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ギルド、最悪の事件

「それにしても見た目は上流階級のお嬢様って感じなのに、テン並の戦士とは驚いたな」


「マスターは俺たちの訓練を見てたのか?」


「ギルドマスターの部屋ってのはあそこだからな。

偶に有望株がいないか窓から確かめるのさ。

まぁ、まさか見下ろした途端に魔物っぽいのと戦ってるお前らの姿が観れるとは思わなかったがな」


どうやら私がエレメンタルウルフを召喚するところまでは見られていなかったようです。


「一体どこでこんなら高ランクの冒険者を見つけてきたんだ?」


「あ、いや……ええい、仕方ねえな!

アロエさん、済まないが俺らのパーティに入ってくれないか?」


「え?どういう事です?」


何となくそう来る気はしていましたが、ギルドマスターもいる事ですし、分かりやすくとぼけておく事にしましょう。


「なに!?まだ勧誘していなかったのか……アロエさんと言ったかね。

私からも是非お願いしたいのだが……」


ナイスミドルなおじさまとお爺様にそう言って頭を下げられると悪い気がしませんね。


しかし、それよりも問題が一つあるので指摘しておく事にしましょう。


「あの、私は冒険者ではないので登録とかしていませんよ。

それでパーティって組めるものなんですか?」


私がそう言うとこの場にいる全員が顎が外れそうな表情で驚いています。


何故かエリカさんだけは目を輝かせてこちらを見ている気がしますね。


「え、アロエお姉ちゃんってそれだけ強いのに冒険者登録してないの?」


「冒険者として活動するつもりはありませんでしたからね。

ただ、状況から察するに何かお困りの案件があるのでは?」


「う……実はそうなのだ。

しかし、まさか冒険者登録してなかったとは……」


「私が外部からの助っ人としてパーティに加わるというのは問題があるのですか?」


私がそう尋ねるとギルドマスターは難しい表情で唸りました。


「むむむ、実のところ、それをやってしまうと解決しても依頼の遂行は未達成扱いになってしまうのだ。

かつて、実力が無いのに金だけは持っているパーティが、外部から高ランクの冒険者を雇い入れて不正に冒険者ランクを上げていてね。

それだけならば良かったのですが、彼らがランクに見合った戦力としてカウントされた大型依頼が遂行されてしまったのだよ」


「なるほど……それほどの大規模作戦ならば普段雇い入れていた者たちも組み込まれていますよね」


「そういう事だ。

お守りのいないこのパーティの存在がきっかけとなって作戦は失敗。

それだけならばまだ良いのだが、彼らが足を引っ張ったせいで退却もまともに行えず、この作戦に参加した殆どの冒険者が死亡か引退まで追い込まれる大怪我をするという、ギルド史に残る最悪の事件と呼ばれるようになってしまったのだ。

この事件のせいで依頼を受ける時は参加メンバーを明記し、それ以外の者を連れて行ってはいけないというルールが課される事になったのだ」

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