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青龍亭

「おう、お待た……って、なんだこりゃ!?

姉さんがやったのか?」


料理を運んできたお兄さんが私のテーブル周りを見て驚いていますね。


「大したことじゃないですよ。

魔法でパパッと掃除しただけですから」


「そう言えばそんな魔法があったな。

……なぁ、ちょっと頼みがあるんだが」


「先にご飯をいただいても良いですか?

話はそれからということで」


「あ、ああ……そいつは済まなかったな。

ほれ、お待ちどうさん」


そうして運ばれてきたのはパンとスープ、それにオーク肉の香草焼きですか。


「俺は冒険者上がりでどうしても材料は魔物肉になるからな。

それが嫌な……」


「いただきますね」


お兄さんが何か言ってますが気にせずにお肉を頂きます。


魔物肉なんて旅の途中に散々(以下略)


口に入れやすいサイズにカットしてから放り込むと……


「んんん!!」


思わず目を見開いてしまいました。


全く気にしていなかったのですが、私が食べてきた料理の中でも上位に入るくらいに美味しいですよ。


その後の私の行動は早かったですね。


夢中になって食事を進めてあっという間に平らげてしまいました。


「とても美味しかったです。

ありがとうございました」


「あ、ああ……見た目によらず豪快な食べっぷりだったな」


「それで何か頼みたいことがあるとか言ってませんでしたか?」


「あんたの魔法でこの宿屋を清掃する事は出来るか?」


「ええ、出来ますよ、ほらこの通り」


私がパチンと指を鳴らすと新築のように綺麗になりました。


因みに指を鳴らす必要はありませんが只の演出です。


「うお、マジかよ……ありがてえ。

ええっと、この場合どれくらい報酬を払えば良いんだ?」


「報酬は要りませんからしばらくこの宿屋に泊めてもらえませんか? 

ご飯も付いてくると嬉しいんですけど」


「そんな事で良いんなら大歓迎だが……姉さん、本当にウチでいいのか?」


「姉さんじゃなくてアロエです。

私がここがいいと言ってるから良いんですよ」


「はは、参ったね、こりゃ。

俺はこの宿屋、青龍亭の店主のテンだ。

アロエさんの気が済むまでここに居てくれや」


「では、取引成立という事で。

という訳で早速お願いをしても良いですか?」


「ん、なんだ?」


「まだ足りないのでお代わりもらっても良いですかね?


「本当に見た目に反してるな。

待ってろ、直ぐに用意してきてやるよ」


こうして、私は青龍亭という名前の宿屋にしばらくの間厄介になることを決めたのでした。

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