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問題点

「皆さんが与えている悪影響はいくつかありますので、順を追って説明しましょう」


「そんなにあるのかよ……」


私の言葉にザトゥさんがボソリと呟きます……が、気にせず続けましょう。


皆さんには現状を正しく認識してもらわないといけませんからね。


「先ず、テンさんが抜けた後の天衣無縫は今のランクに合わないパーティになってしまいました。

その為に本来のランクより下の依頼を受けざるを得なくなっている。

そして、今回のように本来のランクの依頼が緊急でやってきても対処が出来ない……ここまではいいですね」


「ちっ……悔しいがその通りだよ」


「この時点で確実に2つ問題が起きているんですよ。

先ず、皆さんが下位の依頼を受けるせいで下のランクの仕事が減っています。

このせいで、この街での冒険者の育成が滞っているんですね。

ついでに貴方達への恨むも溜まっていってます」


「うぐっ」


流石に図星を突かれていたようで、ザトゥさんが小さく呻きますが、気にせず続けます。


「続いての問題は今回のような緊急の依頼が来た時に、一度は貴方達に確認を取らなければいけないからです。

おそらく無理とわかっていてもギルドは義理を通す為に一度は天衣無縫に話を通します。

そしてそれが断られてから救援を求めるという手間があり、緊急にも関わらず行動が後手に回ってしまいます。

この後手が原因で被害が増大する可能性があるのは分かりますよね?」


「………………はい」


いよいよ以て静かになってしまったザトゥさんだが、ここからもう一つ出てくる結論を続けることにしましょう。


「この街では天衣無縫がいる限り若手が育ちにくい。

脅威が起こると貴方達に頼らざるを得ない……とどのつまり、どん詰まりなんですよ。

そして、その詰まりの原因は間違いなく貴方達です」


「……薄々は勘づいていました。

しかし、新しい人を補充するのはダメなのでしょうか?」


今まで黙っていたロイスさんが切り出すが、私はその意見に首を振ります。


「それが出来ているなら既にやっているでしょう。

しかし、一から育てるとして、そんな人物をいまさら信頼出来ないでしょう。

だから、私を求めたようですが、そんな強い冒険者がソロで行動しているわけがない。

だからこそ、皆さんが潔く身を引いて、この宿屋を使って後進の育成に力を入れて欲しいんです」


「はいはーい、質問があるんだけどいいかな?」


私が全ての説明を終えると、今までは何とか話を理解しようと黙っていたルインさんが手を上げて質問をしてきました。

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