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大繁盛

陽が落ちてすっかり暗くなった時間ではありますが、店内はまだガヤガヤと賑わっていました。


「はーい、こちらワインとチーズです。

お待たせしました」


そう言ってお客さんのテーブルに配膳している人物、それは私ではなくエリカさんでした。


更には彼女が連れて来てくれた友人の女性、3人も配膳を手伝ってくれています。


商業ギルドと冒険者ギルドのトップが食事をした事が宣伝効果となり、自分で言うのも何ですが、看板娘としての私の魅力と合わさって次々とお客さんがやって来たのです。


料理はスキルと魔法で仕上げていく事が出来たのですが、配膳が問題でした。


もちろん、能力全開で行えばこれらの配膳も苦も無く終わるのですが、あまり人を超えた動きをするのもどうかと思いますからね。


お客さんの方から取りに来るシステムにしようかと考えていた時、夜も食事に来てくれたエリカさんが手伝いを申し出てくれたのでした。


エリカさんの友人たちも快く引き受けてくれたお陰で、無事に店内が回るようになったのでした。


こうして何とか客を捌ききり、後はこちらの方をチラチラと見ながらお酒を飲んでる男性が数人程度となりましたので、私は4人にお礼を言って席に座ってもらいました。


お礼も兼ねて腕によりをかけようと其々の好みを聞いていると、エリカさんが恥ずかしそうにしながら手を上げた。


「あ、あの……商業ギルドの人に聞いたんですけど、お料理に愛情を込めたって。

わ、私の料理にもたっぷり愛情込めてください!!」


「うーん……それは困りましたね」


「え、だ、ダメですか?」


そうお願いしてきたエリカさんの前でわざと悩むような素振りを見せます。


この世の終わりのように絶望する彼女に私はとびっきりの笑顔で語りかけます。


「エリカさんのご飯には最初から、他の誰よりも強いとびっきりの愛情を込めていましたからね。

これ以上となると火傷するくらいに熱い本気の恋になってしまいますよ?」


私がそう話すとエリカさんの顔が茹蛸のように真っ赤になってしまいました。


「え、あ、そ、あの……わ、わたしは、それでもかま……」


「はいはーい、エリカを揶揄うと可愛いのは分かりますけど、純粋なんでこの辺で勘弁してあげてください」


「でも、あの堅物のエリカがここまでハマるのも納得」


「本当に素敵な女性よね、アロエさんって」


「うんうん、分かる分かる。

あ、そう言うわけで、私たちは普通の愛情、エリカにはとびっきりの愛情に留めておいたご飯お願いします!」


「え、あ、お願いします!!」


こうして女性4人の和やかな会話を聞きながらこの日の営業は終えたのでした。


飲みすぎて酔い潰れたエリカさんを何故か預かることになりましたが…….まぁ、ここは宿屋ですからいいでしょう。

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