第6話
ロアが何を言いたいのか全然わからない。…というよりもわからせようと思ってんのか?まわりくどい説明ばかりで、俺の頭の中はパニック状態だ。
「…どういうことだよ。」続きを話そうとしないロアに早く話すように促す。
「確かに村人たちは君を追い出したかったんだ。…それは、君が本当に村のことも村人のことも好きだって知っていたからだ。
…本当は村人たちは君を助けたかったんだ。
君の村でまだ病気にかかっていなくて、若い年だったのは君くらいしかいなかったんだよね?」
俺は余計にパニックに陥っていた。今度はロアが休むことなく、話を進めたからだ。
「そうなんだよね?」
もう一度聞かれて、俺はようやく答えられた。確かに俺くらい若くて病気にかかっていなかったのはたぶん俺だけだった。ほかにもいたかもしれないが、俺が一番健康だっただろう。
「そこなんだ。村人が君を追い出した理由は。
君はまだ病気にかかっていなかったし、なによりも若かった。
そんな君もあのまま村にいれば絶対に病気がうつっただろうね。…それを村人たちはふせぎたかったんだ。
まだ長い人生がのこっていて、村のみんなを大好きな君に生きていてほしかったんだ。……君がみんなを好きなように、みんなも君がすきだったんだね。
でもただ村を追い出すだけでは死ぬ確立の方が断然高い。だから僕に頼み込んできたんだ。君の面倒をみてくれってね。
あとは運まかせのトコもあったね。君が一人でここまでこれなければ、すべては台無しになっていたんだからね。」
ロアは一気に…しかもさらっと説明をした。
俺にとってはそうだったんだぁ!よかった〜。嫌われてたんじゃないんだぁ!……なんてさらっと受け入れられるような内容じゃなかったんだけど。
だから俺は、ロアから話されて、自分で十分その話を整理して…初めてロアが話してくれた内容が理解できた。
「つまり、みんなは俺のことが好きだから、俺を生かすために村を追い出したってこと?」
俺は自分で整理して導きだしたこと…というよりも簡単にわかることか…をあっているか確認した。
「そういうことだね。」
ロアがさっきいれたココアを飲みながら、適当な雰囲気をを少しばかり漂わせて答える。
「じゃあ、俺が薬を頼まれたのも……暴力ふるわれたのも、うそで演技だったってこと?」
整理しながら疑問に思ったことを口にする。
「そういうことになるね。…あぁ、いい忘れたけどその病気を治す薬…そんなの存在しないんだ。
でも勘違いはしないでね。村人たちのほとんどが病気にかかっているのはうそじゃないからね。」
ロアは俺が考えることなんてお見通しだったようだ。俺はがっかりして深いため息をついた。
別に俺はあの村で死んでもよかった…むしろあの村で死にたかった。
だから俺は自分が生きていられることよりもみんなと一緒にいられることの方がよっぽど幸せだった。
薬の話がうそだとわかった今、俺はみんなを救うこともできなくなってしまったんだ。