part1
オレンジ色と藍色で一帯が染まる頃、一人のお嬢様とその執事は動き出す。
「カエデ!あたしは先に行くわ!カエデは追手の排除を!」
「ええ、アキの仰せのままに!」
激しい金属音が、郊外の静寂を切り裂く───
今日もまた、悪の組織を滅ぼす「白の極道」が“オシゴト”を終えた。
【翌日】
「はあ、昨日は疲れたわ…」
彼女の名前はサクラ・スタッカート。スタッカート家のお嬢様。白の極道時は「アキ」という名前を使う。殺しの技術は周りと比べ、頭一つ抜けている。白の極道で幹部を勤めている。
「お嬢様。本日のお稽古は───」
「今日は休むわ!こんな状態でお稽古なんてできたもんじゃないわ…」
「それは…そうですね。お父様にご連絡させて頂きます。」
彼の名前はハル・レイラ。スタッカート家の執事。白の極道時は「カエデ」という名前を使う。殺しの技術はサクラと同様頭一つ抜けていて、幹部を勤めている。
「にしても…昨日の激闘が嘘みたいに今日は晴れているわね。逆に憎いくらいだわ。」
「晴れですか…本日はお庭でゆっくりお茶でも如何でしょうか?」
「いいわね。そうするわ。」
「では、こちらへどうぞ。」
庭に出ると、庭師の手によって整えられた木々や規則性のある並びの花たちが目に入る。
ベンチに座ると、まるで絵画に描かれている主人公のような気分になる。
「ただいまお茶とお茶菓子をお持ち致します。少々お待ちを。」
ハルが城に戻ると、サクラは口を開く。
「ねぇ、そこにいるのはわかっていますわ。出てきなさい。」
辺りの空気が緊張で張り詰め、重くのしかかる。
ガサガサ、と葉と葉が擦れ合う音が鼓膜を震わせ、黒ずくめの男が次々と出てくる。
「はあ、やっぱり。あたしは今疲れているの。手間かけさせないでちょうだい!!」
一瞬の隙をついて、ナイフで敵の喉を一気に掻き切る。
血液が噴き出し、純白のドレスに紅い花が咲く。
怯んだ敵は逃げようとするが、足を切断され身動きが取れなくなる。
叫ぶ者も居れば、カウンターをとろうと必死な者も居る。
だか、そんなのお構い無しにサクラは敵を切り裂いていく。
「ほんと、死に際って性格出るわよね〜。で、最期に言い残すことは?」
最後の一人の男にナイフを突き立てながら問うと、
「…俺が死ぬなら、お前も道連れだ!!」
「っ!!」
予想外の攻撃に、サクラは避けきれなく、死を悟る…
目をぎゅっと瞑った瞬間、銃声と男の小さな悲鳴が聞こえ目を開けると、
「死ぬのは貴方だけですよ。」
銃とお茶会セットを持ったハルの姿が目に入る。
「お嬢様、敵襲に気がついたら連絡をといつも…」
ハルはサクラの忘れっぽさぶりに呆れ、頭を抱える。
「まあ、間に合うって思ってたわ。計算通り!」
そう言い笑うサクラを見て、ハルは苦笑いを浮かべた。
【サクラの日記】
今日は災難な1日だったわ。まさかお茶会の準備中に襲いかかってくるなんて…
まあ、無事だったから良かったわ。
それにしても、ハルはあたしの計算とぴったり同じように動くわね…
ハルが合わせてるのか、あたしがすべて読み切ってるのか。
まあ、どっちでもいいわ。
明日はショッピングに行きたいわね。ハルに交渉してみようかしら。
20XX/YY/ZZ