魔王から見たアロエ((魔王視点)
吾輩、マルカ・ポルトコ・グエ……長いのでこの世界に降りてきてからの総称である魔王で良いな。
吾輩の上位神であり、カミさんでもある女神がいるのじゃが、最近変なものにハマっておってのう。
それを自分でも再現すると言って、止めても聞かない上に巻き込まれて渋々下界に降りてきたわけなんじゃ。
流石にカミさんの遊びに下界の者達を巻き込むのは申し訳なかった為に被害は最小限にして、被害に遭ったものにもこっそりと運勢を良くしたりなどの特典をつけて補完してきたんじゃな。
じゃが、今回の1番の被害者である勇者の少年……いや、今は少女なんじゃったか。
その者にはしっかりと謝らねばいかぬという事で、ここに現れた時点で頭を下げておったのじゃが……なんじゃ、これは?
その者が我が城に足を踏み入れた瞬間に思ったのは、カミさんがやってきたのかという事であった。
それ程に大きな力を感じたわけなのじゃが、ここに勇者が向かっておったという話は聞いていた。
それによくよく感じれば力こそカミさんと同等ではあるが、神気などは一切感じない。
つまり、いまここに向かっておる力の持ち主こそ勇者だという事になる。
頭を下げたままの姿勢であるが自然と身体が震えきて、更に息も荒くなってくる。
最初は恐怖のせいだと思っていたのだが、変化は直ぐに訪れた。
(吾輩のジュニアよ、なぜこの状況で反応する)
そう、この空気の中で何故か吾輩のジュニアが雄々しく直立始めたのである。
とするならば、この息の荒さも恐怖からではなく、性的な興奮から来ているという事であろうか?
チラリと自分のステータスに目をやると、驚く事に発情の状態異常が付与されておるではないか。
こ、これは一体どういう事じゃ?
下界に合わせた身体に作り変えたとはいえ、神であり魔王でもある吾輩が状態異常を付与される。
そんな絶対にありえない事に動揺しているうちに部屋の前まで勇者がたどり着く。
あまりの恐怖に震えそうになる身体を何とか抑え込み、扉が開かれた瞬間に吾輩は全力で謝罪した。
「この度はウチの駄女神がご迷惑をおかけした!!」
この全力の謝罪が功を奏したのか、勇者……後から聞いた話じゃがアロエという女性の戦闘体制が解除される。
その瞬間に空気がガラリと変わり、吾輩の興奮も波が引くようにサッと鎮まったのであった。
その時に確信したのじゃ……吾輩が逆らえない女性の2人目が出来てしまった事に。




