4.渦中の領主代理、現る
「そしたらこんなことになってたというわけか」
「領主として恥ずべきことです。もっと領地に目を向けていれば……。毎年来る帳簿だけで事実は何も見ていなかったんだな」
「ということは、あの代理の男は帳簿の改ざんもしてたんだな?」
「うーむ、ますますあやつには灸を据えないとなぁ」
名前を呼ぶことすら止めたのですか、お父様?ワーズワースの罪は、横領、その金で賭博に娼館通い、無断で税率を上げ納税と公爵家以外の分を横領。村の若い娘を拉致・監禁。等叩けばいくらでも出てきそうなくらい真っ黒ではありませんか。
「何の騒ぎだ?……と公爵閣下ではありませんか。このようなところにいきなりどうしたのですか?」
「このようなところ?自分の領地に自分の好きな時に来て問題はないだろう?問題があるのはお前だよ、お前。護衛!この男の身柄を拘束せよ!」
「「「「「はっ」」」」」
私達は領主の館へと行きました。
足を踏み入れて驚きました。
とにかく口と鼻を布で覆って換気をする必要がありました。
館の中の空気が麻薬を感じるものです。
この男……麻薬漬けだったようです。娼館で味を覚えてしまったんでしょうか?
「わかっているな?お前の主な罪は横領。そしてこの領地をボロボロにしたのも重罪だ。王都から薬漬けになった人の扱いに慣れている医者を手配している。薬が抜けた後、重い罰が待っていると覚悟しておけ」
領地の若い娘達も強制的に薬漬けになっていたようで、王都からの医者待ちとなりました。
代表との話し合いもすることが決まりました。1か月と2週間後に領主の館にて。
館の中の家具など、全てが麻薬で燻されているような状態だったので、買い替えるというか……もはや領主の館を建て替えることにしました。ワーズワースの罪が加算されました。
代表によると、「食料さえなんとかなれば領民の力でなんとかなる!」という事なので、私達はその場で食料を支援することを約束して、王都の邸に戻りました。
「まさかだなぁ」
「本当にですよね。もっと栄えてる予定だったんですけど……」
「あらあら、二人ともどうしたの?」
私達は領地での出来事をお母様にも伝えました。
「あらぁ、それはまず旦那様の人選ミスですわ」
「お前はワーズワースのことを知っているのか?」
「ええ、幼馴染でハトコ?よくわからないけど親戚らしいわ。金遣いが荒くて、ナマケモノって親戚中で噂になってたわよ?」
「そういう情報は最初から言ってくれよ……領地が荒れて、領民も荒れてるんだぞ」
「まさかの人選だったし、冗談だと思ったのよ。ごめんなさい」
「まあこれからは私もちょくちょく領地に行けるからな。あ、それとあと1カ月とちょっとで新領主の館が完成する。前の館は麻薬で燻されてて、インテリアごと全部使えない状態だったからなぁ」
「領民としては、仕事ができて願ったり叶ったりじゃないの!」
「だといいんだけどなぁ」
なんだか不穏な感じで終わりを迎えたのですが、館はすごいことになっていますね。インテリアまで麻薬で燻されてるって…。