駄女神に制裁を
ああ……まさか本当に私の理想が完遂されるとは!
私は自身の夫であり、部下でもある旦那のステータスを見ながら興奮に打ち震えていた。
発情が付与されて徐々に搾り取られていくのを見るたびに、これが寝取られる気持ちなのかと新たな喜びを得ます。
本当に私の勇者は素晴らしい。
本当は見た目通りに可愛いものが好きなのに、勇者としての使命のためにフルプレートで心ごと包み込んでしまうところなど、いじらしくなってしまいます。
試練の塔で可愛い装備を着る大義名分を与え、各所に鏡を設置した結果、段々と心が堕ちていく様を見るのも最高でしたね。
その堕ちた心で迷わずに霊薬を選んだのも素晴らしかったですね。
まぁ、あれは装備品の方を選んでも、同等の可愛い装備を与えて男の娘ルートに行くだけでしたので、どちらにしても私の計画に狂いは無かった訳ですが。
しかし、こうして性転換をさせ、サキュバスに変えてから今まで押さえ込んでいた欲望を表に出しやすいように誘導した結果、あれほどの逸材が生まれるとは予想外でした。
さて……もうそろそろ事が終わる頃ですか。
魔王討伐に対する褒美の言葉を与えにいかねばいけませんね。
ひょっとしたら事の顛末を全て知った勇者が襲いかかってくるかもしれませんが、それは無駄な話です。
旦那は下界に降りるために身体を作り変えましたが、私は神の身体のまま。
下界の者には触れることすら出来ないのです。
旦那の部屋から出てきた勇者の前に私は顕現します。
「よくぞ魔王を討伐しました。
本当によくやりましたね」
心からの笑顔でそう語りかける私。
そんな私に向かって勇者は顔に笑みを浮かべたままツカツカとこちらに向かってきて……おもむろにビンタをしてこようとしてきました。
ふふ、やはりそう来ましたか……しかし、神である私に触れることげふうううううう!!
勇者の手が私の頬に当たり、そのまま猛烈な勢いで吹き飛ばされて壁に激突しました。
え?どういう事ですか???
何の変哲もないビンタですからダメージはあまり無かったのですが、予想外の出来事過ぎて頭が追い付きません。
「よし、やっぱり触れるみたいですね。
さ、お仕置きの時間ですよ」
まだ混乱している私の前に立った勇者。
まずい……と、思いました。
彼女はサキュバスであり、本来は届かない攻撃を届かせている……つまり、精神汚染も届かせてくるかもしれません。
私は咄嗟に魔術によるガードを敷いて己の身を守ろうとしました。
しかし、次の瞬間に口に何か柔らかいものが当たりました。
「ん……ん…….ごくっ」
目の前には勇者の大きな瞳があり、自分が今口づけをされていること。
そして口移しで何かを飲まされた事を悟りました。
「う……な、何を飲ませ……うああああああ」
言葉を続けようとしたものの、身体中に熱い感覚が駆け巡って叫び声を上げてしまいました。
身体中が溶けていくようで、おもわず自分を抱きしめるようにしながら蹲ります。
「う……あう……」
今まで神として生まれてから苦痛というものを浴びた事の無かったので、初めて味わうこれらの衝撃は私から行動を起こすという考えを完全に奪ってしまいました。
こうしてひたすらに熱が冷めてくれるのを蹲って耐え続ける事しか出来無かったのです……この間に勇者が何もして来ない事に疑問すら持てないままに。




