第5話
「僕が何にもわかっていないって?……バカ言うなよ。僕の方がわかるくらいさ。」
やっと本をどかして立ち上がろうとしたときにロアが言った。
立ちながら
「どういうことだよ。」と聞いた。
「……どうして僕がここまで君に執着してるかわかる?」
突然のことに俺は一瞬言葉を失った。そうだ。こいつのこれまでの態度はわからないことばかりた。
偶然出会った俺をどうしてここまで。
「わからないようだから教えてあげるよ。全部。…聞いたら君はショックを受けるかもしれないけどね。」
試すような口調にイラッとした。
「なんだよ。」
「さっき僕は君は村から追い出されたって言ったでしょ?それはうそじゃないよ。……どうしてそれを僕が知っているかだ。
君が僕に会ったのは偶然ではなくて必然なんだよ。
どういうことだかわかる?」
バカにされている気しかしないが、俺は今お前が言いたいことわかるぞ。
「仕組まれてたってことなのか?」
「…よくできました。じゃあその首謀者は誰だと思う?」
いちいちむかつくなぁ。
「お前じゃねぇの?」これまでも態度からするに絶対にこいつだ!
ロアはニコリと笑った。
「残念。僕じゃないんだ。言っただろう?村の人たちは君を追い出したかったんだよ?」
「村の奴がお前に頼んだっていうのかよ!?」
いくら俺を追い出したくなったからって…そんなことまですんのかよ?
「正解。村の人はどうしても君を追い出したかったんだ。多大なお金を注ぎ込んで僕に連絡をよこしたよ。
僕はちょっとだけど、有名だからね。君と歳も近いし。」
自分がそんなに村のみんなに嫌われているとは。今回のことはみんなを信じていたのに……。泣きたくないのに涙が溢れてくる。
泣きたくないと思うほどにたくさん溢れる。
「なんだよ。…そこまで、して。…俺を追い出したかったのかよ。」
「…君の悪いくせだ。」ロアは軽くため息を吐きながら言った。
「まだ僕はなんで村の人が君を追い出したがったか、言ってないだろう?」
「俺を邪魔だと思ったからだろ?」自分で言ってさらに悲しくなった。
「早とちりだね。…さきに言っておくけど、村の人はみんな君のことが大好きなんだよ。」
ロアのその言葉で俺はよくわからなくなった。
そんな俺をみて、ロアは2人分のココアを用意しながら呟いた。
「君は幸せ者だよ。僕なんかよりもずっとね。」