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報奨金と酒場

「本当に君がこれをやったと言うのかね?」


近くの街であるターネライへと向かい、荷車を借りてから盗賊団をそこに乗せて兵舎へと向かいます。


近くにあった盗賊団を壊滅させてきたと報告して彼らを引き渡すと、受け付けていたダンディーなおじさまが驚きの声をあげました。


「ええ、こう見えても腕っぷしには少し自信があるんです。

ただ、私が手を下すまでもなく何らかの理由で彼らは弱っていたみたいで歯応えがありませんでした」


「ううむ、確かにこいつらは最近この辺りを荒らしていた盗賊団に間違いないようだ。

今報奨金を用意するので待っていなさい」


「ありがとうございます。

それとこちらは彼らが溜め込んでいたお宝ですね。

被害に遭った方達にお返しください」


盗賊と一緒に荷車に積んであったお宝をおじさまに渡すと、彼は低い声で唸りました。


「ううむ……これは持ち主が分からぬから権利は君にあるのだぞ」


「それならそれで被害届を出されている方で均等にお分けください。

私はその報奨金で十分ですから」


正直な話、移動は空を飛べばよく、装備品の更新も必要ない私には大量のお金など必要とはしていません。


宿に泊まるお金と食事をするお金さえあれば事足りてしまうのです。


「このような時代になんと素晴らしい精神を持っているのだ。

分かった……君の言う通りにさせてもらおう。

お嬢さんの名前を教えてもらってもいいかな?」


「ア……ロエ、アロエですわ、おじさま」


危うくアロウと名乗りかけて慌てて修正します。


魔王は討ち取られ、勇者アロウは行方知れず…….一説には死んだことになっていますからね。


今度からはアロエと名乗りましょう。


「お嬢さんに似合った素敵な名前だな。

よし、報奨金の用意が出来たぞ。

今回の件、本当に助かった」


「ありがとうございます」


ダンディーなおじさまに頭を下げて兵舎を後にしました、


先立つ物も手に入りましたし、まずは食事を取ることにしましょう。


どうせなら宿屋も併設されていると面倒が無いのですが……あそこでいいですかね。


適当に入った場所は一階が酒場で2階が宿屋という典型的なお店でした。


「いらっしゃ……って、おいおい。

ここはお嬢さんみたいな人間が来るところじゃ……」


「私は平気なので気にしないでください。

この街に着いてお腹が空いていますので、適当に何か作ってもらえませんか?」


「見た目の割に豪快なお嬢さんだな。

分かった、ちょっと待ってな」


酒場では20代くらいの若い男性が厨房にいるのみであった。


中々のイケメンですが、先ほどのおじさまのような渋みが欲しいところですね。


酒場の中は清掃が行き届いておらずに汚かったのですが、旅で慣れているのでそこまで気になりませんね。


大事なのは味と値段です。


こうして、私は席に着くと、自分の周りだけを洗浄魔法で軽く綺麗にします。


慣れてはいますが、清潔な方が望ましいのは事実ですからね。


こうして場所を整えたら、料理が出来上がるのを楽しみに待つのでした。

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