合流
「つまりは門兵は君の冒険者ギルドに商業ギルド、更にターネライで最も力のあるカーク商会の会長が保証した身分証を偽造呼ばわりして捕縛したわけか。
なるほどなるほど……アホすぎるだろ、あいつら!!」
おや、先程まで落ち着いたダンディなおじさまでしたが珍しく取り乱していますね。
「それでアロエ嬢の妹君にターネライの街までの報告を任せたと」
「その途中で野盗に扮した門兵に襲われたそうですが、全員捕縛してターネライの街の詰め所に突き出したそうですよ。
相手は金と女性目当ての野盗と自ら名乗ったようですね」
「全くもって最悪だな……私にとって」
「伯爵が一応の黒幕だと思って、それを追い詰めるように動いてましたからね。
こちらとしても想定外なんですよ」
私の言葉を聞いて伯爵の顔が引き攣ってますね。
まぁ、貴方を追い落とすための罠を張り巡らせていて、本当に黒幕だったら後は処するだけだったと聞かされれば仕方ないでしょう。
「それで、ターネライの街の動きを今から止める事は……」
「あ、それは無理です。
何なら代表して冒険者ギルドのミハエルさんと妹が既に王都に到着したみたいですよ」
「な……」
私の言葉に驚いたタイミングで扉がノックされます。
「旦那様、アポ無しではありますが緊急の話し合いをしたいとして、ターネライ冒険者ギルドの長であるミハエル様が訪問されてきました」
「な、あ、ええっと……応接室でお待ち……」
「あ、お待ちください!」
「失礼、事は急を要するのでな」
会話が聞こえてきたと思ったら、ノックもなしに扉が開かれます。
その先にいたのは勿論ミハエルさんとエリカだったのですが、ミハエルさんは私の姿を見るなり固まってしまいました。
私の今の姿……スケスケのネグリジェですもんね。
これは誰が見ても今から伯爵が私にイケナイ事をしようとしているようにしか見えません。
「き、き、き、貴様ーーーーー!!
アロエさんに向かってなんて事を……」
「はいはい、ややこしくなるからマスターは少し黙っててくださいね。
お姉さま、調子はいかがかしら?」
激昂して飛びかかりそうになったミハエルさん。
エリカがその首筋をトンと叩くとガクッと動かなくなりましたね。
「エリカ、お疲れ様です。
事情が大幅に変更されたので先ずは意見のすり合わせと計画の見直しを行いましょう」




