室になります。こちらが鍵になります」


 受付嬢にギルドカードとお金を渡して部屋の確保をしてもらった。これで今晩の寝床は確保した。


「ありがとう。あ、街の地図とかあるかな?」

「こちらになります」

「ありがとう。じゃあ、ちょっと買い物に行ってくるから」

「行ってらっしゃいませ」


 受付嬢から街の地図を貰い、私はギルドを後にした。

 街の地図を見ながら服屋を探して入った。


「いらっしゃいませ」

「すみません、ローブとか手袋とかありますか?」

「はい。こちらになります」

「ありがとうございます」


 元気よく挨拶する店員さんに尋ねるとローブ等が置いてある棚に案内してくれた。その中から真っ黒いローブと真っ黒い手袋を数枚手に取った。他にも普段着に使えそうな洋服と下着を購入。一応、ドレス一式も特注しておいた。不思議ポーチの中に洋服類は入ってるんだけど、この世界の情報が少ないから今は取り合えずこちらの服を着ることにした。手持ちの金が半分くらい飛んだ。……服とかって案外高いよね。特注したドレス代は後払いにしてもらったけど、アレも高かった。

 服屋を出た私は街にある図書館に向かった。途中、屋台で軽く食べ物を摘まんで図書館に入った。

 外から見た図書館はそんな大きくなかったが中にある蔵書率は案外高かった。私は壁一面に敷き詰められた本棚の一つから本を抜いた。その瞬間、図書館に所蔵している本の内容が頭に入ってきた。それをジャンル別に仕訳して記憶する。

 私は絶対記憶能力と触れたものから情報を抜き取る能力を有している。それを利用してこの世界の情報を集めている。ただし、欲しい情報を明確にしなくてはならない。風からは情報を得ることはできない。などの制約がある。

 今回、図書館にある本の中から魔法に関する本が見つかった。それによれば魔法は魔力があれば誰でも使えると書いてあった。簡単な使い方と四属性(火・水・土・風)について書かれているだけで技とかは書かれていなかった。これはもしかすると魔法に強い一族や組織があってあえて詳しい使用方法を書いていない可能性がある。でも、魔法が有ることさえ判ればこちらのもん。オリジナル魔法をバンバン使いまくりますよ!!

 魔法があることにテンションを上げた私は少し本を見てから図書館を後にした。真っ直ぐギルドに帰ってギルドの図書室に直行。

 ギルドの図書室には魔物についての本や薬草、鉱石等について書かれた本が大半を占めていた。後は武器の扱いについてだったり、体術についてだったりした。図書室の本を全て読み終えた私は自室として宛がわれた部屋に戻り、備え付けのお風呂に入って早々に布団に入った。自室に入った時点で鍵をかけて結界を貼り、侵入者が来たときのトラップも仕掛けた。これで誰か入ってきても扉に触れた時点でお陀仏だ。そんな安全地帯を作り上げた私は夢すら見ない深い眠りへと落ちていった。




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