地竜
「お話は分かりました。
では、私が今から登録した場合はどうなるでしょうか?」
「その場合はどんなに実力があろうと最低ランクからのスタートになってしまう。
そして低ランクの冒険者を加入させた場合、現在のランクよりも低いランクとして扱われてしまう。
そうなると頼みたかった依頼よりもランクが低くなってしまって受注条件を満たせなくなってしまうな」
「……詰んでるじゃないですか」
「ええっと……つまりどういうこと?」
私とギルドマスターの話を大人しく聞いていたルインさんが首を傾げます。
「つまり、私はルインさん達のパーティに入って依頼を受ける事は出来ないという事ですよ」
「ええ、そんなのおかしいよ!
お姉ちゃん、こんなに強いのに……」
「本当に残念だよ……しかし、これは本当に困ったな」
「結局、依頼したかった内容って何なんですか?」
「この街の近くで地竜の目撃情報が出てな。
本格的な被害出る前に何とかしたいんだが……他所の増援を頼むしかねえか」
「ああ……地竜となると流石に今の俺らじゃ手に負えねえな。
力になれなくて済まない」
「いや、気にしないでくれ。
君達も辛い立場だが腐らんようにな。
この時間は記録して延長する手筈になっているのでまだゆっくりしていってくれ。
エリカくん、手続きは頼んだよ」
「はい、お任せください!
迷惑料込みで多めに見積もり出しておきます。
ですので、今日はどれだけ使われても大丈夫ですから、是非ともゆっくりしていってください」
エリカさんが熱い眼差しでこちらに力説してきますね。
ふむ……それにしても地竜ですか。
空を飛ぶ能力を無くした代わりにより硬い鱗と体力を身につけた竜種。
確かに今のルインさんがメイン盾をやっている天衣無縫では、その攻撃の全てを無効化されてなす術なく負けるでしょうね。
手っ取り早いのは私が勝手に倒してしまう事なのですが……それではこの街の為にもならないですよね。
ならば一度聞いておきましょうか。
「みなさんにお聞きしたいのですが、仮にテンさんがパーティに居たら地竜は討伐できるのでしょうか?」
「そうですね……厳しい戦いにはなると思いますが、勝てなくはないと思います。
もちろん相手が1匹ならという前提ではありますが」
「流石に飛竜相手だと厳しいが、地上での戦いならこっちに分があるからな」
「分かりました。
私に伝手があるのでそちらの方を頼ってみますよ」




