第1話
俺がロアの家に来てから一週間。一週間一緒にいてロアについてわかったこと。
まず、ロアと俺は同い年で17歳だ。ロアは家族はもちろんのこと親戚もいない。俺と一緒。
それから、ロアは家から歩いて5分くらいのところにある飲み屋を経営している。一人で。といっても今は俺も一緒。
酸性雨がいつも降っていて空だっていつも淀んでいる……それが今の俺たちのすんでいる環境だ。草や花や木もめったに見られないし、上手に育てないと家畜もすぐに死んでしまう。
そんな秩序が悪い環境だから、犯罪なんて日常茶飯事だ。自分の身は自分で守らなければ生きていけない。
ロアの飲み屋はそんな中でも繁盛している。理由はよくわからないけど。だからロアは一人で暮らしていられるんだ。
普通の俺たちくらいのガキが一人で暮らしていたらすぐに餓死でしんでいるさ。犯罪に手をだすってんなら話は別だけどさ。
ロアは人を引き付ける何かをもっているんだ。俺にはそれが恐くてならないけど。
目が笑っていないほほ笑みや有無を言わせない問い掛け方は誰にも負けないだろう。……強引なんだ。自分勝手とはちょっと違うかな。
一週間一緒にいてわかったことなんて本当に少ない。まだまだわからないことだらけだ。それに俺はまだロアへの警戒心をといていない。それはロアもわかっている。
それでもロアは俺に話しかけてくるし、何度家を出ていくと言っても了承してくれない。
一回夜逃げようとしたけど、あっさりと捕まった。ロアは只者じゃない。冗談じゃなくて、普通の人……俺たちとはどこかが違う。
俺が最初に感じたものは確信に変わっていた。
家で夕飯を食べているときに、もう何度もした質問をした。
「もうそろそろ行きたいんだけど、いいよな。」何がいいのかなんてロアにはわかっている。
「外に出れば君は死んじゃうよ。」いつものロアの答えだ。でも、ここで諦めたらもう二度とここを出れないじゃないか。
「それでも俺には行かなくちゃいけないとこがあるんだよ!」俺はロアの目を見ながら言った。
「その行きたいとこってどこなんだよ。この町から隣の町までは歩いて丸7日はかかる。その間とまれる宿なんて一つもないんだよ。…死んじゃうよ。」
ロアの意見は最もだった。
それでも俺は早く行かなくちゃいけないんだ。
「俺はここにくるまで2週間歩き続けたんだ。大丈夫さ。」それを聞いてロアは少しの間考え込んでいた。
しばらくして、ロアは落ち着いた様子で俺に話した。
「あっちから来たから…僕の記憶が正しければ君はエルタ村から来たんだろう。」
「そうだけど……それがなんだよ。」俺は下を向きながら答えた。次にロアがなんていうかが恐かった。
俺のその言葉を聞いて、ロアは大きくため息をついた。そしてさらりと言った。「それならなおさら行かせられないよ。……一生ここからは出せない。」
思わず顔をあげたら、ロアと目があった。まるで獣に見つめられているようで居心地が悪い。
「だから!…なんでだよ。」もう俺の負けだってわかっていてもそう言うしかなかった。やるせない。




