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新たな来客

何というか……ギルドマスターの思惑が透けて見えるのですが、これもお礼の一種ということで受け取っておく事にしましょう。


「お待たせしました。

ごゆっくりどうぞ」


人数分の料理を配膳すると、ギルドマスターの号令と共に一斉に手が動きます。


しかし、事前にオーク肉と聞いているのでしょうね。


肉料理には及び腰の人達が多いです。


ここは私が一肌脱ぐしかありませんね。


「あ、そうでした。

そちらのお料理は隠し味にたっぷりと愛情を込めていますので……特に独身の男性方には」


私がそう言うと何人かの人物が目の色を変え、勢いよく肉料理を口に放り込んでいきました。


いや〜元男だから分かることですが、男って実に馬鹿で単純で……とても可愛らしいですね。


食べてしまえば後は簡単と言いますか、全員がバクバクと凄い勢いでご飯を食べていますね。


こうして明るい雰囲気が保たれていると、外から中を覗く人がチラホラと現れます。


そうして商業ギルドの人たちを見送った後の事でした。


「お邪魔します!!」


そう言って元気よく入ってきたのは冒険者ギルドの受付のエリカさんとマスターさんですね。


「おや、いらっしゃいませ」


「アロエさんが食事を作っていると聞いて来ちゃいました」


「いや、何で俺まで……」


「マスターだって今日のお礼を言わなくちゃいけないって言ってたでしょ」


「まぁ、そうなんだけどよ」


「という事で2人分お願いします!」


「はい、少々お待ちください」


そう答えて手際良く2人分の食事を用意して配膳しました。


「ほう、こいつは美味そうだな」


「アロエさんが作るんですから絶対に美味しいに決まってますよ」


その自信は一体何処から来るのでしょうか?


とはいえ、自身が味わって美味しいと言えるテンさんの技術を使っているので自信がありますが。


2人ともに美味しい美味しいと食事しているので一安心ですね。


「そう言えば天衣無縫の皆さんは出発されましたか?」


「ああ、まさかテンの奴を説得するとは思わなかったが。

あいつの腕が落ちてないなら地竜に手こずる事もねえだろうから一安心よ」


「ええ、そうでしょうね。

その代償というわけではありませんが、彼らには引退を勧めておきました。

この依頼が終わり次第、天衣無縫は完全に解散します」


「なに?それは一体どういう事だ?」


そう尋ねるマスター対して、先程のやり取りを説明しました。


「……なるほど、全部アロエさんの言う通りだよ。

本当は俺がしなくちゃいけない仕事だったに済まなかったな」


「私は関係値が低いから簡単に言えただけですよ。

今後はこの宿屋は後進の育成も出来るようにしていくつもりですので、宣伝よろしくお願いしますね」


「本当にアロエさんには頭が上がらねえな。

料理も含めて目一杯宣伝しといてやるよ」


「私もたくさん宣伝してきます!!」


「ええ、エリカさんも頼りにしていますね」


私がそう微笑むと、エリカさんは「こうしてはいられない。マスターすぐに帰りますよ!!」と、マスターの手を引いて去っていきました。


そんな朝からの騒動を経たからか分かりませんが、日が暮れる頃には昨日までの静けさが嘘のように、沢山の客が訪れたのです。

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