3 初めての冒険とトラブル
翌朝、カズキはエマと共にサンライトリーフを探すため、村の近くに広がる森へと向かった。森の中は木々が生い茂り、日差しがわずかに差し込むだけで薄暗い。風が葉を揺らし、遠くから鳥の鳴き声が聞こえる。
「サンライトリーフって、どんな特徴があるんだ?」
カズキが先頭を歩きながら尋ねると、エマが足元を気にしつつ答えた。
「光に反射して金色に輝く葉っぱなんです。すごく綺麗なんですけど、茂みに隠れていることが多いんです。」
カズキは「万能農具生成」のスキルを発動し、手元に草刈り鎌を生成する。
「これなら効率よく探せるだろ。エマ、危ないところには近づかないようにな。」
エマは頷き、二人は森の中を慎重に進み始めた。
しばらく歩いた後、茂みの奥で光が反射するような輝きを見つけた。
「これがサンライトリーフか?…確かに目立つな。」
カズキは鎌を手に、慎重に茂みをかき分けていく。
葉に手を伸ばしたその瞬間――茂みが大きく揺れた。次の瞬間、唸り声とともに巨大なイノシシのような魔物が姿を現す。
「…最悪なタイミングだな。」
カズキは短く息を吐き、クワを生成して構えた。
「エマ、後ろに下がれ!」
声を張り上げた直後、魔物が突進してくる。
カズキは地面を耕すように低く構え、クワを振り下ろした。一撃で魔物の足元の土が崩れ、動きが鈍る。
「農夫だからってなめるなよ。」
魔物が立ち直ろうとする前に、カズキは素早くもう一振り。鋭い一撃が魔物を地面に叩きつけ、その巨体がついに動きを止めた。
エマは驚きの表情を浮かべながら、思わず拍手を送った。
「カズキさん、すごい!本当に農夫なんですか?」
カズキは汗をぬぐいながら笑う。
「まあ、一応な。農夫でもこれくらいはできるんだよ。」
エマは安堵しながらも、目の前の魔物を見つめて呟いた。
「農夫って…もっと穏やかな仕事だと思ってたのに。」
カズキは肩をすくめて笑い、エマを促した。
「穏やかなのが理想だけどな。とにかく、サンライトリーフを探し続けよう。」
森の奥へさらに進むと、また別のサンライトリーフを見つけた。茂みに埋もれているが、金色の輝きは明らかだった。
「やっと見つけた…!」
エマが歓声を上げたその時、カズキの足元に違和感が走る。
「な、なんだこれ!?」
見ると、足元には蔦のような植物が絡みついていた。それは瞬く間にカズキの足を拘束し、動けなくする。
エマが慌てて駆け寄り、蔦を引き剥がそうとするが、逆に手が絡め取られそうになる。
「これって魔法植物か!?まずい、どうする!」
カズキは咄嗟にスキル「土壌改良」を発動し、蔦の根元に手をかざした。すると、土が緩み、蔦が力を失い始める。
「今だ!エマ、引っ張ってくれ!」
二人は力を合わせて蔦から脱出し、なんとか無事にサンライトリーフを手に入れることができた。
エマは大きく息を吐き、カズキに向き直った。
「危なかった…。カズキさんがいなかったら、私きっとダメでした。本当にありがとうございます。」
カズキはサンライトリーフを手にしながら肩をすくめる。
「こんなの、たまたまスキルが役に立っただけだよ。でも…植物に襲われるなんて、まったく油断できない世界だな。」
村に戻ると、サンライトリーフを待ち望んでいた村人たちが歓声を上げた。
「すげえ!本当に見つけてきたのか!」
「カズキさん、あんたはただの農夫じゃないな!」
カズキは肩をすくめて笑いながら、手に入れたサンライトリーフを渡した。
「ただの農夫だよ。でも、少しずつ慣れてきたかな。」
エマも嬉しそうに笑い、カズキの隣に立つ。
「カズキさん、本当にありがとうございます。これで村のみんなも助かります!」
こうして初めての冒険を終えたカズキ。危険も多かったが、村人たちの信頼を得るきっかけとなり、彼の新しい生活が少しずつ動き始めていた。
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クエスト完了通知
【クエスト達成:サンライトリーフを探せ!】
【報酬:村人の信頼 + 50】合計値 100
【スキルポイント獲得 + 1】
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