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それなら、こいつと手を組みます ーー詐欺師扱いされて追放されたので、怨霊と手を組んで独立しましたーー  作者: sirosugi


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26 スピード解決してしまいました。

呪いは、現場へ戻る?

 即断即決、電光石火。報告を受けたロッド様の行動は迅速だった。

 即座に立ち上がり、アルバートさんに指示をだしながら、本人はそのまま外へと飛び出し街を駆ける。持っているのは剣一本で、平服だ。

 駆け足で10分ほどの別邸についたときには、多くの兵士が集結し別邸を取り囲んでいた。

 段取りの速さもそうだが、貴方つい1時間前までは寝たきりだったのは?


「すげえなー。」

『そこは国境の守り手ということじゃろうな。辺境伯というのは伊達じゃないということじゃろう。』

「うんー?」

『辺境伯とは、独自の判断で軍隊を動かし国境線を変える権利を持つ称号じゃ。敵国から攻め込まれたときに即時に対応し、必要ならば逆撃もするとなれば、生半可な実力では務まらんじゃろう。』

「なるほどねー。」


 しごできロッド様に、俺たちはしれっと同行した。というか、当然のようにタチアナさんに引っ張られたわけなんだけど。


「すみません、でも、スカルさんとエミリーさんの力が絶対必要になると思うんです。」


 すがるようにそんなことを言われたら断れないよねー。なんだかどんどん深みにはまっている気がするが、流れに流れるのが俺のポリシーなので、気にすまい。


「ロッド様、ご快復されたのですか。」

「『アウトー。」』

「捕らえろ。」


 別邸につくなり、アルバートさんのような恰好した老人が出迎えるが、エミリーと俺が指摘して、即座に捕縛された。いや、あれだ、背中から霊障が漂ってました。完全に黒でした。


「な、何をするのですか、私が。」

「説明はあとだ、縛り付けて転がしておけ、おかしなことをしないように見張りも怠るな。」


 連れ立った兵士さん達にテキパキと指示をだすロッド様。俺たちの言葉を信用する度量もすごいけど、その指示を忠実に実行する兵士さん達もすごい。


『普段から、裏切りを想定して訓練をしておるんじゃろうな。あるいは街の施設が占拠された場合の対処が末端まで徹底しているんじゃろう。あとは領主殿の器の大きさじゃな。絶対に信頼できる取り巻きを密かに確保しておったんじゃろう。』


 エミリーの解説を聞きながら、時々見える怪しい気配の使用人や兵士を指摘すること数回。次々と別邸を掌握していくロッド様の背後を歩いていると、やがて最奥の書斎へとたどり着いた。


「ヤーガー無事か。」

「あ、あなた、それにタチアナも。」

 

 迷いなく立ち入るロッド様に続いて部屋に入ると、そこには、倒れる少年を抱きしめる妙齢の女性がいた。豪華ドレスと装飾品、それらが引き立て役になるほどの美人さんなのに、泣きはらしているの化粧が落ちてすごい顔になっていた。夜道で見たら悲鳴を上げてしまうようなインパクトがある女性だった。

 おそらくは辺境伯婦人のヤーガ―夫人で、抱きしめている少年が異母弟さんなんだろう。


「あなた、フラッタが、フラッタが。」

「はい、ちょいと失礼しますねー。」


 鬼気迫る顔でロッド様に縋り付こうとする夫人だが、俺はそこに割り込み、女性を少年から引きはがした。


「ちょっ、無礼者、なにを。」

「ヤーガ―お義母様、落ち着いてください、スカルさんに任せて。」

「タチアナ、何でお前がここに。まさかお前がフラッタを。」

「ヤーガ―、落ち着きなさい。話はあとだ。」


 めっちゃ暴れそうな雰囲気だったけど、そこはロッド様たちがうまい事引きはがしてくれた。おかげで少年をじっくり観察することができる。


「これはひどいー。」

『他の呪いが混ざったのか?この密度、聞いたことはあるが、目にするのはわっちも初めてじゃ。』


 年のころは10歳ぐらいだろうか。やや小柄な少年の身体にはびっしりと鎖が巻き付いていた。その数と太さは尋常でなく、もはや顔が見えない。霊や呪いは存在するだけで瘴気をばら撒いていたが、少年に巻き付いた鎖はまるで本物の鎖のような存在感を放ち、俺の目には少年のシルエットだけが見える。


「こうなったのは何時からですか?」

「はっなにを。」

「答えろ、この子が倒れたのはいつだ。」

「つ、つい先ほど20分も経ってないかと・・・。」


 切羽詰まった状況で、相手への気遣いと口調を忘れるが、ここは時間との勝負だ。こんな異常な状態が身体に言い訳がない。


『気をつけろ。呪いが完成しかけておる。どうやらお主の祓いが見事過ぎて、領主様や執事殿についていた分の呪いが跳ね返って凝縮されたと思うのじゃが‥・。いいやその話はあとじゃ、すぐにでも引っ剥がせ出ないとこの童は死ぬぞ。』

「マジすか―。」


 やばいのはわかっていたが、そこまで切迫した状態だとは思ってなかった。

 いや、焦るな。やるべきことは変わらない。


「ちょっと静かにしててくださいねー。手元が狂うのは困るので―。」


 まずは、声に出してお願いをして余計なちょっかいを防ぐ。そしたら目を凝らしながら鎖を見極める。霊障が濃すぎて中身が見えない。そんなこと初めてだ。逆に鎖がはっきり見えるので魔力を通すことはロッド様の時よりも簡単だった。

 素早く、それでも丁寧に魔力を通し、鎖全体に魔力を通す。これは・・・。


「まどろっこしいなー。」

『そりゃそうじゃ、ぐちゃぐちゃになった紙にかかれた文字を読むようなものじゃぞ。そんなことをしている暇はないぞ。』

「紙、文字。そうか。」


 考え方と捉え方を変えればいい。俺は大きな魔力で少年を包み込み、ゆっくりとしめあげる。


「うぐ、うわあああ。」

「フラッタ、貴様―今すぐ。」

「落ち着いてください。」


 当然のように少年が苦しみだす。これは俺の力を嫌がった鎖がうごめくことで少年を締め上げたからだ。申し訳ないが多少の痛みは我慢してもらおう。大丈夫、霊に触れても死にはしないはずだ。


『お主、何を。』

「いいから、いいからー。」


 鎖のような見た目と呪いという言葉に惑わされていた。だがリムーブで祓えるということは、呪いも霊の一種だ。ならば、

 おれはそのままリムーブの魔力を重ね掛けする。イメージは鎖の隙間を縫って少年その者を包み込む薄い膜。薄かろうが厚かろうが、鎖には不快で恐ろしいものらしく、鎖はその形を崩しながら少年の身体から離れていく。

 その動きに俺は成功を確信し。少年を包み込む魔力にそっと穴をあける。抜け道を発見した鎖、いや溶けて液体のようになった呪いはその穴に殺到し、徐々に少年からはがれていく。


『これは、呪いを追い込んで自ら離れさせたのか。』

「逃げ回る怨霊を祓うために色々考えていたのが、こんなところでためになった。」

『うわ、これされたら、わっちも危ういのう。』


 暢気に話している間に、呪いは完全に切り離され、リムーブに包まれて黒い球体となってしまった。


「解決?」

『うむ、身体は健康そのものだ、呪いはかけらも残っておらんぞ。』


 どうやら、あっさり解決したらしい。我ながらいい仕事をしたと思う。


スカル 「さすがに疲れたー。」

エミリー『無駄撃ちするからー。』

スカル「ああ、やるか?」

エミリー『やめてください、消えてしまいます。』


 事態にわりにさらっと解決する。これぞスカルクオリティ。

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