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ギルドの揉め事

冒険者ギルド……各街に配置されている施設であり、魔物と戦う人材を育成する組織でもあります。


勇者パーティとして活動していた私は、いつも上の方に出迎えられて、一冒険者では対応できない案件の処理を頼まれていたものです。


依頼を終えたら次の街へという移動の仕方だったので、正直しっかりと建物内を見たことがないんですよね


「アロエお姉ちゃんってギルドに来たことは無いの?」


何故か私の右腕に絡みついてくるルインさん。


まぁ、可愛いからいいんですけど。


ザトゥさんとロイスさんの後をついてギルドに入ると、一斉にこちらに視線が集まった。


「天衣無縫の連中じゃねぇか」


「何しに来やがったんだ?」


「ってか、あのルインが懐いてる美人の姉ちゃんは誰だ?」


周囲からヒソヒソとした話し声が聞こえてきますが、お世辞にもいい感情とは言えませんね。


「天衣無縫の皆さん、こんにちわ。

今日はどう言ったご用件でしょうか?」


受付嬢は流石にプロなので気にした様子もなく対応してくれますね。


メガネに黒い髪を後ろに縛っていて如何にも真面目でお堅いという雰囲気なので、感情に流されないタイプなのかもしれません。


「ああ、ちょっと修練場を借りたくてな。

いま空いてるか?」


「飛天の風の皆さんが使っていますが、今から終了の時刻を告げに行くところでした。

良ければ一緒に行きますか?」


「それでお願いします」


「それでは案内しますね……あの、そちらの女性も一緒なのでしょうか?」


「ああ、彼女は見学なんで気にしないでください」


「は、はぁ、それは構いませんが……」


受付の女の子が不審な目でこちらを見るので、軽く微笑んで会釈をします。


すると彼女は慌てて会釈し返すと、顔を真っ赤にしてしまいました。


「そ、それでは案内しますね」


「こりゃ天性の人たらしだな」


「ウチの身内も既に2人誑かされてますからね」


そんなことをヒソヒソと話す男性に2人と共に、聞こえている素振りは見せずに受付嬢の後をついていきました。


行き着いた場所は下がギルドの中庭。


そこには中央の戦いの場となる土俵があり、周りには練習用の的が並べられていたりと訓練の為の施設である事が見て取れます。


中央の土俵ではむさ苦しい男4人が木で出来た武器を持って闘っていますね。


「飛天の風の皆さん、もうそろそろお時間ですよ」


そんな4人に怯む素振りも見せずに受付嬢が声をかけます。


すると、男達は一斉に武器を放り投げて戦闘態勢を解いたのでした。


「もうそんな時間か。

しゃねぇな……エリカちゃん、延長は?」


「次の予約が入ってますので申し訳ありませんが終了です」


「次って……なんだ、天衣無縫の奴らかよ」


「あんな奴らに回すくらいなら俺らに使わせてくれよ」


そうだそうだと詰め寄る男達にも毅然な態度を示していますが、これでは受付嬢……エリカさんでしたか。


このままではエリカさんが可哀想ですね。


身を乗り出そうとしていた3人を制し、ついでにルインさんの手からするりと抜け出してエリカさんと飛天の風の間に立つのでした。

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