アロエの決意
こうして全員の誤解が解けたところで王子をどうするのかと言う話になったのですが……なんかもう色々と面倒くさくなってきましたね。
「結局はそのバカ王子を止めればどうにかなるんですかね?」
「はっはっはっ、王子をバカ扱いとはアロエさんは豪胆だな
。
まぁ、第二王子は穏やかな性格であるし、現在は兄君の暴走を止めるために裏から手を回していらっしゃる。
ユリアン王子が排除されれば即座に軍権を握って掌握できるくらいには手を回しているだろう」
「なるほど、それが聞ければ十分です。
それでは行きますよ」
「はい、お姉さま」
「ま、待ってくれ。
王城の周りは門の兵士とは違い、私と共に死戦を潜り抜けた手練れの兵士達で固められている。
侵入など絶対に出来ないぞ」
「そうです、アロエさん。
貴女が強いのは知っていますが、ここは作戦を……」
エリカに声をかけて外に出ようとした私をお二人は止めようとします。
ですが、そんな2人の前で私はニコリと笑いました。
「私、今回の事で分かったんですよ。
魔王という脅威が人類を一つにするために必要だったんだって。
だから……私達、人類の敵になろうと思います」
その言葉で私とエリカはお互いに擬態を解きます。
「そ、その姿はまさか……」
「サ、サキュバス!?」
「ええ、その通りです。
私達はこれから真っ直ぐに王城へと進み全てを蹴散らして第一王子の元に行きます」
「それが終わったらマスターは私達を第一級の討伐対象にしてくださいね。
かっこいい二つ名期待してますから」
「ま、待って……」
「それでは、今宵はおやすみなさい」
私はそう言ってこの屋敷全体に睡眠魔法をかけます。
目の前にいる伯爵やミハエルさん、それに外で待機していたメイドまで全てが眠りについた事を確認すると、窓から空へと駆け上がりました。
「エリカ、今ならまだ人間としての生活に戻れますよ」
「何を言ってるんですか、お姉さま。
私はお姉さまについて行くと決めた時からずっとついて行くと決めてましたから」
「ふふ、苦労をかけるわね」
「お姉さまと一緒なら喜びも悲しみも永遠に分かち合えますわ」
「病める時も健やかなる時もって事かしら?
ふふ、それじゃ姉妹じゃなくて夫婦みたい」
「呼び名なんてどうでも良いんですよ。
私達は一心同体、2人で一つ!
そうですよね?」
「ええ、本当に貴女がいてくれて良かった。
これで私は喜んで人類の敵になれる」
「地獄までお供しますわ」




