表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/60

噂の人物

落ち着いたところで……一名は私の膝の上でゴロゴロしていますが。


改めて紹介された訳ですが、3人はテンさんが冒険者時代の仲間だったそうです。


武道家のルインさん。


レンジャーのザトゥさん。


プリーストのロイスさん。


ここに戦士として前衛を担当していたのがテンさんだったそうです。


4人は天衣無縫という名前のチームを組み、テンさんをリーダーとしてAクラスの冒険者まで上り詰めたのだとか。


しかし、1年ほど前にテンさんが諸事情により引退。


冒険者時代の仲間の帰る場所を作る為にこの宿屋を始めたのだといいます。


「テンが抜けた穴を埋める人材がいなくてな。

しょうがないから依頼のランクを落として依頼を受けて生計を凌いでた訳だ」


「この辺りはオークが多いのでその討伐に駆り出される事が多い訳ですね。

本来は安値で買い叩かれるオーク肉をここで買い取ってもらっている訳ですよ」


「でも、今回は珍しく長期間空けてた訳だから違う仕事だったんだろ?」


「ああ、そうだ。

ここ最近話題になってた盗賊団がいただろ?

あれの被害が見逃せないってことでいよいよ本腰を上げて討伐の計画が持ち上がった訳だよ」


「その準備段階として、私たちに規模の調査を任された訳です。

そうして何日もかけて慎重に調査を進めていたのですが……」


「何故か昨日その盗賊団が全員捕縛されっちまったんだよ。

そんな訳で撤退の指令が来たのが昨日の夕暮れ頃。

さっき街に着いてギルドに報告したら幸いな事にも仕事は完了扱いになったからホクホクだけどな」


「調査が終わったら盗賊団の討伐に駆り出される所だったのですが、あそこのボスだけは我々には手に負えないように感じていましたので、そんな危険な任務に就かなくて良かったのはありがたいですけどね」


「でも、私はそのボスと戦ってみたかったな。

……あ!その盗賊団倒した人と戦えないかな?」


「まだこの街にいるかどうかも分からんから無理だろ」


「それに商業ギルドの人達はその人物にとても感謝しているようでしたからね。

もし見つけたとしても、迷惑をかけるようなことをしては街から居られなくなってしまいますよ」


こうして3人でその謎の人物について盛り上がり始めます。


まだ実態を掴んでいないのか、盗賊団のボスを超える大男だとか、修行中の旅の剣士、偶々立ち寄った勇者なんて話も出ていますね……間違ってはいないのですが。


テンさんは先ほどの会話で事情を知っているので、どうするんだとこちらに目で訴えかけています。


まぁ、テンさんの仲間に隠し事は良くないですね。


「私です」


「はっ?いきなりどうしたんだ?」


「その盗賊団を壊滅させたの、私なんですよ」


「えっ……はっ、はい?」


唐突な私のカミングアウトに男2人は信じられないと言った感じで目を丸くする。


しかし、ルインさんだけは


「え、アロエお姉ちゃんが倒したの?

すごーーーい!!」


と、すぐに信じてはしゃぐのでした……私の膝の上で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ