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エリカ・ニーデロッテの独白

私、エリカ・ニーデロッテは冒険者ギルドの受付嬢を生業としています。


真面目な仕事をモットーとしており、どんなに頼まれても規則は決して曲げず、粗っぽい冒険者に絡まれても毅然とした対応をこなして来ました。


そのせいで堅物だ何だと言われて人も寄り付きにくくなり、男性との縁というものもありませんが、そのことを後悔した事はありません。


私はこれからも仕事一筋で生きていく……そう思っていました。


それは運命の出会いだった、そう思いたいものです。


その日、天衣無縫の3人は訓練場の予約へとやって来ました。


かつてはこのギルドのエースだった彼らですが、リーダーのテンさんが引退してからはまともな活躍はしていません。


そして、下の人間の仕事を奪うような行いをしているため、ギルド内での評判が凄ぶる悪いです。


かつての活躍からマスターからは言いづらいようですが、この辺りで私がガツンと……そう考えていた時です。


彼らの後ろに金の髪をたなびかせた美しい女性がいた事に気が付きました。


思わず見惚れてしまいそうになったのですが、私はその感情を必死に抑えて応対をこなしました。


どうやら女性……後から知ったのですが、アロエさんは天衣無縫の訓練の見学らしく、依頼を頼もうとしている女性が訓練を見て能力を測っているのかとも考えました。


しかし、その予想は大きく裏切られます。


天衣無縫の前に訓練場を使っていた暑苦しい集団、飛天の風が彼らに悪がらみしました。


彼らに毅然とした態度で対応するのですが、言うことを聞かないのでどうしたものかと考えていた時、私と彼らの前にアロエさんが立ち塞がったのでした。


その時、アロエさんが何をしたのかは分かりませんが、飛天の風は何故か前屈みになった状態でそそくさと去っていきました。


そこでお礼を言った時にかけられたアロエさんからの優しい言葉と笑顔で完全に私の価値観は崩されてしまったのです。


規則?仕事?男?そんなもの、アロエさんの前では全てが塵も同然です。


その後も、この考えは正しいという事が証明される事ばかりでした。

 

冒険者じゃないのに、彼らよりも遥かに高みにいる実力。


あのテンさんを説得して期間限定とはいえ復帰させた事。


プロも顔負けの料理の腕。


男も女も手玉に取りながら閑古鳥の鳴いていた食堂を繁盛させる手腕。


こんなにも何でも出来る憧れの女性なのに、子供のように無邪気な笑顔が私を惹きつけます。


どれだけでも自分を捧げたくなる女神のような存在……アロエさんは私にとってそのような存在なのです。


彼女とどうこうなろうと考える方がおかしい手の届かない至高の人……そんな風に考えていた彼女ですが、目が覚めたら私の目の前にいて、私と同じベッドで寝ていました。


……これって幸せな夢ですよね?



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