表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/32

夢2

 ベッドに寝っ転がって目を閉じると、しばらくして意識を失い、そしてまた夢を見た。


さっきと違うのは、今度の夢はこれが夢であると自覚していた点だ。


これは昨日の出来事を夢として見ているようだ。


俺は縋るような目でパーティーメンバーの三人を見ている。

そんな俺に対して三人は同情するような視線を向けていた。


リーダーであるゼオルが言った。

「申し訳ないとは思っているんだ。しかし……もう限界なんだよ」


「限界ってどういうことだよ! こんな急に……。だって、そんな……」

俺は上手く言葉を紡ぐことができなかった。


「説明してくれ。なんで俺がパーティーを抜けなくちゃいけない?」

動揺を抑えつつ、なんとか質問することができた。


この時点では、まだタチの悪いドッキリである可能性を捨てきれていなかった俺は、三人が急に笑顔になってネタバラシをしてくることを待っていた。


そんな希望を打ち砕くように真剣な顔をしたポニテノが頷く。

「ええ。もちろん説明するわ」


ポニテノは言葉を探すように視線を漂わせると、質問してきた。

「あなた、先週の金曜日に自分が何をしたか覚えてる?」

「先週の金曜……?」


俺は必死に思い出そうとした。

先週の金曜……何か特別なことがあっただろうか。


話の流れから考えて、その日にあった何か特別な出来事で三人は俺に対して愛想を尽かしてしまったのだと思うが、しかし俺にはその特別な出来事というのが思い出せなかった。


思い出そうと必死になる俺を見て、ゼオルが悲しげにため息をついた。

「思い出せないんだろう? ああいうことはお前にとって当たり前で、印象に残るような出来事ではないだろうからな」


皮肉っぽい口調に俺は腹が立った。

「金曜に俺がなにしたってんだよ! 言ってみろ!」


ゼオルもポニテノも黙ってしまった。

さっきから一言も発しないもう一人のパーティーメンバーのウタメは、ずっと辛そうな表情を浮かべて口をつぐんでいる。


「おい。何か言えよ。……やっぱり答えられないんだな。俺は何もしていないんだろ? ……ハハ。やっぱりな。これも実はドッキリで、俺をからかってるだけで」

途中から調子を取り戻して意気揚々と三人に向かってそんなことを言い始めた俺の言葉を遮るようにポニテノが

「食い逃げよ」

と呟いた。


「……は?」

俺は心底訳が分からずに呆けた声を出した。


「ど、どういうことだよ。食い逃げなんてそんなしょうもないことで……今までだって」


「そうよ。あなたがこういうことをするのは今に始まったことじゃない」

ポニテノが先読みするように言った。


ゼオルが続ける。

「これまでお前がああいうことをする度に俺たちが店の人に謝りに行っていたのは知っているか? 金を渡してどうか大事にはしないでくれと頭を下げていたことをお前は知っているか?」

「え、いや……」

まったく知らなかった。


……。

そこから俺たちの間にどんな会話があったのかは覚えていない。

ゼオルの言葉を聞いてからの記憶がないのだ。


自分の行動にそんな結果が伴っていたということに衝撃を受けた俺は、きっとパーティーを抜けることに同意してトボトボ歩いて家に帰ったのだろう。


さっき起きた時、テーブルの上に中身のないビール缶が大量に転がっているのを見た。

家に帰ってきた俺が何をしたのかは察しがつく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
主人公が食い逃げの常習で悪いことしてる自覚なしってかなりパンチが効いた設定だと思いました。仲間もいい人たちなんだろうなあと…。普通は殴ってます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ