裏切り
「エレナ・アリスタシア、お前を処刑する!!」
愛しいロレンス様、私は何を間違えたのでしょう。
なぜ、無実の罪で処刑されねばならないのでしょう。
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私、エレナ・アリスタシアは表面上は華やかな公爵
令嬢だった。裏では父や姉、妹、父の愛人から苛められ、味方になる侍女は1人もいなかった。そんな時に
舞い込んできた王太子ロレンス様との婚約。
元々推したいしていたロレンス様と一生を過ごすことができることに私は舞い上がった。
「君がエレナ・アリスタシア嬢かい?」
「お、お初にお目にかかります。あ、アリスタシア公爵の娘、エレナでございます。え、えと、あの、私はロレンス様をずっと推したいしていました!」
「今は慕ってくれていないのかい?」
「そ、そういうわけではなくて、いまも推したいしています。」
「ありがとう。エレナと呼んでも良いかな?」
「もちろんです。」
「僕のことはロレンスと呼んで。」
ロレンス様はお優しくて、気さくでとっても
かっこよくて絵本に出てくる王子様みたいだった。
文通もしていたし、贈り物も送ってくれていたのに
ロレンス様が学園に入学なさった途端、彼からの文は途絶え、会う機会も減り、声を掛けても忙しいの一点張り。王妃様に相談しても聞く耳を持たなかった。
私の入学式のお祝いにロレンス様は来なかった。
なぜ、が何度も頭を回る。久しぶりにロレンス様に会った時、ロレンス様は他の令嬢とキスをしていた。
私にはしてくれないのに。その後も何度もその様子を見た。ロレンス様に言っても上手くかわされてしまう。きっと学園を卒業すればそう思っていたのに・・・
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「ロレンス様、卒業おめでとうございます!」
隣には以前キスをしていた令嬢。
「ロレンス様、その方は誰、ですの?」
「あぁ、紹介しよう。リファラ・ホォルソンだ。」
「初めまして。リファラと申します。」
リファラ様はロレンス様の隣にいてもふさわしいお方だった。成績優秀、容姿も美しく、性格もふんわりと優しい。だから、結婚式が終わった初夜のあの日、全てが崩れた。
「エレナ、話があるんだ。リファラを側妃にしようと思う。」
「どういうことですの?側妃は娶らないと・・」
「エレナ、君には形だけの王妃になってもらいたいんだ。」
「そん、な。」
「僕はリファラを愛してる。お願いだエレナ。」
「承知しました。」
「ありがとう。」
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リファラ様は側妃となり、ロレンス様の子を産んだ。
私の元に来ることはなく、静かに時が流れていった。
道に迷ったリファラ様のご息女、リルエ様が亡くなるまでは。リルエ様は私が住む部屋の窓の下で亡くなられていた。転落死だと考えられた。誰かが突き落とした、としか考えられなかった。
「あなたがリルエを殺したの?あなたが私の天使を」
「言いがかりです!私は誓ってリルエ様を殺してなど、」
「返して、返して。私の子を返してよ!!」
誰も私のことを信じない。信じてくれない。
「エレナ、まさかリファラに嫉妬し、こんなことを起こすとは」
「違います!ロレンス様!!ロレンス様!信じてください!!」
「エレナ・アリスタシア、お前を処刑する!!」